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前節、首位の横浜Fマリノスを相手にアウェイで先制しながらも、大黒の２ゴールで逆転負けを喫した大宮が、ホームに仙台を迎える。“HOT 6”と銘打たれた７月の６試合で、大宮は１勝１分４敗の勝点４、仙台は０勝３分３敗と、両者とも低調だ。大宮はその戦績ながら５得点とゴールは挙げているものの、失点が８と多い。一方の仙台は、リーグ戦最後の得点を７月２日の名古屋戦の１ゴールまでさかのぼらねばならないほどに、得点力不足は深刻だ。
試合の様相としては、ポゼッションして攻める大宮と、守りを固めてカウンターあるいはセットプレーの一発にかける仙台という図式になるのだろう。事実、２週間前に仙台のホームで行われた第６節はそういう試合になった。ただし結果は、大宮がショートコーナーから上田康太のクロスを李天秀が頭で決めた１点を守りきって勝った。大宮の生命線である攻撃においては、鈴木淳監督が「カウンターを警戒して、腰が引けているというか、積極的に前に行くというより失点したくないという感じに終始してしまった」と語る通り、さほど迫力を見せられたわけではない。
中２週間での再戦だけに、お互いに修正点と相手の攻略ポイントは鮮明なはず。そもそも前回の対戦では、ロングボールを警戒してフォーメーションを4-2-3-1に変更して臨んだことが、仙台にとってゲームを難しくした。予想と違いボールをつないでサイドに起点を作って攻めた大宮に、仙台の中盤が引っ張られてトップを孤立させてしまった。上田康太が「向こうも前回は下がりすぎたから、今度は前からプレッシャーをかけてくると思う」と警戒するように、そこはきっちりと修正してくるはずだ。
しかも仙台はここ最近で見れば、チーム状況は上向いている。７月27日のナビスコカップ柏戦では2-1の勝利を収め、その４日後の前節・柏戦でも素晴らしい守備を披露した。コンパクトにラインを高く保ち、素早い攻守の切り替えで柏に自由を与えず、決定機を作らせなかった。「(無敗だったころの)戦い方が戻ってきた」(鎌田次郎)と手ごたえも感じている。あとはいかに少ないカウンターのチャンスを生かせるかが課題であり、その点でポゼッションしている割に攻めきれず、失点も多い大宮は格好の相手かもしれない。
一方の大宮にとっても、堅守ではあるが得点力不足の仙台であれば、よりリスクを負って攻めに出られるはす。大宮は８月３日、攻めきるためにホドリゴ ピンパォンを獲得した。セレッソ大阪で７月半ばまでプレーしていた、スピードとフットサル仕込みの足技が武器のストライカーを、指揮官も「スピードとゴールに向かう姿勢がある。ボールを持って攻めても得点を取れない状況なので、そこを決めてくれるのではないか」と高く評価。練習では早速レギュラー組でプレーさせ、紅白戦ではピンパォンをワントップにした4-2-3-1フォーメーションも試すなど、その期待の大きさがうかがえる。ただし、「動き自体は問題ないが、長い時間やれるか分からないし、周囲とのコンビネーションもまだまだ」(鈴木監督)でもあり、スタメンは微妙だが、間違いなくベンチ入りはしてくるだろう。
さらには７月10日のガンバ戦で負傷し、戦線離脱していた石原直樹も復帰する。彼の不在が大宮の不振の大きな要因でもあっただけに心強い。「だれをスタートから使うかも大事だが、だれをベンチに残しておくと効果的かということも踏まえ、90分を見すえて前線の組み合わせを考えたい」(鈴木監督)と、豊富な駒を駆使して攻撃サッカーを前面に押し出し、仙台の堅守を崩しにいく。
お互いに不調の中にも、明るい兆しをつかみながら挑む一戦。勝利すれば明るい兆しはさらなる自信となり、停滞感を振り払って浮上するきっかけになる。さらに大宮は、ホームのサポーターに初勝利を届けるため、是が非でも勝たねばならない事情もある。ポゼッションと堅守速攻のがっぷり四つ。攻めきってこじあけるか、耐えてしたたかに隙を突くか――緊張感あふれる好ゲームを期待したい。
以上
2011.08.06 Reported by 芥川和久
