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【J1:第8節 磐田 vs 広島】広島側プレビュー:広島の「天敵」であり「悪夢」でもあるサックスブルーのエース。前田遼一との戦いは、広島勝利へとつながる大きな課題だ。(11.04.29)

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4月29日(金)J1 第8節 磐田 vs 広島(19:00KICK OFF/ヤマハチケット販売はこちらリアルタイムスコアボード
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「前田遼一」という名前は、広島にとっては悪夢そのものだ。

昨年のヤマザキナビスコカップ決勝、手中にあった優勝カップを弾き落としたセットプレーからの左足。槙野智章(1.FCケルン)のゴールで盛り上がった追い上げムードに大量の水をぶっかけたループシュート。広島に6つめのシルバーメダル(リーグ×1、天皇杯×4、ナビスコカップ×1)を送り届けたのは、2年連続得点王に輝いた日本一のストライカーの2得点だった。

彼にやられたのは、その時だけではない。2009年に広島がJ1に復帰して以来、紫の戦士たちは常にサックスブルーの18番に叩きのめされてきた。カップ戦を含めた6試合で8失点。それが、広島対前田遼一の実績である。

昨年のヤマザキナビスコカップ決勝こそ、船谷圭祐や菅沼実、山崎亮平がゴールを決めているが、それ以外の試合で広島が得点を決められたのは前田だけ。6試合中1試合だけ背番号18を無得点に抑えた試合(2009年11月28日、ヤマハスタジアム)があり、その時は1-0で広島が勝利しているが、残りの5試合=前田が得点を決めた試合では1分4敗。2009年にはナビスコカップ決勝トーナメント進出を彼の2得点によって阻まれた。昨年のヤマハスタジアムでは、大病から復帰した森崎浩司の約1年半ぶりとなるリーグ戦ゴールで先制したにも関らず、前田の2点であっさりと逆転されてしまった。まさに、悪夢そのものだ。

実は、2007年に広島がJ2降格するまでは、前田は対広島戦でわずか1得点しか決めていない。それなのに、ここ2年で一気に広島キラーと化した。この要因をどう考えればいいのか。
一つには、広島のプレースタイルが変化したことも関係するかもしれない。以前の広島は堅守速攻型チームの代名詞。前田に対してスペースを与えることはほとんどなかった。ところが、ペトロヴィッチ監督がJ2降格後につくりあげたチームは、パスワークを身上とした守備より攻撃に比重がかかるスタイル。それが、磐田のカウンターを炸裂させる結果につながり、仕上げをサックスブルーのエースが行なったという図式である。2009年ナビスコカップで前田に喫した失点は、その典型と言えるだろう。

ただ、それだけではここまで失点を重ねる説明はつかない。例えば昨年のナビスコカップ決勝で、主導権を握っていたのは広島ではなくむしろ磐田。広島はしっかりとブロックをつくって守っていた。それでも、セットプレーでゴールまで持っていかれてしまう。「いいボールを入れさせてはいけない、と思っていても、ペナルティエリアで待つ前田さんにボールが入ってしまう。『持っている人』ということなんでしょうか」と青山敏弘は首を振る。「前田遼一を抑える方程式」があれば、誰も苦労はしないということか。

さらに、前田だけを警戒すれば勝てる、というわけでもあるまい。特に今季の磐田は小林裕紀や山田大記、藤田義明などの新戦力が主力を占め、規律を持って走り、闘うチームへと生まれ変わった。「磐田は昨年までとは違うチーム。アグレッシブで泥臭く闘ってくるし、チーム全体としても若返りを図っている」とペトロヴィッチ監督も指摘する。前田への意識が過剰になりすぎれば、サックスブルーの若者たちの躍動に裏をつかれ、立ち尽くしてしまうだろう。その愚は、避けねばならない。

特に警戒すべきは、磐田のアウトサイドだ。左のパク・チュホ、右の駒野友一、共にJトップクラスの攻撃力を持つ。「特に、コマ(駒野)から前田へのホットラインは要注意。コマのクロスを全て抑えきるのは難しいが、少なくとも簡単にやらせてはいけない」と、かつての教え子への警戒心を指揮官は隠さない。

そういう意味では、広島は左サイドに誰を起用するかは、一つの注目点だ。前節、結果を出した森脇良太なのか。それとも、本来のレギュラーである山岸智か。もし山岸を起用するのなら、森脇や森崎兄弟の起用法などチーム全体の組み合わせにも影響を及ぼす可能性もあるが、指揮官は「前日練習で選手たちの状態を見極めてから、決断する」と慎重な口ぶり。それだけ、選手層が分厚くなったという言い方もできよう。

いずれにしても広島が勝利するのには、サックスブルーの悪夢=前田遼一を抑えることは絶対条件。「本当の意味でのオールラウンダー。全ての面で質が高い」と水本裕貴も舌を巻く2年連続得点王へのリベンジなくして、勝利も、悲願といえる「3大タイトル初奪取」も、ありえない。「大切なことは、気持ちよくやらせないこと」と語った水本をはじめとする紫の守備陣が、今度こそ、前田遼一を抑える。それができれば、歓喜に大きく近づくことができるはずだ。

以上

2011.04.28 Reported by 中野和也
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