6月29日(水)J2 第2節 草津 vs 愛媛(19:00KICK OFF/正田スタ)
スカパー!生中継 Ch178 後06:50〜
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草津と愛媛の熱きバトルは、両チームがともにJFLに在籍した2004年にさかのぼる。その年にJFLへ昇格した草津は前期後期の開幕戦で愛媛と対戦、1勝1分としJ2昇格への大きな手応えをつかんだ。草津が2004年末に愛媛に先駆けてJ2へとたどり着き、その翌2005年末に愛媛も後を追ってJの舞台へと登ってきた。昇格当初はJFL時代からのライバルとして互いに意識し合ってきたが、当時を知る選手が毎年のようにチームを去る中、その思いは薄れつつある。
草津と愛媛はJ2昇格後の数年間は成績的に苦しんできた。今回なぜJFL時代の話題を持ち出したかというと今年は双方ともにチーム力がアップ、昇格を意識した戦いを行っている。上を目指すという意味ではともにJ2昇格を目指して争った2004年と似ているのだ。現在の順位は草津が8位で愛媛が7位。前節、両チームともに敗れたため順位を落としたが、互いに上位が視野に入る位置で対戦するのは今回が初めてだろう。今ゲームでは両チームの「上」への気持ちをピッチでぶつけてほしいところだ。
草津は、前節アウェイで北九州に敗れて2連敗で愛媛を迎えることになってしまった。指揮官、選手たちは昇格レースに食らいついていく条件の一つとして「連敗しない」ことを挙げていたが今季2度目の連敗となってしまった。しかも前回の連敗と同じく下位チームからの黒星だけに痛恨という表現が当てはまる。京都に敗れた後、副島博志監督が「試合の中でいろんな表情をみせてしまうのは、チームの力が足りない証拠」と話していたが、安定した戦いができなければこの先、昇格戦線に踏みとどまることは難しくなる。
草津にとって悔やまれるのはこの2試合ともに一時同点に追い付きながらも、突き放されてしまったことだ。京都戦は0−2から怒涛の攻撃で2点を奪いながら試合終盤に2点を奪われた。北九州戦も0−1から後半開始直後に同点としながらも土壇場で決勝ゴールを許している。同点に追いついたチームの方がメンタル的に優位に立つはずだが、草津はそのアドバンテージを活かせずに勝点を逃している。DFリーダー御厨貴文は「攻撃陣は絶対に点を取ってくれるので先に失点しないことが大切」と反省を込めて話した。
今季6勝6敗の草津は20クラブ中、唯一引き分けがないチームとなっている。その内訳をみると、前節北九州でもみられたように最低でも引き分けにしなければいけないゲームを落としている。黒星をドローに持ち込めば勝点1が転がり込むと同時にライバルの勝点を奪うことにつながる。もちろん勝利にまさるものはないが、ゲーム展開によっては負けない戦いに持ち込む、したたかなプレーも必要だ。シーズン終盤の昇格戦線は勝点1がモノを言う。いまから勝点を拾い上げる泥臭さがあってもいい。
正田スタへ乗り込む7位愛媛はクラブ史上最もまとまっているチームと言えるだろう。バルバリッチ監督が築いた組織的な守備をベースに、今季は攻撃にもウェイトを置いている。「昨季のチームにプラスαしている印象を受ける」(草津・副島監督)。攻撃陣は5ゴールの新エース齋藤学と4ゴールのジョジマールを軸に迫力ある攻撃をみせている。前節は悪コンデションの中で熊本に屈したが最近6試合は4勝1分1敗と、チームは着実に成長をみせている。勝点20の愛媛は今節で勝てば上位陣に再び接近するため士気も上がる。愛媛としても連敗だけは避けたいところだ。
開幕2節にあたる今カードは当初3月12日に開催される予定だった。だが3月11日の東日本大震災によって延期が決定、6月29日開催となった。そのため中3日の愛媛に対して草津は中2日というコンデションとなる。草津は26日のアウェイ北九州戦後の深夜3時過ぎに群馬県に戻るという過酷なスケジュールだったため疲労がどれだけ回復しているかという問題も残る。連戦に加えて停滞しているチーム状況のため、雰囲気を一新する力がほしいところ。前節出場停止だった熊林親吾は「白星の貯金があったことでチームは何かを守ろうとしてしまっていた。自分たちからアクションを起こさなければ何も生まれない」と愛媛戦への意気込みを語った。
2004年のJFL後期開幕戦、愛媛をホームに迎えた草津は前半に0−2とリードを許しながらも後半に怒涛の5ゴールを奪って逆転勝利、J2昇格への道を突っ走った。あのときスタンドから流れた草津節は忘れることができない。今ゲームも愛媛のパワーを自らの力に替えて、敷島に勝利の草津節を響かせてくれることだろう。それはJ1昇格への狂想曲となる。
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2011.06.28 Reported by 伊藤寿学
J’s GOALニュース
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