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【J1:第20節 大宮 vs 仙台】レポート:手倉森監督の檄で奮い立った仙台。大宮は2点のリードを守り切れず勝点2を失う。(11.08.08)

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8月7日(日) 2011 J1リーグ戦 第20節
大宮 2 - 2 仙台 (19:03/NACK/9,979人)
得点者:14' ラファエル(大宮)、40' ホドリゴピンパォン(大宮)、55' 赤嶺真吾(仙台)、77' 菅井直樹(仙台)
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どうしてもホームで勝てない。2週間前にほとんどチャンスを与えず1−0で勝った相手に、それも7月は勝星がなく得点も1点しか取れていないチームを相手に、前半だけで2点差をつけたのだから、雨の中を駆けつけた大宮ゴール裏のサポーターたちは、待ちに待った今季ホーム初勝利を確信したに違いない。しかし後半の蓋が開いてみると、前半とはまったく逆の展開が待っていた。

開始から大宮は、圧倒的にボールを回してゲームを支配した。新加入のホドリゴ ピンパォン&ラファエルの2トップと、藤本主税&李 天秀の攻撃的MFが流動的にサイドで起点を作り、仙台を押し込んでいく。14分、右サイドの李 天秀のクロスからラファエルの一撃で先制。その後は落ち着いて相手にボールを持たせ、40分には電光石火のカウンターからピンパォンがチーム合流4日目のデビュー戦にして初ゴールを決めた。
仙台はロングボールを2トップに早めに入れてきたが、大宮の集中力が高くセカンドを拾えない。後ろからつなぐにも大宮の前線からの寄せが速く、囲まれては奪われてフィニッシュまで持ち込まれた。ただ、劣勢の中で仙台にも惜しい場面は2回あった。一度は梁 勇基の右コーナーキックからこぼれ球を鎌田次郎のボレーがバーを直撃。そしてロングボールを赤嶺が落とし、右からDFラインの裏に走り込んだ太田のシュートがポストを叩いた。
この2つの場面、大宮にとっては「ツイてる。助かった」というだけのものだったが、仙台にとって「(あれが入っていれば)五分五分だ」(手倉森誠監督)と、後半の希望を灯す大きなものとなった。

大宮は過去に何度も前半にリードして、あるいは良い内容で圧倒して折り返しながら、「後半の入り方が悪くて立ち上がりに失点」(鈴木淳監督)を繰り返している。もちろんそれは選手たちも分かっていて、「下がったらダメだと、みんなで声をかけて、最初からやり通そうと話をした」(上田康太)、「後半の入り方を大事にしようと話し合った」(杉山 新)と、強い気持ちで臨んだはずだった。
しかし、仙台の気持ちはさらにその上を行った。この試合のメンバーは、震災からの再開のゲームと同じ。手倉森監督に「あの逆境をはねのけて川崎Fに勝ったお前らが、こんなものか。もっと動き出しを早くして、もっとゴールに向かえ」と送り出された仙台イレブンは、前半に大宮がやれていたことをそっくりそのままピッチで表現した。

後半開始から、仙台は前線から激しくプレスをかけて大宮のビルドアップを寸断すると、サイドに起点を作って大宮のDFラインを押し下げる。大宮は縦が間延びした上に、サイドを揺さぶられたことで、選手間の横の距離も開き、仙台が自由に間に縦パスを通し始めた。後半開始10分、左サイドを駆ける梁勇基に大宮は誰もついて行けず、正確なクロスから赤嶺真吾がゴールを割った。
お互いに間延びして中盤がなくなり、試合はカウンターの応酬の様相を呈し始め、それはどちらかというと仙台の望む形だったろう。63分に松下年宏を投入して梁勇基をボランチの位置に下げ、67分に赤嶺に代えて中島を入れ、仙台は完全に得意のカウンターモード。大宮も63分に疲れの見えるピンパォンに代えて石原、藤本に代えて東を投入し、こちらも真っ向撃ち合いモードになるが、攻めきっていたのは仙台のほうだった。
77分、関口のループ気味のミドルを北野が右手一本で弾き出すが、そのコーナーキックからチョ・ビョングクのヘディングシュートが左ポストをたたき、はね返りが右ポスト手前で倒れていた菅井直樹の足元へ。文字通り仙台に同点ゴールが転がり込んだ。
その後も激しいカウンターの応酬が続いたが、お互い人数をかけて攻めるものの疲れから精度が低く、一発で決めようという焦りがミスを生み、得点には至らず。タイムアップの瞬間、大宮の選手の何人かは茫然と腰に手を当て、仙台の選手の何人かはその場にへたり込んだ。それだけ激しい戦いではあった。

大宮は、分かっていても悪い流れを止められなかった。「(リードを奪っても)なかなか勝ち切れていないので、さらに点を取りに行くというより、(失点したくないと)受けに回ってしまう」という趣旨の言葉を、鈴木監督の口から聞くのは何度目のことだろう。気分的には負けにも等しい勝点1となったが、それでもピンパォンがさっそく初ゴールを挙げたという収穫もあった。ラファエルとの相性はもちろん、上田康太らパスの出し手も「やりやすい」と好評価しており、さらにフィットしてくればチームとして得点力が上がり、攻めきることで失点も減ってくるはずだ。

そして仙台にとっても、この勝点1は大きな収穫だ。2失点は堅守を誇る仙台としては反省点だが、リーグ戦で久しぶりに2得点したことと、リードされても粘り強い守備と精神力で劇的なゴールをねじ込んでいた、序盤の戦い方が蘇ったことが何より大きい。

しかしつくづく、サッカーはメンタルのスポーツだ。繰り返すが、前半、仙台はまったく良いところはなかった。確かにバーとポストに嫌われた場面はあったが、あくまで単発に過ぎず、試合は完全に大宮のものだった。しかしその単発の『惜しい場面』を使って、さらに再開初戦の川崎F戦と同じメンバーという偶然をも使って、手倉森監督が飛ばした檄が仙台の選手を奮い立たせ、試合の様相を一変させてしまった。大宮にとっても仙台にとっても、勝点1を分け合った中に、収穫と、教訓が得られた一戦だったのではないか。

以上

2011.08.08 Reported by 芥川和久
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