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前節の勝利で13戦無敗のクラブ記録に並んだ名古屋が、未知の領域へと足を踏み入れる。連続無敗のリーグ記録は鹿島が2009年に記録した17試合。あと４という数字が多いか、少ないか。現在5連勝中の今の名古屋には、少ないと思わせるだけの勢いと強さが同居している。記録が始まってから14戦目の相手は、先だって行われた「スルガ銀行チャンピオンシップ 2011 SHIZUOKA」でPK戦の末にタイトルを獲得した磐田。中3日での試合となるアウェイチームに対し、ホームチームは1週間の十分な休養というアドバンテージをもって迎え撃つ。
磐田は絶対的エースの前田遼一が負傷離脱し、手負いの状態で王者に挑むことになった。診断結果ではこの一戦での復帰の可能性もなくはないが、シーズンを見据えれば無理はさせないだろう。スルガ銀行チャンピオンシップでは荒田智之が見事なボレーシュートを決め、新人ながらすでにリーグ7得点を挙げている金園英学が負傷から復帰しており、前線の構成にはメドが立っている。他にもジウシーニョや、こちらも新人ながら現在5得点の背番号10・山田大記など得点力のある選手は多く、彼らの組み合わせでエース不在をカバーしてくるはずだ。
しかし、前田欠場となれば名古屋のストロングポイントである高さがさらに威力を増す。磐田の攻撃は駒野友一や山田、ジウシーニョらによるサイド攻撃がメインだが、クロスの先には高い壁がそびえている。184cmの金園も、191cmの増川隆洋、185cmの田中マルクス闘莉王らが握るゴール前の制空権を奪うには経験が足りない。今季の磐田対策としてはサイドを潰すというのが一般的な考えかもしれないが、前田がいなければ名古屋にとってクロスはそれほど脅威にはならないだろう。注目したいのはクロスを跳ね返したあとのセカンドボールだ。セカンドボールをどちらが拾うかで、試合の流れは決まる。名古屋が拾えばカウンターにもポゼッションにも自由自在の攻撃が始まる。磐田が拾えば波状攻撃が展開される。磐田の対策も含め、主導権争いの重要なファクターとして目が離せないところだ。
もちろん、単純なサイドのマッチアップも見逃せない。駒野vs阿部翔平、玉田圭司vs駒野、山田vs田中隼磨という1対1の攻防は見応え十分。ともに攻守の起点をサイドに置くチームだけに、ここでは負けられないという意地のぶつかり合いが見られそうだ。忘れてはならないのが小川佳純。1対1の勝負だけでなく、ここ数試合はサイドでの縦のフリーランニングでチャンスをいくつも創出している。緩急の「急」の部分を作り出す存在として、この一戦でもサイドの深い位置での存在感を示してくれるに違いない。
さらには、名古屋には楢崎正剛や田中隼磨、磐田には川口能活や那須大亮など、それぞれのチームには4日に亡くなった松田直樹さんと親交の深かった選手も多い。様々な思いの交錯する一戦で、Jリーグ史上に残る名DFに「面白い」と思わせるプレー、試合を、彼らは捧げようと思っていることだろう。名古屋は連続無敗のクラブ記録更新がかかる一戦となるが、まずはこの“東海ダービー”が、激しく、熱く、楽しいゲームになることを願う。
以上
2011.08.05 Reported by 今井雄一朗
