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【J2:第4節 岐阜 vs 岡山】レポート:戻ってしまった時間軸。岐阜が好転の流れを一瞬にしてフイに(11.09.04)

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9月3日(土) 2011 J2リーグ戦 第4節
岐阜 1 - 3 岡山 (18:04/長良川/2,408人)
得点者:8' 妹尾隆佑(岡山)、64' ブルーノ(岐阜)、77' オウンゴ−ル(岡山)、84' 澤口雅彦(岡山)
スカパー!再放送 Ch181 9/4(日)後03:00〜
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台風が接近し、開催が危ぶまれたが、風は多少は強いが、雨もなく、問題なく開催されたこの一戦。
中盤に人数を割く岡山は、立ち上がりから1トップのチアゴを中心に、妹尾隆佑と石原崇兆の2シャドーがフレキシブルに動いて、中盤を活性化。それに対し、岐阜は三田光と新井涼平のダブルボランチがこの動きにのまれ、ビルドアップが出来なくなってしまい、逆に相手の金民均と竹田忠嗣のダブルボランチが高い位置でプレーしやすい状態となり、中途半端な位置でボールを奪われては、ショートカウンターを食らう悪循環に陥った。

この悪循環の中で、岡山に先制点が生まれた。8分、前線で張っていたチアゴが2列目に落ちる。これに対し、岐阜のCBは簡単に食いついてしまった。この隙を岡山は見逃さなかった。ボール持った金が、チアゴが落ちて出来たスペースに走り込んだ妹尾に対し、精度の高いスルーパスを通す。妹尾は一気に抜け出すと、慌てて飛び出してきたGK野田恭平を落ち着いて交わし、ゴールに蹴り込んだ。

掴み損ねた流れ。前節の鳥取戦の前半にパーフェクトな試合運びをした面影は全く残っていなかった。悪循環の中で失点し、その後もつかめないリズム。岡山は3バックを残し、後は中盤で思い切って仕掛ければよかった。なぜならば、岐阜はボールを奪っても、ボランチからアタッカーまでの距離が遠く、攻撃のスピードアップも出来ないし、サイドを有効活用できない。逆に岡山は岐阜の守備がボールサイドに寄り、選手個々の意識もボールに行ってしまう悪癖を利用して、前半途中から左ウィングバックの田所諒をほぼ4バック気味に低い位置に置いて、その分、石原を左のワイド気味に配置。右サイドで組み立てて、左が空いた瞬間に、彼のスピードを生かしてカウンターを繰り出す戦い方にシフトチェンジしてきた。35分を過ぎると、今度は石原を右ワイドに移し、田所を高い位置に押し上げて、攻撃に変化をもたらしてきた。
前半は完全に岡山の掌の中に踊らされた。スコアは1−0だが、内容は岐阜のいいところが全くないままに終わった。

後半、木村孝洋監督が動く。うごきの悪かったFW佐藤洸一に代え、ブルーノを、新井に代え李漢宰を投入。立ち上がりはこの策もかみ合わなかった。53分に中央にぽっかり空いたスペースから金に強烈ミドルシートを浴びると、59分には再び妹尾にスルーパスに抜け出される。これはペナルティーエリアの外に飛び出したGK野田恭がブロックするが、こぼれを石原に狙われる。だが、これはバーに助けられた。
この2つのピンチを切り抜けたことで、ようやく岐阜にチャンスが巡ってくる。64分、右サイドを突破したMF嶋田正吾の折り返しを、ニアでブルーノが合わせ、岐阜が同点に追いついた。このゴールでようやく岐阜にリズムが生まれる。対する岡山はロングボールが多くなり、徐々にコンパクトだった中盤が間延びをしていく。だが、この試合でようやく訪れた自分たちの流れも、岐阜は一瞬にしてフイにしてしまう。

77分、カウンターから右サイドを簡単に突破されてしまう。MF澤口雅彦のクロスに、ファーサイドに飛び込んだのはチアゴ。チアゴのヘッドはミートしなかったが、一緒に競り合ったDF田中秀人が着地した瞬間に、足に当たりそのまま力なくゴールへ。痛恨のオウンゴール。これは単なる不運ではなく、いくつかの問題点があった。それは前半から岡山が再三狙っていた両サイドをやすやすと突破を許したこと。フリーで簡単に上げさせてしまったこと。そのクロスに対し、田中と野田恭の連携がかみ合わず、相手にヘッドを許したこと。
「2失点目はテクニカルエリアでずっと『マークマーク!』と叫んでいたのに、そのサイドで崩された。相手からするとうちのDFラインの平均身長は低い。そのDFを困らせるにはクロスが有効。それも後半にやると、疲れもあり、反応が遅くなる。身長は一変に大きくならないので、そこは非常に苦しい。それをグループで埋めるために声を掛け合って、1週間やってきたのですが、それが出なかった」。
この木村監督の言葉はむなしく聞こえた。今季、幾度となく見てきた失点シーンだった。このゴールで勝負は決した。

その後もボール運びでもたつく岐阜に対し、岡山がカウンターでチャンスを作り出す展開。84分にゴール前の混戦から澤口にダメ押しの3点目を奪われて万事休す。
1−3の敗戦。厳しい言い方をすれば、歯がゆい45分と、帳尻合わせしかけて、最終的には自滅した45分と言うべきか。総じて、この試合で岐阜に変化は全くなかった。ただ淡々と時間が進んでいった印象を受けざるを得ない。
「一人一人のボールを持っている時間が長くて、すべて各駅停車プラス3分休憩のような状態になってしまっている」。
この西川優大の言葉がこの日の岐阜の出来を如実に表している。水戸戦や鳥取戦で好転の兆しが見えてきたのにもかからず、一瞬で元に戻ってしまった。戻ってしまった時間軸。この代償が大きいことを、全員が自覚しなければならない。今はもうこれ以上何も言えない。

以上

2011.09.04 Reported by 安藤隆人
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