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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J2:第10節 札幌 vs 草津】レポート:監督、選手が総力を挙げて攻め合った試合。最後はセットプレーから宮澤が押し込み、札幌が今季初得点と初勝利で、札幌ドームを大きく沸かせた。(11.05.05)

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5月4日(水) 2011 J2リーグ戦 第10節
札幌 1 - 0 草津 (14:04/札幌ド/12,386人)
得点者:90'+2 宮澤裕樹(札幌)
スカパー!再放送 Ch185 5/6(金)前11:00〜
totoリーグ
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後半のアディショナルタイムも2分を経過したころ。札幌の砂川誠が蹴った右CKを走り込んだ山下達也がヘディングで叩きつけると、ボールはゴール前の混戦の中へとこぼれた。最後は宮澤裕樹が右足で蹴り込んで、札幌が0−0のスコアから貴重な決勝点をゲット。地元サポーターがスタンドを埋めた札幌ドームで札幌は、今季初得点、初勝利を挙げた。

試合は立ち上がりから拮抗した展開となっていた。拮抗、といっても互いに中盤で潰し合うガチガチな展開ではなく、比較的オープンなシチュエーションで攻め合いが続いていたのである。

ホームの札幌は18歳のFW三上陽輔を1トップに据える4−2−3−1のフォーメーションで、対する草津は中盤がボックス形の4−4−2。だが、札幌のほうはトップ下のアンドレジーニョが相手の守備的MFをあまりケアせずに高い位置に居残る場面が多かったため、両チームともに守備的MFの2人がさほど厳しいマークを受けることなく、前を向いてボールをプレーできる場面が多かった。草津は松下裕樹と櫻田和樹が丁寧に左右へパスを動かし、札幌のほうは攻撃センスのある宮澤と、守備の強い芳賀博信がバランスを取りながら能動的にゲームをコントロールしていく。

10分、札幌が素早いパス交換を起点とし、左サイドを駆け上がった近藤祐介からのクロスにアンドレジーニョが頭で合わせるビッグチャンスを作り出した。32分ころにもアンドレジーニョと古田寛幸というテクテニックのある2人の連係から好機。対する草津にも37分、左サイドからのクロスに飛び込んだアレックスのヘッドがバーに当たるという惜しいシーンが生まれていた。

後半に入ると、今度は両監督のベンチワークによって試合はさらに攻め合いとなる。61分、まずは札幌・石崎信弘監督がアンドレジーニョに代えて砂川誠をトップ下に投入。縦へのスピードと、そのなかでのアイデアが特徴だったアンドレジーニョに対し、砂川はキープ力と左右への展開力、アーリークロスが持ち味。この選手交代を行ったことで札幌は高い位置でタメが作れるようになり、後方からの攻撃参加をより引き出せるようになっていく。

すると今度は67分、草津・副島博志監督は右サイドにスピードのあるラフィーニャを入れてきた。札幌が砂川の投入で攻撃姿勢を強めてきたことで生まれた裏のスペースを、ラフィーニャによって強襲しようという狙いである。「ラフィーニャをどのタイミングで入れるか、というのは勝負をかける狙いのところ」と副島監督が振り返ったように、この交代によって試合の流れを一気に引き寄せようという算段だった。直後に萬代裕樹が負傷をし、カードを一枚切らなければいけなかったのは誤算だったが、時計が進むごとに双方の攻撃に勢いが増していく。

77分、石崎監督が今度はドリブル突破とスルーパスを得意とする岡本賢明をトップ下に送り込む。アンドレジーニョ、砂川、岡本というタイプの異なる3人を順にトップ下に入れ、草津の守備網に揺さぶりをかけ続けた。そしてすぐさま、岡本から古田へと鋭いスルーパスが通り、惜しいチャンスを作り出している。

さらに石崎監督が動く。最前線に身長187センチのDFチアゴを投入し、力技で相手を押し込もうとしたのである。一方の副島監督は、そうやって前がかりになる札幌の裏を突くべく、一瞬の突破力を持つ山田晃平を投入した。

これでどちらも3枚の交代カードすべてを使いきった。草津のほうは1枚だけ負傷した選手の入れ替えに使ったが、それ以外の交代は両チームともすべて攻撃的な策。地元で今季初勝利を目指す札幌と、3連勝を狙う草津がアグレッシブに殴り合いを演じたのである。

そうしたなかで奮闘が光ったのが、札幌のチアゴだった。本来はCBの選手でありながら、今季の出場はすべてFW。そのヘディング力と、懐の深いボールキープを期待されてのものだ。そして、その力はこの試合で存分に発揮された。「チアゴが入ったことで相手の守備ラインも下がったし、セカンドボールも拾えるようになった」と殊勲の得点を挙げた宮澤が振り返る。42分には、結果的にファウルの判定で取り消されたものの、チアゴ自身も豪快なヘッドでゴールネットを揺らしてみせた。

そのチアゴのインパクトが徐々に草津の守備陣を押し込み、アディショナルタイムにCKを複数回得る要因となった。自陣ゴール付近でのプレーが増えた草津は陣地を挽回することができず、ボールをラインの外にクリアする場面が増えていたのだ。そして、冒頭に記した宮澤の決勝ゴールへとつながっていく。

「最後は攻めに出て、アディショナルタイムにやられてしまった。そこに関しては自分の決断の部分。勝ちを狙いにいった結果」。試合後の副島監督の言葉が、この試合のすべてだと思う。攻めに行って敗れたのだから、悔いはない。やるか、やられるか。そのどちらかしか、この試合にはなかったということだ。

ゴールデンウィークの札幌ドームに詰めかけた12、386人の観衆の心を掴むには、十分なゲーム内容だったはず。サッカーとはやはり、得点数を競い合う、つまり相手ゴールに積極的に向かっていくスポーツなのだ。

以上

2011.05.05 Reported by 斉藤宏則
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