長谷部誠選手の『心を整える。』や長友佑都選手の『日本男児』など、最近サッカー選手の本が出版界を賑わせているらしい。へえそうなんだと、なんとはなしに思考を巡らせていたところ、そういえば湘南の選手たちは普段どんな本を読んでいるのかな？と、ふと思う。にわかに潜入捜査の血が騒ぐ。騒いだからには捜査せねばなるまい。いつの間にかBOSSは終わっちゃっていたけれど。もう木曜10時にRollin’ Daysは聴けないけれど。思い立ったが吉日、事件だから。ということで、湘南が練習を行なっている平塚市馬入へと急ぐ（ドラマ『BOSS』を観たことのない方、意味不明でごめんなさい）。

最初にマークしたのは、GK野澤洋輔選手。張り込みの甲斐あって、練習後の接触に成功した。捜査官はクラブが支給するプレスIDをかざし、すかさず本題を切り出す。いま何か本を読んでいますか？
「本？いま読んでるのは…えーっとね、『インドなんて二度と行くか！ボケ！！』」

緊迫感漲る捜査官をよそに、のんびりした受け答え。そして想定外の答え。な、なんすかその本。新手の捜査かく乱か？！思わず怯む捜査官に、ターゲットは含み笑いを隠さず、のんびり続ける。
「嫁さんがジャケ買いして、読んだら面白かったからって俺に勧めてくれたの。面白いよ」

聞けば、引きこもりの著者が初めてインドを旅行したその珍道中が、面白おかしく書き綴られているという。ふむふむ。ちなみにジャケ買いというのは、内容は知らないけどジャケット（装丁）を見てビビっと来て買ったということ。調べてみると、たしかにかなりインパクトがある。そもそもタイトルがディープインパクト。負け知らずの本命馬みたいだ。しかも一見するとセンセーショナルな文言にも、『…でもまた行きたいかも』と続きがあり、そうは言ってもインドはいい場所だったのかなと想像させる。たしかに面白そうだ。

さて、一瞬出鼻を挫かれた格好の捜査官だったが、再び落ち着きを取り戻すと、ポーカーフェイスの片桐よろしくクールに聞き取りを重ねる（ドラマ『BOSS』を観たことのない方、意味不明でほんとうにごめんなさい）。ほかにどんなの読むんですか？
「山田悠介とか乙一とか、ミステリーはけっこう好きだね。移動中のバスの中とかでよく読んでる。いちばんは、『バトル・ロワイヤル』。全部で900ページぐらいあるんだけど、あの本はすごかった。まあもともとは『４日間の奇跡』みたいな、現実とはちょっと離れた純愛小説が好きなんだけどね」

逆に、「雑誌は一切読まない」という。あ、ちなみにマンガはどうですか？
「最近『ワンピース』を一気に全巻揃えてさ。嫁さんの実家から持って来てね。1ヶ月かけて読んだんだ。面白いよ」

そういえば、佐々木竜太選手も『ワンピース』が好きで、感動場面集がヤバいとか何とか言ってたような気がする。うーむ、そんなに面白いのか。読んだことのない捜査官の眉間に皺が寄る。ポーカーフェイスが剥がれていく。ブックオフ行こうかな。

そんなこんなで初動捜査は終了。潜入捜査官のメモには、聞き出した本のタイトルのほかに、「ターゲットは愛妻家」と走り書き。特別読書対策室はTo be continued…！

以上

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2011.07.08 Reported by 隈元大吾