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【J2:第2節 札幌 vs 北九州】レポート:平日ナイトゲームはゴールの遠いスコアレスドロー。ただし、その内容は互いにパスをつないだテクニカルなゲーム(11.07.07)

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7月6日(水) 2011 J2リーグ戦 第2節
札幌 0 - 0 北九州 (19:03/札幌ド/7,811人)
スカパー!再放送 Ch182 7/7(木)前11:00〜
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ともに中3日のスケジュールで迎えた水曜日の試合だったが、非常に見応えのあるゲーム内容だった。終盤に前線の人数を増やした札幌がロングボールを織り交ぜていたが、試合全体を通してみると、両チームともにアバウトなキックがほとんどなし。特に北九州は徹底してグラウンダーのパスをつなぎ続けていたため、それに触発されたかのように札幌もパス交換で攻撃を組み立てていく。夏場ながらも会場の札幌ドームは空調が完備されていたため、気温は22.3度と条件は申し分ない。アウェイの北九州が運動量を落とさずに戦えたこともあって、最後まで互いにパスをつなぎ合うテクニカルなゲームが演じられていた。

前半の立ち上がりは、まずは北九州がパスをつないで攻め込んだ。ボールを奪うと素早く最寄りの味方に渡し、そこから角度をつけたパスを交換しながら全体を押し上げていく。札幌は最終ラインの中央に河合竜二、山下達也という強固なセンターバックを置き、この2人が今シーズンの堅守を支えているのだが、どちらも空中戦など相手選手との1対1で強さを見せるタイプのセンターバック。細かなパスワークに対しての守備には後手に回る場面がある。それを利用して北九州は高い位置に居残るトップ下の安田晃大と前線の池元友樹との連係からチャンスを作り出した。

対する札幌は、北九州の中盤がダイヤモンド形であるため、1枚となっている守備的MF桑原裕義の左右のスペースを利用してパスをつないだ。トップ下でプレーする岡本賢明に守備的MFの宮澤裕樹が近づいたり、左右MFの三上陽輔、近藤祐介が内側に絞ってプレーをすることで相手の守備的MFのエリア、つまりバイタルエリアで数的優位を作り出していた。バイタルエリアで数的優位を作れているということは、チャンスも作りやすい。このエリアでスルーを交えたパス交換から相手ペナルティエリア内に侵入したり、相手のポジションバランスを乱したところでサイド、特に右サイドを強襲した。

札幌が前半に負傷した守備的MF宮澤裕樹をハーフタイムに退けてしまい、「代えの効かない選手のひとりなので、かなり痛かった」と石崎信弘監督が話したように、攻守両面のキーマンである宮澤の不在はチームの戦力をダウンさせた。しかし、代わって守備的MFの位置に入った高木純平が岩沼俊介とうまくバランスを保っていたため、宮澤の交代をきっかけに試合の流れに変化が出るということはなかった。

そうして、後半も両チームがともにパスを動かしながら攻め合うという展開は続く。だが、どちらの守備陣も攻められながらも凌ぐという場面を何度も経たことで、次第に慌てることなく相手の攻撃に応対できるようになってくる。「結構相手にパスを回されてしまったが、最終的なところでやられなければいいわけで」と岩沼が振り返ったように、後半にもなると、どちらも無理に相手のパスワークを封じるのではなく、ある程度はやらせておいてもゴール前さえしっかりとしていればいいと、割り切った現実的な守備ができるようになる。

こうなってしまうと、いくらパスが回っていたとしても、そうそう容易に相手守備を崩すことはできない。0−0のスコアのままタイムアップが近づけば近づくほど、どちらの最終ラインもリスクは冒さなくなってくる。そうした場面では何か意外性のある攻撃も加えたいところだが、「アイデアが足りなかった」と札幌の古田寛幸が話すように、両チームともに最後まで同じリズムでパスを回し、そのまま試合を終えてしまった印象だ。終盤になって札幌が4−2−3−1のフォーメーションを3−5−2、見方によっては3−4−3ともとれる布陣に変更してハイボールを増やしたが、これも北九州は桑原が最終ラインをカバーすることでほぼ無難に凌いでしまった。

総括としては、どちらもうまくパスがつながるが故に、最後まで同じリズムで攻撃を続けてしまったことがスコアレスドローに終わった大きな要因となっていたように感じる。時にはロングボールを何本か蹴り込んで相手の守備ラインを押し下げたり、守備的MFやセンターバックが思い切った攻撃参加をするなどしてメリハリをつけるといったプレーも必要だっただろう。そして札幌は、「近藤にあそこ(北九州から見た左サイド)のスペースを取られていた」と三浦泰年監督が振り返ったように、右MFの近藤が何度もドリブルでこのサイドを突破できていただけに、終盤のフォーメーション変更をした場面でも、近藤だけは前線に動かさずに右サイドに固定しておけば、ここから決定的なチャンスを作れていたかもしれない。

「比較的しっかりしたサッカーができた」と三浦監督が話し、石崎監督も「崩しの部分はいいところがあった」と口にしたように、どちらのチームもしっかりとしたパスワークからビルドアップ、チャンスメイクをしており、非常にテクニカルな好ゲームだった。ただしその一方で、両チーム合わせて33本のシュートを放ちながらもスコアレスで終わってしまったところは残念である。特に札幌はリーグ屈指の堅守を誇りながらも、得点力が足りずに勝点を重ねられていないだけに、この部分は大きな課題だ。

ただし、得点力という部分はちょっと練習をしたくらいで成果が上がるほど簡単な箇所ではない。そして次の試合は3日後に迫っている。そうした状況で、両指揮官がどのような修正を施すのか。北九州は前節に3得点をしているため、一過性のものと捉えることもできるかもしれないが、札幌については、これはもう開幕時からの慢性的なもの。石崎監督のマネジメントには注目したいところだ。

繰り返しになるが、最終スコアこそスコアレスドローという寂しいものだったが、この試合の内容については両チームが狙いを持ったパス交換で能動的に相手守備を崩すスタンスを継続した、見応えのあるものだった。札幌と北九州が見せたモダンなコンビネーションサッカーは、今後に期待を抱かせるものでもあった。それだけに得点に結びついて欲しいところではあったが、内容と結果が簡単には伴わないところがサッカーの難しさなのだろう。

以上

■この試合のCOOL BALLER:李昊乗選手(札幌)

2011.07.07 Reported by 斉藤宏則
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