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【J1:第5節 広島 vs 福岡】レポート:集中した福岡の守備を、最後まで崩せない。団結の紫の力、攻撃面で機能せず。(11.07.19)

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7月18日(月) 2011 J1リーグ戦 第5節
広島 0 - 0 福岡 (18:04/広島ビ/9,864人)
スカパー!再放送 Ch183 7/19(火)後04:00〜
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負けなくて、よかった。
後半アディショナルタイム、福岡の左クロスに重松健太郎が決定的なタイミングで飛び込んだ瞬間、「やられた」と覚悟した。2008年6月15日、広島ビッグアーチ。やはりアディショナルタイムに田中佑昌に強烈なロングシュートを決められ勝点2を失った、あのシーンがフラッシュバックする。ただ、4年前と違い、重松のシュートはポストを直撃した。その1分後に試合が終わった瞬間、冒頭の言葉が頭をよぎったのだ。

なるほど、シュート数は18対9、ボール支配率でも福岡を広島が上回っていた。だが、決定的なチャンスの数はどうか。福岡は、32分の中町公祐、61分の成岡翔、63分の城後寿、そして前述の重松とあわせ、4度も決定機があった。西川周作が君臨するゴールを割ることはできなかったが、広島に戦慄を与えるには十分だ。
一方の広島は、ミキッチのクロスに佐藤寿人が飛び込んだ試合冒頭のシーンが、最大の決定機。押し込んではいるが、決定的なシュートはほとんどない。福岡・篠田善之監督が「プランどおり。守備は評価できる」と胸を張ったのも当然だった。

福岡の守備はメリハリが効いていた。最大の脅威となったミキッチには、和田拓三と松浦拓弥の二人がかりで対応しても突破されることはあった。だが、それでも慌てず、中を固めておけば崩れないという信念を貫いた。李忠成とムジリ、そして佐藤寿人の3人に対して自由を与えず、それぞれを孤立させるように人員を配した。前線からのプレスが売り物の福岡だが、広島に対しては状況に応じて使い分け、プレスに行き過ぎることで中央のスペースを広島に与えることを避けた。その戦術は、ピタリとはまった。

これまでの広島は、「広島対策」をことごとく粉砕してきた。キーワードは意外性。フォーメーションは自在に変化し、後ろから次々と危険な選手が現れる頻繁なポジションチェンジとワンタッチコンビネーション。相手の想定を超える意外性が「対策」を無力化した。だがこの日の広島には、アメーバのような柔軟性はなかった。「寿人さんを追い越すような場面がほとんどなかった」と森脇良太が唇を噛む。また森崎和幸は「3人目の動きなどがもっと生まれてくれば」と指摘する。常にサポートを続け、いい距離感を保ち、3人目・4人目が絡んでいく。フォーメーションにとらわれず、自由闊達な中にも規律性のあるサッカーが、サポーターの心をつかんでいたはずなのに。
「選手個々は、本当に頑張っている。だけど、それがチームとして同じベクトルを向いていない」
複数の記者から、同じような意味の言葉を聞いた。それはおそらく、見ているサポーターの実感。今年の春、「団結の紫」というキャッチフレーズがサッカー専門誌を飾ったが、今はその「団結力」が攻撃に活きていない。

「団結心」が全て失われたわけではないはずだ。ハーフタイムにも選手たちが声を出し、チームの問題点について話し合う姿が見られたという。ただ、その努力が形になるまでには至らない。福岡の守備に阻まれて決定機をほとんどつくれず、勝点1を得るのが精一杯だった。
とはいえ、「全てを悪い方に捉える必要はない」と森崎和は言う。実際、2試合連続で3失点をくらっていた守備陣が奮闘し、完封を果たした事実は重い。運もあった。しかし、成岡や城後のカウンターによる独走に対して守備陣が諦めず身体を寄せたからこそ、西川のスーパーセーブを導けたことも事実。佐藤は危険なシーンを察知して最前線から必死に戻ってボールを奪い、リベロの森崎和も中盤にあがってボールを奪って前に走り、攻撃の起点となった。攻撃面では機能しなかった「団結力」が、守備では発揮されていた。これは、チームとして一つの前進である。

「チャンスでゴールを決める」というサッカー永遠の課題を突きつけられた感のある福岡だが、団結心と集中に満ちた守備は見事。こうした守備を続けるのは簡単ではないが、4試合で勝点7という好調は、この集中に満ちた守備ありき。絶望的な連敗の中でも希望を失わず、自分たちがやるべきことを愚直に信じて続けてきたことが、少しずつ結実しようとしている。
広島も、そんな福岡の姿勢を見習うべきだろう。確かに今は結果が出ていないが、下を向いてしまっても意味がない。守りだけでなく攻撃でも「団結の紫」を思い出すことだ。2度も勝ち越されながら、その度に全員が団結して個の能力で勝るアメリカに追い付き、優勝を果たしたなでしこジャパン。彼女たちの姿を見れば、首位から8ポイント差になり、3試合勝利から遠ざかったくらいで、諦められるはずがない。

■この試合のHOT BALLER:西川周作(広島)

以上

2011.07.19 Reported by 中野和也
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