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【J2日記】湘南:ダ・ヴィンチ湘南2(11.07.11)

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☆【J2日記】湘南:湘南・ダ・ヴィンチ

そもそも特別読書対策室を立ち上げようと思ったのには理由がある。時は昨年、湘南の宮崎キャンプに潜入した時のことだ。張り込みのため、捜査官はとあるホテルのロビーをウロウロしていた。すると柱の陰に突然、人影を見止めた。山口貴弘選手である。出会い頭に驚く捜査官。けっこう出鼻を挫かれている。それにしてもそんなところでひっそり何をしているのだろう。ソファーに体を沈め、黙々とページを繰っている。極秘文書か?

どんどん前フリが長くなってくるので割愛するけれど、とにかく山口選手は常に何がしかの本を読んでいるのです(ざっくり)。それ以来、選手が日頃どんな本を手にしているのか興味を持った次第。興味といえば、さっきからファミレスのレジ前で繰り広げられている「ここは私が」「いえいえ私が」のゆくえも気になっている。

そんなわけで、今回は山口選手に聞き込みを行なった。いつもどんな本を読んでいるんですか?
「スポーツ選手の自伝的な本が一番好きですね。最近なら長友佑都選手の『日本男児』。彼の生い立ちからこれまでどのように頑張ってきたのかを知ることができました。野球選手の本もよく読みます。体を動かすことやプロという意味で自分と共通しているので、読んでいて純粋に面白いし、こんなふうに頑張る方法もあるのかといいモチベーションになる。なんていうか、僕ら選手は同じ作業を何度も繰り返さなければいけない側面があるので、スポーツ選手の本を読むことでそうした反復練習の視点も変わり、自分自身のトレーニングにあらためて興味を持てる。自分の引き出しが増えていく面白さがありますよね」

ふむふむ。どうやら今回のターゲットにとって、読書は自己を高めることに通じているようだ。そういえばちょっと前には、いい家を安く手に入れるにはどうすればいいかみたいなハウツー本を読んでいた。なにゆえ?!と思ったけれど、曰く「いや、友だちが最近家を買ったんですけど、ふと自分は家とか不動産のことを全然知らないなと思って、知識を得るために買いました。べつに、いま家を買おうと思っているわけではないです」。結局その本にしても、動機は向上心に結ばれる。

さて、長友選手の本は読んだという。ならば長谷部誠選手の『心を整える。』もきっと読んでいるはず。ですよね?「いや、長谷部選手の本は読んでないです」。え、なにか理由でも?
「それが…僕が帝京高校2年のとき、長谷部選手は藤枝東高校の3年生で、とある小さな大会で対戦したことがあるんです。そのときにちょっと悔しい思いをして、だから長谷部選手の本は素直に手に取れなかったんです」

10年も前のことだから、記憶はおぼろげだ。試合中、互いにアツくなり、長谷部選手からキツイ言葉が飛んできたことだけが印象に残っている。血気盛んな高校時代ならではのひとコマに、山口選手は懐かしげに目を細める。
「まだ若かったですからね。たしか長谷部選手はあの時すでに浦和に行くことが決まってたんじゃないかな。しかもカッコいいし巧いしで、半分は僕の嫉妬ですよ」

言いながら柔和な笑みが浮かんでいる。ああ、これが巻佑樹選手評するところの「誰もが癒されるはず」の笑顔か。でも意地の悪い捜査官はかぶせてさらに問い詰める。じゃあ、今後も読まないんですか?
「その話を健太郎(大井=藤枝東高校出身)にしたら、長谷部選手はものすごく負けず嫌いな性格だったと教えてくれました。長谷部さんらしいと、でもすごくいい先輩だったと聞きました。『心を整える。』も、紹介している雑誌なら実はもう読んだんです。そしたらさらに読みたくなっちゃって。だからホントは、いますごく読みたいんです」

心境の変化を絵文字にするなら、ぷっくり怒り顔の高校時代から、時を経てぷっくり笑顔に変わり、今は舌を出した笑顔といったところか。今回の捜査官のメモには、本にまつわるエピソードのほかにこんな走り書きが。「ターゲットは読書によって向上心を整える」。思いのほか長くなったなあと、伸びをしながらふとレジを見ると、譲り合いの会計もいつの間にか終わっていた。特別読書対策室は今後もTo be continued…!

以上

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2011.07.11 Reported by 隈元大吾
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