7月18日（月） 2011 J2リーグ戦 第21節
草津 0 - 5 鳥取　（19:04／正田スタ／1,979人）
得点者：11' 美尾敦（鳥取）、39' オウンゴ−ル（鳥取）、51' 美尾敦（鳥取）、63' 美尾敦（鳥取）、81' ハメド（鳥取）
スカパー！再放送 Ch183 7/19（火）後09:30〜
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草津にとって新たなスタートになるはずのゲームは、惨劇の舞台となってしまった。今季Ｊ２へ昇格した鳥取相手に０対５というスコア。草津側メインスタンドは前半の２失点まではまだ活気を保っていたが、３失点目にため息が上がり、４失点目にはあきらめの嘆き、最後の５失点目には失笑が起こった。草津は鳥取の威勢良いサッカーに完膚なきまでに叩きのめされ、言い訳のできない完敗を喫した。

エース・ラフィーニャの電撃移籍で攻撃陣の組み直しを余儀なくされた草津は萬代宏樹とアレックスを前線に配置、ケガから復帰した後藤涼を２列目に置く新布陣でゲームへ挑む。対する鳥取は、出場停止の服部年宏に代わり三浦旭人が中盤へ。さらにハメド、梅田直哉の２トップという意表をついた布陣で試合に入った。そしてハメドが脅威の能力を発揮することになる。

結論から言うと草津はハメドをまったく止められなかった。開始直後からハメドにドリブル突破を許していたが前半１１分にそれがゴールへつながってしまう。ハメドが左サイドからペナルティエリアをえぐり強烈なシュート。橋田聡司が弾いたボールを美尾敦に押し込まれて草津はあっさりと先制を許す。

草津がかろうじて自分たちのサッカーを披露したのは前半３９分までだった。草津は中盤でしっかりとボールを動かしチェンジサイドを実行、鳥取のゴールへと迫っていく。だがラフィーニャを欠いた攻撃陣はアタッキングサードまでボールを運ぶものの決定機を作り出すまでは至らない。そして前半３９分、カウンターで持ち込んだハメドが左サイドからＧＫとＤＦの間へ低いクロスを入れる。その対応を誤ったＣＢがオウンゴールを献上、ミス絡みの失点で草津の士気は下がっていく。

それでも気持ちを持ち直して後半に進んだ草津の出鼻をくじいたのも、またハメドと美尾のコンビネーションだった。後半６分、ハメドがＤＦをひきつけてゴール前で走り込んできた美尾へパス。美尾は草津ＤＦを軽いタッチでかわしてゴールへ蹴り込む。さらに後半１８分にはハメドからのミドルパスを受けてＳＢ古林将太をかわすと冷静にゴールネットを揺らしてハットトリック。後半３６分にはハメドがダメ押し点を流し込んでゲームを一方的な結末とした。

J2リーグ戦クラブ最多の５得点を挙げた鳥取は、チーム一体となったサッカーで５試合ぶりの勝利を挙げ、順位も草津を抜いて１２位へと浮上した。キーマンである服部年宏の出場停止で奮起した選手たちが意地のプレーをみせて勝利をつかみとった。キャプテンマークを巻いた美尾は「ハットさんがいない分、チームを引っ張らなくてはいけないと思った」と振り返った。鳥取の選手たちの経歴をみるといくつものチームを渡り歩いて鳥取にたどり着いた選手たちが名を連ねる。苦労人たちのサッカーへ取り組む姿勢がチームの原動力になっている気がした。それはＪ２・７年目の草津が忘れてしまったものかもしれない。

ホームで大量５失点を喫し６試合連続勝利なしとなった草津は順位も１５位まで後退した。６月上旬には一時５位まで浮上したが、そのチームの勇姿はいまや見る影もなくなっている。今ゲームはＧ大阪へ移籍したラフィーニャ抜きでも戦えることを証明しなければいけなかったが、あまりにも悲しい結果となってしまった。「こういう結果になってしまうと、ラフィーニャ移籍の影響があったとみられても仕方がない」（副島博志監督）。この日のチームからは意地もプライドのかけらもみられなかった。最後まであきらめずに応援を続けたバックスタンドのサポーターのためにも今後これ以上順位が下がらないことを願うばかりだ。

■この試合のCOOL BALLER：ハメド（鳥取）

以上

2011.07.19 Reported by 伊藤寿学