8月24日(水) 2011 J1リーグ戦 第23節
山形 1 - 1 清水 (19:04/NDスタ/6,942人)
得点者:55' 岩下敬輔(清水)、80' 山崎雅人(山形)
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前節、J1残留に向けて重要な大宮戦をドローで終え、勝点8差から近づくことができなかった大きな理由に、先制点を奪われる展開になったことがある。追いかける展開となっては、やはり苦しい。残り12試合、猶予はない。迎えた清水戦、山形には先制点への強い渇望があった。
しかし、現実は違い、開始直後から押し込んだのは清水。太田宏介がパワフルにサイドを突破。高原直泰が負傷のため、わずか20分でピッチを去ったが、27分にはカルフィン ヨン ア ピンのスルーパスに抜け出したアレックスのシュートがバーを直撃するなど、押し込むなかで決定機も多くつくった。やや停滞しかけた30分過ぎには、小野伸二がポジションを上げたのを合図とするように再び高い位置に人数を送り込む。序盤には数度パスがズレる場面があり、運動量自体も多くはなかったが、「戦術的に前半は完璧だった」(ゴトビ監督)清水がゲームを支配した。それだけに、決定機を逸したことが悔やまれた。
一方の山形は前節の反省を活かせず、またも守備に多くの時間を割く前半となった。立ち上がりには速い縦パスが大久保哲哉から山崎雅人へつながりかける場面もあったが、清水の攻撃を耐え、ようやくボールを持てるようになっても、切り換え直後にボールを思うように動かせず、スペースを突くより清水が守備陣形をセットするほうが早かった。
試合前、小林伸二監督は「もう少し自分たちで自信を持って運べたり、ボールを保持する時間が長く作れると、(清水の守備の)穴がいっぱい空いてくると思う」と踏んでいたが、それはボールが動き続けているときの話。実際はセンターバックに戻して停滞し、その後も相手のブロックに穴を空けるほどボールを動かすことができなかった。清水のラインは浅かったが、こうなると受け手と出し手のタイミングだけで裏を突くのも難しく、セカンドボールも拾われてボールを手放すことになった。終盤には石井秀典のパスがアレックスに直接渡るシーンもあり、無失点で切り抜けたことだけが収穫だった。
後半開始直後、仕掛けた山崎を止めた村松大輔がイエローカードを受けると、山形はフリーキックやスローインからシュートまで持ち込んだ。しかし、清水も負けずに高い位置を取ると、55分、高原の負傷を受け途中出場していた大前元紀のフリーキックを、岩下敬輔がファーポスト際にうまく入り込んで先制ゴール。
またも先制を許す展開となった山形は、ここから猛反撃を開始する。左サイドの宮沢克行を川島大地に代えると、中央に下り足元で受けた山崎がターンして裏へ出したパスに太田徹郎が走り込んでシュート。GK山本海人も飛び出した無人のゴールだったが、猛スピードで戻った太田宏介に防がれた。山形はさらに、山崎がペナルティーエリアの中に入り込むシーンもあったが、勢いが続いたのは15分ほど。ゴールが割れない状態が長く続き、足の動きが止まるにつれて攻撃が停滞していった。
しかし、同点弾はこの停滞した時間帯に生まれる。山形のバックラインにあったボールが石井から左サイドバックの石川竜也へ。周囲にプレッシャーがないことを確認した石川は完璧なコントロールでボールをセットするとヘッドアップ。すでにプルアウェイから前方に走り始めていた山崎の走る軌道の先に、正確なロングフィードを送った。キーパーの位置は確認していなかったが、「感覚です」と体を投げ出し頭に合わせると、山本海の頭上を越えてボールはゴールマウスに吸い込まれた。
この同点弾で生きを吹き返した山形は、再び攻撃のギアを上げる。するとアディショナルタイム直前、ドリブルでペナルティーエリアに入った川島が村松に倒され、山形がPKを獲得。村松は2度目のイエローカードで退場した。小林監督からキッカーを任されたのはその川島。決めれば勝利が決定的となるPKだったが、GK山本にコースを読まれ、めぐってきた逆転の希望は潰えた。 会見でゴトビ監督は、前半の決定機を決めきれなかったことと併せて、「1点決めたあとに下がってしまっているところ。そこは改善していかなければいけないと思います」と先制後の試合運びで問題を提起し、ホームの山形・小林監督は「取ったあとにボールをしっかり回すと相手も守備をしなくちゃいけないんですけど、回せないで蹴らなくちゃいけない。前で収まればいいんですけど、収まらなかったらまた守備をしなくちゃいけないんですね。そこは少しレベルを上げなくちゃいけない」と先制点獲得への課題を挙げた。ただし、連戦は十分なトレーニング時間を確保してはくれない。次節まで中2日。中断前、最後の試合はどのチームにとっても死闘となりそうだ。
以上
2011.08.25 Reported by 佐藤円
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