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【J2日記】東京V:お待たせしました!!(11.05.12)

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第11節岐阜戦で2得点を挙げ、チーム初勝利に大きく貢献した井上平選手。

第11節、東京Vは待望の今季初白星を挙げました。
自身の2ゴールでチームに今季初白星をもたらした井上平選手は、「超〜うれしかった!!」と満面の笑みで喜びを語っていましたが、その表情には喜びと同時に「安堵感」も色濃く表れていました。
それもそのはず。前節・岐阜戦、前半わずか6分で混戦からのこぼれ球を押し込んだ井上選手の先制弾は、彼にとって2シーズンぶりのゴールだったからです。

プロ入り3年目だった2009年シーズン、初スタメンとなった10月21日の岡山戦で待望のプロ初ゴールを挙げ、その後6試合に連続で先発して5得点を決める活躍をしました。今でも変わりませんが、井上選手はチーム内で最も練習する選手。誰もが認めているだけに、その努力の積み重ねがようやく花を開き、昨季はいよいよエースだろうと周囲も期待していたし、その期待を本人も自覚してのシーズンでした。が、結果としては無得点に終わりました。「とにかく辛かった…」と、昨季を振り返ってつぶやいた時の悔しそうな顔は、今でもはっきりと記憶に残っています。

そして今季、強い危機感と雪辱に燃える井上選手はさまざまな面で大きく変化を遂げようとしています。
ルーキー・イヤーから彼を見続けているサポーターのみなさんならすでにお気付きかもしれませんが、まず何よりも変わったのが体の大きさです。「オフに3kg太って、そのまま落ちてないんです!」と、始動直後にうれしそうに話していましたが、今なお体重は維持し続けているそうで、ひと回り大きくなったことは明らかにわかります。
太ろう!と決意した一つのきっかけが、海外でプレーする岡崎慎司選手らを見たからだとか。「小さくても、ちゃんとガタイがいいんですよね。やっぱり活躍できるのって体が強くて当たり負けしない選手だと思って」
もともと太らない体質だったため、何でも好きなように食べてきたという食事も、栄養価などのバランスを考えたり徹底的に気を配るようになったそうです。また、裏への抜け出しを得意とする自分のプレースタイルと照らし合わせ、強化する筋肉も昨年までの持久系から瞬発系へと変えているとのこと。「昨年までは、相手に当たられて簡単に飛ばされるなと感じていたけど、今年はだいぶ踏ん張れるようになった」自分でも、パワーアップを確実に感じられていると言います。

しかし、それ以上に大きな変化は練習量を減らしたことです。そしてそれは、井上選手にとってはメンタル面の変化を意味しているように思います。
というのは、前述の通り井上選手は、朝7時からランニング、チームの午前・午後練習、筋力トレーニング、それが終わってからの階段ワークという、極限ともいえるハードメニューを4年間こなし続けてきました。しかし、なかなか結果の出ない現実に、周りからは「練習し過ぎだよ」という声があったのも確かでした。しかし、「トレーニング以外にうまくなる方法はない」と、本人はアドバイスには一切耳を傾けず、ひたすらストイックにハードメニューに打ち込むことで、結果の訪れを信じ続けてきました。「たぶん、納得いくまで自分の体を追い込まないと、結果が出ない気がして不安だったんだと思う」
それでも、巡ってきたチャンスを何度も逸し、無得点に終わった昨季のショックはさすがに大きく、「違う自分にならないと」と変化を決心したのです。「実績のある信頼できるフィジカルトレーナーに相談し、話し合って『練習量を減らせ』と言われたから、とにかく言う通りにしてみようと思って。練習量が減ったから、いまメッチャ体が楽なんです」初めて“減らすこと”を知った体の変化を、確かに感じているそうです。「昨年までの練習量で、自分では疲れていないって思ってたけど、実際には体は疲れていたんだと思う。だから、ケガも多かったし、踏ん張ってるつもりでもすぐ弾き飛ばされてたり、あと一歩、一瞬のスピードが出なかった。そこが明らかに違ってきた」。そして前節、待望の結果を手にしたのでした。

肉体改造、練習量の調整など、直接的な要素ももちろん大きな成果と言えるでしょうが、初めて人からの助言を素直に受け入れ、実践できるようになったというメンタル面の柔軟さが生まれたことが、井上選手の最大の変化であり、今回の2ゴールへとつながったと言えるのではないでしょうか。
「不思議ですよね。昨年、あんなに苦しんで、苦しんでも苦しんでもゴールが奪えなかったのに、練習量減らして楽になった今年、あっさりと2点も取れちゃうんだもん」
感慨深く笑顔で話していましたが、もちろん、これで安心しているわけではありません。「僕はまだ一番の当落線上だから、危機感でいっぱい。でも、とりあえずゴールできて、これからは僕の努力次第。今まですべてチャンスを逃してきたから、今回は絶対に逃したくない。何としてでも結果を出し続けてみせます」

人間として確かに変化を見せている背番号13。今までとは一味違うシーズンになることを期待しています。

以上

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2011.05.12 Reported by 上岡真里江
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