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【J2:第10節 横浜FC vs 鳥取】レポート:横浜FC、根比べに負けまたも自滅しホーム3連敗。鳥取はアウェイでの戦い方を完遂し2勝目を挙げる。(11.05.05)

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5月4日(水) 2011 J2リーグ戦 第10節
横浜FC 0 - 1 鳥取 (16:03/ニッパ球/5,464人)
得点者:46' 美尾敦(鳥取)
スカパー!再放送 Ch183 5/6(金)後06:00〜
totoリーグ
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前節の湘南戦で守備に対する集中を取り戻した横浜FCと、アンカーの服部年宏を中心にバランスの良いフォーメーションで安定した守備を見せる鳥取の対戦は、守備を中心とした試合になることが予想された。そして、試合はその通り、守備での根比べの様相を呈するが、拮抗した試合の中で我慢比べに負けた横浜FCがミスにより大きな代償を払うこととなった。

前半は、公式記録のシュート数がともに2本であることからわかるように、横浜FC、鳥取ともにダイナミックな展開は少なかった。しかし、それは決して消極的だったのではなく、お互いがベースとする守備がぶつかりあって生まれたものだった。立ち上がりから、横浜FCはDFラインを高く設定し、前節に湘南を打ち破った高い位置からのプレッシングを繰り返す。しかし、組織的なプレスの形に嵌めたと思ってもボールを取りきれない時間が続く。一方、鳥取も横浜FCがサイドでボールを持つと、時には4人で選手を囲みにくるように、常にボールホルダーに対して数的優位を保つ集中力を切らさなかった。松田岳夫監督は「最後のゴールのところまで持っていけない。その意味で前半は課題があった」と振り返ったように、攻撃面では良いところを見せられなかったが、守備のリズムは完璧に整えることができた前半だった。

そして、後半立ち上がりに試合は動く。「とんでもないミスが起きて、それをカバーできなかった」(岸野靖之監督)という横浜FCが見せた隙を鳥取が容赦なく突く形で鳥取が先制する。「とんでもないミス」とは、後半開始43秒からの場面。ディフェンダーのクリアボールを難波宏明がフリーで受ける。周囲の選手は、そのボールを受けるべく何人も追い越す動きを見せるが、逆に難波が落とせる場所に選手がおらず難波が逡巡しているうちに体勢を崩して、プレスを受けて服部にボールを奪われるシーン。そして、そのあとの「カバーができなかった」場面は、服部からボールを受けた小井手翔太へのカバーが遅れるだけでなく、ファーサイドの美尾敦へのマークを完全に外していたこと。その結末として、小井手は易々と美尾にスルーパスを出し、美尾は易々とゴールを奪うことに成功した。

鳥栖戦と似た原因の失点。藤田優人は、「慌てすぎ。前半0-0でそれで良いという考え方と、そうでない考えで分かれていた」と振り返ったが、リスクマネジメントが必要な後半立ち上がりの時間帯での意思統一の不足がもたらした隙を、サッカーの神様は許してくれなかった。こうなると、守備のリズムが完璧に整っていた鳥取のペースに嵌まる展開。横浜FCは、55分と59分に、前節は先発出場ながらこの日ベンチに回っていた藤田祥史、西田剛を投入。さらに60分には寺田紳一も投入。半ばパワープレーのような形で攻め立てる。あと少し合っていればゴールという場面は何度も作るが、鳥取の守備組織を崩すという展開はほとんど見られなかった。逆に、ボールを奪ったら、徹底して右サイドの高い位置で流し込み時間を掛けるプレーをする鳥取の老獪さが光った。かくして、横浜FCは点が奪えないまま試合終了のホイッスルを聞くこととなった。

横浜FCにとっては、屈辱的なホームゲーム3連敗。ニッパツ三ツ沢球技場で、持てる力を出しきれない姿を見せられたサポーターからは、またもブーイングが浴びせられた。戦力的な差は別にして、試合は得てして拮抗するもので、拮抗した中でどのように勝ちきるかというところが、チームとして問われる真価である。「失点して、それがまた焦りがつながる。サッカーで負ける時はこんなものだと思いますが、まだそういうのを繰り返している」という岸野監督の言葉は、その真価の部分がまだまだ確立されていないことを示している。逆に先制できていれば、精神的優位に立てるのもまたサッカー。「点を取りにいって点を取らさない」チームになるために、細かなディテールでどのような守備を立て直すのか、首位栃木との次節の試合までの3日間でのトレーニングが重要になる。

勝利した鳥取は、「アウェイということを考えれば最高の勝ち方」という松田監督の言葉が全て。局面で数的優位を作りプレスを掛ける動き、こぼれ球への競り合いなど、確実に横浜FCを上回る走力と団結力は見事だった。自らが突き詰めている守備組織を90分間崩すことなく貫いたことで、さらに自信を深められるだろう。「J2に上がって、次に千葉のようなチームと当たれることが楽しみ」と小井手は語ったが、ホームとりぎんバードスタジアムで、千葉に対して存分に見せつけたいところだ。

今のJ2は、昇格候補と呼ばれていたチームの中に力を出しきれず苦しんでいるクラブがある一方、チームの力を90分間出せる状況を作ったチームは勝点を確実に積み重ねている。この試合は、その状況を象徴する試合となった。

以上

2011.05.05 Reported by 松尾真一郎
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