9月10日（土） 2011 J1リーグ戦 第25節
磐田 2 - 1 清水　（19:03／エコパ／30,516人）
得点者：45' 駒野友一（磐田）、62' 前田遼一（磐田）、63' 大前元紀（清水）
スカパー！再放送 Ch185 9/12（月）前07:30〜
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序盤からぴりぴりした緊張感に包まれたエコパスタジアム。台風による大雨の影響でピッチはやや凹凸のある感もあったが、試合後、磐田の複数の選手の話を聞く限りではそれほど大きな影響はなかったようだ。実際、ショートパスをつなぐことに手を焼き、ロングボールが増える場面はなかった。

さて、ダービーらしく両者譲らず、牽制し合う時間帯もあったこのゲームだが、総じて見れば試合を優位に進めていたのは磐田だったと言えるだろう。そして、勝利につながった2つのゴールはいずれもダービーに相応しいハイレベルなものだった。

まずは先制点の場面だが、前半終了間際に山田大記がドリブルで仕掛け、FKを獲得している。この試合、ドリブル突破で幾度となく相手を苦しめた山田だったが、この場面は「少し判断が遅くなって相手に囲まれてしまった。何とかファウルをもらえたという感じ（苦笑）」だったという。ペナルティーエリア付近で得たFKのキッカーを務めたのは駒野友一。小林裕紀がボールをまたいだ後に右足で「逆サイドに狙った」（駒野）。コントロールされたキックは壁に入った西紀寛の上を越えて放物線を描くと、清水GK・山本海人の右手に触れられながらも大きくバウンドしながらゴールに吸い込まれた。直前に代表戦2試合を戦ったばかりにも関わらず、この場面で見せた駒野の集中力は圧巻だった（試合を通じて運動量が落ちず、安定感もあった）。「前半の先制点がチームに勢いを与えてくれた」と語るのは体を張った守備でチームに貢献した加賀健一。前半のシュート数は清水の3本を上回る8本。試合を優位に進める中で先手を取れたことがメンタル的にも大きかったと言えるだろう。

また、後半も攻撃の手を緩めず、62分にはカウンターから前田遼一のゴールでリードを広げているが、第5節・浦和戦（7月17日）以来、今季9点目となる前田のゴールはスピーディーな流れの中で複数の選手が絡みながら生まれたものだった。スタート地点は自陣左サイドでボールを奪った山田である。前線の前田へボールを預けると、左サイドを猛然とダッシュ。相手DFを背負いながらパスを受けた前田も中央の山崎亮平にボールを預け、敵陣へ走り込む。さらに山崎→山田とつながり、山田が左サイドでパスを受けた時点で敵陣には広大なスペースがあった。相手DFも戻りきれず、ゴール前に走り込む前田を捕まえきれずにいた状況を見た山田はこう振り返る。「（クロスを）どのタイミングで上げればオフサイドにならないか迷いましたが、2タッチ目（でクロスを上げることが）が一番いいかなと。GKとDFの間に転がせば前田さんが決めてくれると思ったので、タイミングだけ意識してクロスを上げました」。一度前方にトラップすると左足のインスイングでグラウンダーのクロスを供給。“アーリークロス気味”に放たれたボールは前田の足元にぴたりと届いた。このパスを右足のダイレクトシュートで押し込んだ前田が「ヤマちゃん（山崎）と山田がいいパスを出してくれたし、合わせるだけだった」と振り返るゴールは3選手が絡む理想的なカウンターだった。

ただ、この直後の63分、大前元紀にミドルシュートを許すと、これがシュートブロックに入った藤田義明に当たりそのままゴールイン。追加点を奪った直後の失点は試合後複数の選手が課題に挙げていたが、その後は冷静にゲームを締め括りダービーマッチを制した。

4試合ぶりの勝利を掴んだ磐田・柳下正明監督は「90分の中でときどきミスが出たり、多少バランスを崩して危ない場面もあったが、全体的には選手達は落ち着いてプレーできていたと思う」とゲームを総括。修正する余地も残されてはいるが、何よりダービーで勝利できたことは大きい。この勝利が勝点3以上の価値を持つことは間違いない。

以上

2011.09.11 Reported by 南間健治