スカパー！生中継 Ch182 後03:50〜
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ピッチに立つ11人。ベンチに控える７人。ベンチの外から戦況を見守る９人。指示を送る監督。その日のために出来うる限りの準備をしてきたスタッフ。レベルファイブスタジアムに集う観衆。そして、それぞれの場所から想いをスタジアムに送る人々。その力を結集させて手に入れたのが、第21節の川崎Ｆ戦の逆転勝利だった。さあ、ここからだ。福岡に関わる多くの人たちが、その思いを抱いたはずだ。
しかし、22節の柏戦に敗れ、続く神戸戦をふがいない戦いで引き分けると、24節の鹿島戦から３連敗。ひとつも負けられないという想いをピッチで表現することが出来ないまま、チームは勝点を落とし続けている。その状況を、浅野哲也監督は次のように話す。
「選手は一生懸命戦っているが、もったいない試合が続いている。これまでを振り返ると、失点シーンや試合のポイントとなる場面で、単純なミスや判断ミス、あるいは切り替えの遅さなどでやられている。もちろん、そこを突いてくるのがＪ１だが、結局、自分たちで失点や敗戦を招いてしまっている。すべては私の責任だが、そういうことが、終盤に来て、ひとつも負けられない状況の中で起こってしまっているのが残念」
甲府戦の勝敗を分けた先制点も、相手ペナルティエリア付近でのルーズボールに対して、誰も寄せなかったことから始まったもの。慌てて成岡翔がボールを追ったが時は既に遅し。そして、ミスの連鎖が生まれてあえなく失点した。もう、ああしたシーンは許されない。
ホームレベルファイブスタジアムに迎える相手は広島。前回の対戦では引き分けたが、それが何かをもたらしてくれるわけでないのは、先の甲府戦で思い知らされたこと。これまで以上の危機感を持って臨まなければならない１戦であることに間違いはない。
広島の布陣は３−４−３。その最大の特長は縦に速い攻撃的なサッカーにある。中盤でのプレッシャーは、それほど厳しくなく、どちらかと言えば低い位置に人数をかけてブロックを形成するのが広島の守り方だが、奪ってから一気に縦に運ぶスピーディな展開は、対戦相手にとっては厄介そのもの。不用意に相手にひっかければ、すぐさまピンチを招く。その攻撃の中心を担うのは、前線中央に立つ佐藤寿人。その両側の少し低い位置にポジションを取る李忠成と高萩洋次郎が裏のスペースへと飛び出し、さらに両ＷＢの高い位置取りから攻撃に絡む。最も警戒すべきは右ウイングバックのミキッチ。そのスピードと高いテクニックを駆使しての突破は、これまでも何度もゴールシーンを演出してきた。
その広島との勝負のポイントはサイドの攻防。福岡が勝利を掴むには、広島のストロングポイントであるミキッチを抑え込むことが最低条件。押し込まれる時間帯は長くなるだろうが、粘り強く守りたい。そして、奪ったボールを、素早く両ウイングバックの裏、３枚のＤＦラインの外側に運べるかが勝敗を分ける。しかし、上下動の激しい広島の戦いに付き合ってしまっては相手の思うつぼ。攻守の切り替えの速さを意識しながらも、コンパクトなゾーンを崩すことなく戦いたい。
しかし、何よりも求められるのは、勝利を求める強い気持ちをピッチの上で表現することだ。これまでの試合で見せたようなミスの連鎖による失点は何があっても避けなければならない。技術面での差を否定できない以上、相手より走る、球際で負けない、誰かがミスをしたらカバーする、奪われたら正しいポジションに素早く戻る等々、サッカーの基本とも呼べる部分を90分間にわたって徹底しなければならない。人任せにしていては、同じ結果を繰り返す。個々が戦うことはもちろんだが、チームとしてミスをカバーし、チームとして走り、チームとしてゴールを目指すことが何よりも求められている。浅野監督も、「１人、１人がチームの中で役割を担える、戦える11人をピッチに送り出したい」と話す
そして福岡は、甲府戦からの１週間を、１人、１人が戦うことをテーマに費やしてきた。浅野監督が選手に求めたのは、戦う気持ちを精一杯ピッチの上で表現すること。そして、それに選手たちは応えて準備を重ねてきた。後は、それをピッチの上で表現するだけ。目の前の相手に負けない強い姿勢を見せてくれることを、ホームのサポーターは待っている。
以上
2011.09.24 Reported by 中倉一志
