5月15日(日) 2011 J2リーグ戦 第12節
札幌 2 - 0 鳥取 (14:03/札幌ド/9,326人)
得点者:6' 三上陽輔(札幌)、60' 三上陽輔(札幌)
スカパー!再放送 Ch183 5/17(火)深00:00〜
☆totoリーグ
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放ったシュートは札幌が9本で鳥取が17本。札幌が2−0のスコアで勝利した試合の記録である。
この背景について鳥取の松田岳夫監督は「ポゼッションできていたというよりは、させられていた。シュートを打ったというよりは、打たされた」と振り返る。札幌のセンターバック、河合竜二も「自陣の深いところでボールを回されていたわけではないので、それほど危ない感じはしなかった」と言う。改めて松田監督の言葉を借りると「相手(札幌)の守備にうまくハメられてしまった」試合。6分それから60分に三上陽輔が得点を挙げ、ホームの札幌が勝利した。
その背景をさらに見ていきたいのだが、札幌にとってはやはり、トップ下に高木純平を置くことができたのが大きかった。今季ここまでは右サイドバックとしての出場がほとんどだった高木純だが、負傷離脱していた本職のサイドバック、日高拓磨が戦線復帰したことで前節からトップ下でプレーをしていた。石崎信弘監督も「(高木)純平がトップ下に入ることで、いい形で攻めることができるし、同じポジションにはアンドレジーニョや岡本(賢明)もいるので、選手層も厚くなる」と話している。
しかし実際には、この試合での高木純は攻撃よりも守備面での貢献度が大きかった。「相手のセンターバックがボールを持っても、敢えてあまりプレスに行かないようにした」と話すように、高木純は相手の中盤の底でプレーする服部年宏を見張り続けた。「服部さんのところから展開されないように、と試合前に話し合っていた」とも高木純。左右にパスを配球することでチーム全体のリズムを整えていく服部を高木純が封じたことで、鳥取の最終ラインには比較的自由にボールを持たせながらもリズムは作らせなかったのである。戸川健太、喜多靖らで組む鳥取の最終ラインはボールを動かせてはいるものの、服部をうまく経由できないため、全体の押し上げがスムーズにできない。「ポゼッションできていたというよりは、させられていた」という松田監督の言葉はそういうことだ。高木純は、アンドレニーニョのスピードのあるドリブル突破やトリッキーなパス出し、岡本のドリブルからのシュートといったような絶対的な武器があるわけではないが、守備力も含めた総合力でその存在感を示している。
服部にボールを預けられない場面で鳥取は、前線の梅田直哉を目がけてロングボールを蹴るのだが、これは札幌のセンターバックがシャットアウト。「チャレンジアンドカバーがしっかりできていた」と河合が振り返ったように、河合と山下達也がほぼ跳ね返した。そしてセカンドボールも宮澤裕樹、芳賀博信という札幌の守備的MF2人が拾い、攻撃へとつなげていく。こうした一連の流れを松田監督は「相手の守備にうまくハメられてしまった」と振り返ったのだろう。
しかし、そうした展開でも鳥取は17本のシュートを放ったのだから、それはそれでなかなかのものである。チーム全体として攻守の切り替えが徹底されていたし、何よりも、服部のところにうまくボールを預けられないながらも、単なるタテヨコのパスではなく、角度をつけた斜めのパスを多用してうまくボールを動かしていったのである。「ポゼッションさせられていた」のかもしれないが、ひとつひとつのパスは狙いがあって、しっかりとしたもの。特に、この日は左サイドでプレーをした美尾敦が蹴る左足のクロスは精度もあり、何度か札幌守備陣を慌てさせている。中盤での組み立てを多少封じられたとしても、チャンスを作り出せるだけの力があるということを逆に示したとも言えるだろう。
しかし、経験豊富な服部はこう戒める。「チャンスを作っても、得点を取れなければまったく意味はない。JFLの時はそういう試合をしても何とかなっていたかもしれないが、Jリーグのチームはそう簡単に結果を出させてくれない」。
そして勝った札幌の石崎信弘監督も「このところ連勝ができていないので、前節の熊本戦で犯したようなミスをしないよう、次の鳥栖戦に向かいたい」と言う。昨年、一昨年もいい形で勝った直後に悪い内容の試合をしてしまい、継続ができなかった。今季も9節に敵地でF東京に引き分け、10節の草津戦ではいい形で勝利しながらも、続く熊本戦でそれを継続できず悪い試合をして敗れてしまった。同じ轍を踏み続けない。次の鳥栖戦はそういう試合なのだろう。
課題を見つけ、克服をする。5月とはいえ、まだ6試合を終えたばかり。今後の反省そして克服の速さこそが、そのチームの今後の浮沈を決めるということだ。
以上
2011.05.16 Reported by 斉藤宏則
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