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勝点3に飢えている両チーム。新潟は3連勝の後に2連敗と、このホーム戦で流れを変えたいところ。攻撃の核、左サイドハーフのチョ ヨンチョルの復調がカギになる。連敗中はほとんど見せ場を作れずに途中交代を重ねていた。ホームに戻り、チームと同様に自身も立て直す。大宮はここ4試合未勝利と勝ち切れない試合が続く。終盤の粘りがポイントになる。
神戸戦から中3日。夏場の連戦も、チョに疲労はない。むしろ「ボールにたくさん触りたいですね」と試合への意欲をアピールする。
大宮戦には因縁がある。前回の対戦（第10節・5月7日）、開始早々に右大腿部を肉離れ。その後、完治までに2カ月を擁した。今季ここまで3得点と、なかなかゴール数が伸びない状況に陥ったきっかけでもあった。それでも「相手に対して嫌なイメージはないです。スタジアムに対してはあるかもしれないけど」と笑う。「負けている間、得点していないので、ここから連続して取りたい」。第20節清水戦以来のゴールを見据える。
浦和戦、神戸戦の敗北の中、チョはシュートを打てずに終わっている。ボールを持った瞬間に最低2枚の相手守備の壁に遭い、行く手を阻まれるシーンが増えた。加えて得点を急ぐあまりチームの攻撃が単調になりがちで、サイドにボールが回るシーンが少なかった。左サイドの中盤からドリブルを仕掛けるチョの持味を発揮できない状況だった。
もっとも、練習での感覚は悪くない。コースが空けば、ペナルティーエリアの外からでも積極的にゴールを狙う。「新潟らしいサッカーをしたいです」。敗れた2試合、セカンドボールを拾えず、パスを回しても相手のプレスに押される展開。それを打開するには主導権を握るしかない。ポゼッション能力が高い大宮に対し、前線からプレスをかけ、奪ってから分厚い攻撃を仕掛ける。チョがその先陣を切る。
黒崎久志監督も連敗ストップの要素に「自分たちのサッカーが大事」と第一に挙げた。神戸戦、先制した後にリズムを崩した。裏を狙った相手の攻撃に次第にラインが下がり、ゴール前で慌てて飛び込みスペースを与えた。攻撃もタテを意識するあまり単調になり、ラストパスを奪われた。「早い攻守はいいが、慌ててはだめ。自分たちがボールを支配することを大切にしなければ」。局面で平常心を保てるかが、勝負の分かれ目でもある。
大宮は、ここ4試合で2分2敗。前節はホームで山形と1-1で引き分けた。後半に先制するも追い付かれてしまったように、勝ち切れない内容が続く。ただ、大差がついて敗れたのは第21節清水戦の0-3だけで、ほかの3試合は1点差以内。接戦に持ち込む守備力がある。攻撃陣もホドリゴ ピンパォンの加入で前線に厚みが増した。山形戦ではこれまでの4-4-2だけではなく、4-2-3-1のシステムに切り替えて得点するなど、戦術にも幅が出てきた。
走力をベースにしたスタイルを開幕時から積み重ねてきており、大勝はないが、大崩もしない。その分、一度自分たちの形をつかめば、勢いに乗る可能性は高い。
攻守にアグレッシブなサッカーを基盤にする両チーム。1点を巡る攻防が終了のホイッスルまで続く。
以上
2011.08.23 Reported by 斎藤慎一郎（ニューズ・ライン）
