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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J2:第23節 札幌 vs 岐阜】レポート:数的優位になりながらも、選手とベンチワークがガッチリと噛み合った札幌がホームで見事に勝点3をゲット。敗れた岐阜は4連敗も、向上の手応えは掴んだ。(11.08.01)

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7月31日(日) 2011 J2リーグ戦 第23節
札幌 1 - 0 岐阜 (15:03/札幌厚別/8,904人)
得点者:84' 上原慎也(札幌)
スカパー!再放送 Ch183 8/2(火)前09:30〜
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夏真っ盛りの7月最終日に行われたデーゲーム。空はスッキリと晴れて太陽が顔をだし、公式記録による気温は26.2℃。しかし、厚別競技場特有の風が吹いていたこともあって、比較的涼しいコンディションだった。

しかし、立ち上がりはこの風が試合展開を低調なものにしてしまう。「風もあったし、相手を押し込もうと長いボールを多くしていたら、そういうプレーばかりになってしまった」と札幌の古田寛幸。対する岐阜もアウェイゲームということもあって前線にる187センチの長身FW西川優大にパスを当てるシンプルな攻めをしていたこともあって、「立ち上がりは長いボールがあまりにも多すぎた」(札幌・石崎信弘監督)。

15分を過ぎたあたりになると、札幌の守備的MF河合竜二が最終ラインまで下がってボールを受けるようになり、ここから札幌はパスが回るようになる。今シーズン開幕からセンターバックとしてプレーし、札幌の堅守を支えてきたこの河合は、本来は守備的MFの選手。戦術眼もあり、ロングボールが多くなっていた攻撃を、シンプルなパスさばきで見事に落ち着かせてみせた。

岐阜のほうも序盤こそ西川を狙ったロングボールがメインだったが、その大半を岡山一成、山下達也という札幌の長身センターバックに跳ね返されてしまい、足下でボールを動かす攻撃に変わっていく。負傷を抱えながらも出場した左MF押谷祐樹に預け、そこからの展開でチャンスをうかがう。

この展開になると札幌に分がある。札幌は高いエリアからの組織的なプレッシングを武器にしており、足下でパスを動かす相手にはそのスタイルが上手くハマる。そして奪ったボールは右サイドへと展開。岐阜のセンターバック秋田英義が札幌の1トップの内村圭宏に食いつきすぎてしまう場面が多かったため、ここで生まれたギャップを突いて古田や高木純平らが何度もサイドを突破した。こうして札幌優位の展開で試合は進んでいく。

しかし後半開始早々、相手DFラインの裏に抜け出してボールをコントロールした内村のプレーが故意のハンドとジャッジされ、2回目の警告となって内村が退場処分となってしまう。優位に試合を進めていたはずの札幌が、突如として数的不利な状況を強いられてしまったのだ。

ただし、札幌にとって不幸中の幸いだったのは、退場となったのが攻撃の選手だったというところだろう。もしこれが守備の選手であれば、交代枠を使ってベンチから選手を投入しなければならないところだったが、この場面では左MFにいた近藤祐介を1トップに置く4−4−1のシステムに変更。「4−4−1にしてまずは失点をしないことを考えた。1人少ないぶんしっかりと守備のブロックを作って、ボールを奪ったところからスピードアップをしていくように指示した」と石崎監督は振り返る。

こうして戦い方がハッキリしたことも札幌には大きかった。0−2のスコアで大敗した前節の千葉戦では、高い位置からプレスを仕掛ける前方の選手と、相手の長身FWのケアでラインを上げられない後方の選手とで意識のズレがあった。それがこの試合では数的不利という状況で、強制的にチームの意思統一が図られたわけである。

岐阜のほうはマイボール時に受けるプレスが厳しくなくなったため、前半よりも精度のあるフィードができるようになったし、ボールをスムーズに運べるようになった。しかし、ハイボールは前述の岡山、山下だけでなく、その前でプレーする河合、宮澤裕樹という身長180センチ以上の長身選手にことごとく跳ね返されてしまい、ボールを運んでチャンスを作っても、肝心なところで技術的なミスが出てフイにしてしまう。札幌が築いた守備ブロックの前に、岐阜は決定機を作り切れないまま。

そうして迎えた83分、「ある程度バランスを見ながらラスト10分になったときに、リスクを冒してでも得点を取りにいこうと」考えた石崎監督は前線に186センチの長身かつジャンプ力を持つ上原慎也を投入。システムも3バックにし、左利きの古田を左ウイングバックに配置してクロスを入れさせる戦い方にスライド。勝負に出た。

そして直後の84分、その采配が奏功する。リスタートの流れからパスを受けた古田が見事なクロスを入れ、それに対して抜群のタイミングで飛び込んだ上原が豪快なヘディングでゴールネットを揺らし、勝負を決めた。

数的不利となった札幌にとっては、苦しい試合展開だったことは間違いない。しかし、ベンチの采配を的確に選手たちが実践し、内容が芳しくない試合ながらも勝点3を掴み取った意味は大きい。順位も6位に上げ、ここから勢いに乗りそうな気配も出てきた。

一方、敗れた岐阜はこれで4連敗。しかも4試合連続の完封負けだ。しかし、李漢宰はハッキリとこう言った。「この試合も主導権を取れていた時間帯はあったし、間違いなくチームは上向きになっている」。

まだまだリーグ戦は折り返しのタイミング。勝点を積み重ねることも大事だが、勝点を積めなかった試合でどれだけ手応えを積み上げていくのか。それもまた、上位に浮上するためには重要な要素。その意味では、どちらのチームにも大きな意義のある試合だったということなのだろう。

以上

■この試合のCoolballer:上原慎也(札幌)

2011.08.01 Reported by 斉藤宏則
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