東日本大震災からちょうど半年が経った9月11日に第27節・大分戦は行われました。
震災後、Ksスタのメインスタンドには重厚な足場が組まれているため、僕ら記者陣はバックスタンドの一番上の仮設席で見ることとなっています。メインスタンドを真正面に見るたびに、半年前の“あの日”のことを思い出し、一日も早い復興を祈ります。
ただ、こういうことを言うと怒られるかもしれませんが、メインスタンドにある記者室からグルッとアウェイゴール裏席の裏を回って、バックスタンドに行くのは正直面倒くさいです。僕ら記者陣は試合前、暇そうに見えると思いますが、実は結構忙しく、僕の場合、約2時間前に現場入りしてから、中継の打ち合わせに参加したり、J’s GOAL用の写真の作業をしたり、取材の準備をしたり、他の記者の方と情報交換したりと、結構あっという間に2時間という時間は過ぎるものなのです。だから、今は試合時間近くになって、慌てて急ぎ足で記者席へ向かうという感じなのです。「メインスタンドさえ使えれば」とグチグチ思うことが結構あります。
でも、やはり水戸は被災地です。大変な思いをした方がたくさんいます。こうして好きなサッカーを取材できているだけ幸せと思わなければならないのです。記者席に座り、メインスタンドを見たときにそう考えさせられます。今まで身勝手なことを思っていた自分を恥ずかしく思うのです。
実際、バックスタンドで試合を見るようになってよかったと思うことがたくさんあります。まずは観客と近くで試合を見ることができるということです。記者席だと、どうしても観客席と離れていて、観客のみなさんの気持ちと遠ざかってしまうことがあります。でも、バックスタンドで見ていると、観客のみなさんがどういうときに喜び、どういうときに怒るのか、ダイレクトに伝わってくるのです。そこにサッカーのおもしろさ、醍醐味があるのだと思います。サッカーの原点を思い出したような気がします。
また、バックスタンドに行くために観客席を出入りします。その間に多くのボランティアの方と顔を合わせます。入場口でチケットのチェックをしている方、客席で案内をしている方など、クラブのためにボランティアとして働いている方がこんなにいるということを実際に見て、頭が下がる思いになります。水戸の試合は、こうした人たちの存在と思いに支えられて開催できているんだということをあらためて痛感させられました。
ほかにも様々思うことがあるのですが、とにかく多くの人の顔を見ることができるようになったことが大きいです。それが記者席がバックスタンドになってよかったと思う最大の理由であります。試合前のウキウキした顔、試合後、勝った試合は満面の笑み、負けた試合はがっかりした表情。そうした人たちとすれ違うことが、自分にとって大きな糧となっています。
震災により、メインスタンドが使えなくなり、今のKsスタはなんだか狭いところにみんなが押し込まれているような感じがします。でも、考え方を変えると、1人1人の距離がより近くなったことで、ものすごい一体感が生まれているような気がしてならないのです。「もっと近くに寄って、1つになりなさい」。サッカーの神様がそう言っているのかもしれません。水戸はピッチ内外で苦しい状況が続いています。でも、多くの人のパワーが集結すれば、必ず光は差し込みます。じわじわとその熱を、僕はバックスタンドで感じています。
バックスタンドから見る風景。そこから水戸の明るい未来が、ほんのちょっと見えるのです。
以上
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2011.09.14 Reported by 佐藤拓也
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