6月19日（日） 2011 J2リーグ戦 第17節
大分 2 - 2 熊本　（19:05／大銀ド／6,637人）
得点者：13' 松橋章太（熊本）、48' 土岐田洸平（大分）、53' 西弘則（大分）、89' 矢野大輔（熊本）
スカパー！再放送 Ch181 6/21（火）前10:30〜
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　お互いに縁のある選手が得点場面に絡み、また試合終了間際に追いついて引き分けるという展開からすれば、確かに見ごたえのある、ダービーらしいゲームではあった。しかしながら熊本にとっては、89分の矢野大輔のゴールで「からがらに」勝点１を拾った試合。先制しながら全体を通じては主導権を握ることができず、またしても勝ちきれなかった。これで３試合、勝ちなしとなっている。

　それでも前半は熊本のペース。この試合、相手の守備陣の傾向を踏まえて、また「トレーニングでの調子が良かった」と、高木琢也監督は今季初めて２トップの１枚に松橋章太を起用。立ち上がりからその松橋が気持ちのこもったプレーを見せ、チームとして大分のDFラインの裏を狙う形からゴールに迫る。特にこの試合では、松橋と長沢駿、そしてトップ下のファビオの３人が出入りを繰り返すなど、ボールを動かしながら、かつボールを受ける前の選手が動くことで、大分の守備陣を引きつけていた。

　13分、その狙いが形となる。右側タッチラインでのスローインの流れからエジミウソン、片山奨典とつなぐと、センターサークル付近でボールを受けた片山は左前方へスルーパス。大分の最終ラインが片方のサイドに偏っていたため熊本の左サイドには大きなスペースがあり、そこ走りこんだ原田拓が余裕のある間合いながらこれをダイレクトでセンタリング。大分のDFもクリアしかけたが、足元へ転がってきたボールを松橋が左足で流し込んだ。過去に大分に在籍していた３人が絡んで生まれた先制点によって熊本は流れをつかみ、34分にはポストに阻まれたものの左から崩して片山が抜け出すなど、狙い通りにボールを動かし、前半だけで10本のシュートを放って大分を圧倒する。

　だが大分の田坂和昭監督は、前半の内容を受けて「前の3人に対してサイドバックが中央に絞りすぎていた」という点を修正。さらに後半開始直後から勢いを持って前に圧をかけてきた大分に対して熊本は対応が後手に回り、48分に土岐田洸平、そして53分には熊本から移籍した西弘則と、立て続けに失点してあっさり逆転を許してしまう。1失点目はクリアのミス、2失点目はアシストした藤川祐司へワンツーパスを出した森島康仁に引っ張られ、そこに生じたスペースに入り込んできた西をフリーにした形だった。

　わずか5分間の逆転劇で、さらに勢いを増す大分。一方の熊本は、守備ではアプローチが甘くなり、攻撃でも自陣で奪ったボールを簡単に相手に渡してしまうなどミスを連発。もっともミスは後半に限ったことではなく、「パスミスだけで50回以上あったと思う」と高木監督が話している通り、中途半端に奪われて持ち込まれる場面は前半から目についていた。熊本は58分に松橋に代えて大迫希、68分には長沢に代えて武富孝介を投入するが、前線で収まりどころができず、また前半に見られた裏への抜け出しも見られなくなり、74分には西のドリブルに3人が抜かれて決定的なピンチを迎える（この場面はクロスバーに当たって3失点目は免れた）など、完全にゲームの主導権を大分に奪われる展開に。

　89分に大迫のアシストから矢野が決めて何とか追いついて以降、アディショナルタイムには福王忠世を下げてチョ ソンジンを送り、最後に2本続いたコーナーキックから勝ち越しを狙ったが実らず。結局、昨シーズンから3度目のドローという結果に終わった。

　失点場面について高木監督が「何が起きたか分からない、空白の時間帯」と振り返っているが、後半の入りに関しては猛省が必要だろう。結果的には勝点を拾ったとは言え、前半の内容を考えれば勝点２をこぼしたと見ることもできるゲーム。もちろん、最後に追いついたことは評価に価するし、初先発の松橋、交代出場の大迫らが結果を残したことは今後にとっても明るい材料ではある。次節はホームに3位に浮上した愛媛を迎えるが、いつまでもこういうゲームを続けるならば、昇格という目標も遠く霞む。問われているのは、その意思。１週間後のホームで、それを見せなくてはならない。

以上

2011.06.20 Reported by 井芹貴志