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【J2:第25節 東京V vs 鳥栖】レポート:“攻”vs“守”対決は、“守”の鳥栖に軍配。東京Vが誇るゴールハンターは、肝心な局面で体を張った鳥栖の牙城を崩せず。(11.08.22)

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8月21日(日) 2011 J2リーグ戦 第25節
東京V 0 - 2 鳥栖 (18:03/味スタ/4,275人)
得点者:11' 丹羽竜平(鳥栖)、60' 豊田陽平(鳥栖)
スカパー!再放送 Ch181 8/22(月)深00:30〜
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リーグ最多の総得点を誇る8位東京Vと、リーグ中2番目に失点数の少ない7位鳥栖が勝点1差で迎えた対決。東京Vの河野広貴が「とても大事な試合だと、監督も試合前から言っていたし、みんなもそれを十分わかっていた」と話せば、鳥栖の丹羽竜平は「ここで負ければ下にのまれる、勝てれば上についていける、という大事なゲームでした」と位置付ける。このコメントだけでも、今節がいかに両者にとって重要だったかが伝わってくるだろう。そして、その決戦を制したのは、“守”の鳥栖だった。

鳥栖にとっては、自分たちのストロングポイントが存分に生きた、まさにプラン通りのゲーム内容だったと言えるのではないだろうか。
池田圭の出場停止により、チーム得点王の早坂良太をトップ下に置くなど、前線の配置に少し変更を加えこの試合に臨んだ。「狙いとしては、早坂選手と僕が中心でDFと中盤の間でボールを受けて、相手のセンターバックを引っ張り出していこうと」(豊田陽平)。それが奏功した1点目だった。
前半11分のことだ。福田健介から阿部拓馬に上げた中盤でのパスを右サイドバックの丹羽が背後からすかさずカットすると、豊田陽平に預けその勢いのまま前線へと一気に加わる。「東京Vが中に絞っていて、サイドが開くのはわかっていた」(丹羽)。豊田が開いた左サイドの金民友に叩き、それを金民友が折り返すと「(金)民友のボールが大きくて、相手のDFは前にいて、中盤の選手もついてこれないと思ったので、足を出せば届くかなと思って出しました」上がっていた丹羽が強烈なボレーシュート。GK柴崎貴広が素早く飛び出しファインセーブで弾いたが、「またボールが頭に跳ね返ってきたので、枠を外さないように」と、再び丹羽が頭で押し込み、2006年以来、自身通算2得点目となる待望のゴールで、チームを優位に導いた。

そして後半15分、フリーの状況でペナルティエリアの外から放った藤田直之のシュートが豊田に当たり、コースが変わってゴールイン。その数分前の接触プレーで痛んだ東京V・土屋征夫がピッチ外で治療行っていたため数的有利だったところで、チャンスコースを見逃さず遠目からでも狙っていく積極性は、鳥栖というチームの「緩みの無さ」という特長が表れていたのではないだろうか。

DF丹羽が「失点が少ないので、DFライン4枚とGKは自信をもって、良いイメージで臨めている」と誇る現在の鳥栖とって、2点のリードは十分だったと言えよう。後半35分に途中から入った野田隆之介が一発退場を受け、2試合連続で10人の戦いを強いられたが、2点差の精神的余裕もあっただろう、大きな破たんをきたすことなく東京Vの猛攻を最後まで全員で体を張って凌ぎ切り、得点力誇る東京Vを13試合ぶりに零封した。

5月以来今季3度目の連勝、4試合ぶりの複数得点、5試合ぶりのアウェイ戦勝利と、鳥栖にとってはこの勝利を機に一線を越えた感はある。次節、今季初の3連勝を果たし、この勢いを一過性のものにせず猛追態勢へ入れるか。試される大事な試合は続く。

東京Vとしては、試合前、選手たちのほとんどが「先に失点しないことが大事」と語っていたが、言い方を変えれば、是が非でも先に点が奪いたかった。そのために、佐伯直哉は「立ち上がり15分」をポイントに挙げていたが、残念ながらその最も慎重であるべき時間帯に失点を喫してしまった。
だが、最も避けたかった立ち上がりだったとはいえ、ひと頃の得点力不足に苦しんでいた時とでは、同じ先制点を献上した展開でも、ショックの度合いはだいぶ違っていたのではないだろうか。
相手が堅守が看板の鳥栖ということも考えれば、当然先制点を与えて気落ちしないはずはない。だが、「先に1点取られても、2点取れば勝てる」というのが、今のチーム状況と言えよう。
実際、失点後もすぐに気持ちを立て直し、前後半とも多くの時間を自分たちのペースで試合を運んでいた。

だが、一方では、川勝良一監督が「フィニッシュを可能性関係なく単純に打つというウチの悪い癖が出た」と語れば、「セカンドボールが拾えなかった」(河野広貴)、「パスミスが多かった」(高橋祥平)など、「内容はそんなに悪くなく、ゲーム自体負けた気がしないゲームを落としている」(川勝監督)という、ここ何試合かで見られた状況を、自分たちで再び繰り返してしまったのは、大事な試合だっただけに非常に悔やまれる。

試合後、鳥栖の選手が「菊岡(拓朗)選手が途中で負傷退場したことで、多分東京Vのプランは変わってしまったんだと思う」とコメントしたが、当然影響は小さくなかったとはいえ、決してそれがすべてではないだろう。菊岡に限らず、どの位置の誰が抜けて誰が入っても、入った選手の特長を生かし合い、勝利するチーム作りを東京Vはしてきているだけに、この試合に限って言えば、小林祐希が入った時点で彼の個性を活用したサッカーに切り替えていたはずである。ただ、「ゲームの流れと普段のサッカーの形との変化に柔軟性が持てないっていうのもまだウチのチームの中ではハッキリ言ってあるなと感じる」(川勝監督)ということではないだろうか。しっかりと、互いの個性を生かし合うサッカーを突き詰めていきたい。

特長を生かすという意味では、光明が見られたのは中谷の存在ではないだろうか。2試合目の出場となったが、この試合では、彼がサイドハーフとして投入されてから流れがガラリと変わり、高いテクニックと丁寧なパス出しでスムーズにボールも動いた。阿部との連携もしっかりできており、ゴール前のビッグチャンスも作っていた。また、平本一樹の投入後には本来のサイドバックにも入り、高い守備力と豊富な運動量でポテンシャルの高さを見せた。今後どのように川勝サッカーに新しいスパイスを加えるか。非常に楽しみな存在だ。

「まだチャンスは残っている」河野の言葉を現実のものにするためにも、次節こそが最大の正念場となる。

以上

2011.08.22 Reported by 上岡真里江
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