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【J1:第19節 福岡 vs 名古屋】レポート:福岡、力負け。気迫あふれる戦いも名古屋に完敗。(11.08.01)

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7月31日(日) 2011 J1リーグ戦 第19節
福岡 0 - 3 名古屋 (19:04/レベスタ/19,421人)
得点者:51' 玉田圭司(名古屋)、73' 藤本淳吾(名古屋)、90'+1 ケネディ(名古屋)
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昨シーズンのリーグチャンピオンに対して前半を終えて0−0。この段階では、「行ける」と思っていた福岡サポーターは多かっただろう。ボール支配率も、決定機の数も、明らかに名古屋が上。内容も、質も、福岡とは一段階も、二段階もレベルが違った。しかし、それでも随所で体を張ってゴールを守る福岡は、ワンボランチ気味で守るダニルソンの両側にできるスペースへ成岡翔が入り込んでボールを引き出し、そこへ中町公祐が絡み、相手のミスに乗じてカウンターを仕掛けるという狙い通りのサッカーを展開。そして、ここのところ積極性を失いかけていた城後寿が、「俺が決めるんだ」と言わんばかりにゴールに向かって仕掛けに仕掛けた。単純なミスは相変わらず。バイタルエリアから先を、どうやって崩すのかという課題もあった。しかし、ピッチに立つ11人が、力を100%出してファイトする姿に、この日スタジアムに足を運んだ19,421人の観客の多くは、強豪・名古屋相手に福岡がアップセットを実現する姿を思い浮かべたはずだ。決定機を決めきれない名古屋が、ワンチャンスを活かした福岡にしてやられる。試合の流れは、その方向に向かっているかのようにも見えた。

しかし、現実は甘くはなかった。
「前半はエネルギーを費やした割には何もなかった。なので、後半はしっかりと変えていかなければいけないと感じた」(ストイコビッチ監督・名古屋)
名古屋が攻撃のスイッチを入れて前へ出ると、福岡はその変化にまったく対応できないままに自陣内に押し込まれた。そして51分、名古屋が鮮やかに福岡の守備陣を崩す。左SBの阿部翔平から藤本淳吾にボールが渡るやいなや、左サイドに流れていた小川佳純がトップスピードで最終ラインの裏を取る。そこへ渡る藤本からのスルーパス。小川が福岡DFを引きつけてマイナスのボールを送ると、今度はフリーになっていた玉田圭司が現れる。最後は左足で合わせるだけだった。
名古屋の追加点は73分。自陣内で福岡からボールを奪い返すと、小川がドリブルで持ち上がる。その後ろを回り込んで右サイドのスペースへ走りこんだのは玉田。その玉田からのグラウンダーのクロスにケネディは合わせられなかったが、こぼれたボールをファーサイドからドフリーで走りこんだ藤本が合わせた。さらに名古屋はアディショナルタイムにPKで3点目をゲット。「後半は完璧に違った内容になり、我々の力はしっかりと出せた」と言うストイコビッチ監督の言葉通り、後半に入って戦い方を修正した名古屋が当たり前に勝利を飾った。

そして敗れた福岡は2連敗。前半は互角に戦い、あわやというチャンスも作りながら、後半に入って相手がスイッチを入れると全く対応できずに失点を重ねるのは開幕戦の新潟と同じパターン。その後も、同じ形で敗戦を重ね、この日も同様に敗れた。開幕から数えて既に5カ月が経過したが、組織としての成熟度は高まらず、いまだに同じことを繰り返し続けていることに、福岡が抱える大きな問題がある。
もちろん、個々の能力差が敗戦の要因であることは確かだ。ラストパス、フィニィッシュの精度の低さや、決めきれる力が不足しているという開幕以来の課題がまったく解消されていないこともチームに重くのしかかっている。しかし、そうした部分の強化をしながら、足りない部分は組織で補うのが福岡がやらなければならないこと。だが現実は、その組織力さえ、他のチームとの間には埋めきれない差がある。19試合を戦ってもなお変化が見られないという現実は、何かを変えない限り状況に変化が生まれないことを意味している。ハマゾッチの補強は、そのひとつだが、攻守において組織を成熟させるために何をするか。それが何よりも求められている。同一線上で準備しても結果に変化は現れない。

さて、勝利した名古屋は5連勝。開幕直後は勝ちきれない試合が続いたが、これで13戦負けなし。高さと強さと個の能力に加え、組織としての力を身につけたチームは、本来の強さを発揮し続けている。その中心を担っているのが、この日のゴールで得点順位単独1位になった玉田。1.5列目を広く動き、ボールを収めてチームのリズムにアクセントを加えることで周りの力を最大限に引き出しているばかりか、時にドリブルで相手守備陣を切り裂き、そしてゴールゲッターとしても申し分のない働きを見せている。名古屋の強さは玉田あってこそと言っても過言ではない。その力を武器に、名古屋はリーグ2連覇に向けて戦い続ける。

■この試合のHOT BALLER:玉田圭司(名古屋)

以上

2011.08.01 Reported by 中倉一志
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