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【J1:第7節 山形 vs C大阪】レポート:守備の山形、攻撃のC大阪。両チームが「色」を出した一戦は、互いに明るい材料も手にしたスコアレスドロー。(11.04.25)

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4月24日(日) 2011 J1リーグ戦 第7節
山形 0 - 0 C大阪 (13:04/NDスタ/8,551人)
スカパー!再放送 Ch308 4/25(月)後10:00〜
totoリーグ中断期間を振り返るJ1編
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山形はホームでの試合は昨年12月4日の最終節以来。また、中断期間中もチャリティーマッチが組めないため、青いファーストユニで試合をするのもクリスマスの天皇杯準々決勝以来となる。週間予報では雨が予想されていた天候も、キックオフ時にはまったく心配がなくなった。3月11日に起きたこととそれ以降の状況を思えば、強く吹く風の冷たさよりも、そこにJリーグのある幸せが何倍も勝っていた。

今季開幕戦以来の公式戦となる山形は、左サイドバックの石川竜也が離脱中。また、発熱で長谷川悠が欠場し、センターフォワードには新加入の大久保哲哉が入った。20日にアウェイでACLを戦ったC大阪は、上本大海の怪我でセンターバックに藤本康太が入り、さらに中盤にはマルチネスが先発で戻ってきた。守備と攻撃、はっきりと特徴が色分けできる2チームの対戦はスコアレスドロー。両指揮官の戦術が激しく火花を散らし終盤にかけてヒートアップする、息詰まる攻防だった。

序盤に出色の動きを見せたのは山形の秋葉勝。マルチネスとの競り合いでボールを失わずにコーナーキックを獲得したあとは、佐藤健太郎のパスを左スペースへの飛び出して受け、ファーサイドの大久保哲哉にクロスを合わせるなど、マルチネスのパスコースを消す守備の働き同様、前面に気迫を感じさせた。それまで攻撃でミスが続いていたC大阪も20分頃からポゼッション率を高め、山形は自陣に押し込まれほとんどボールを取れなくなっていたが、「外で持たれてもシュート打たれなかったら大丈夫やから、あんまり慌てて行くよりかは、回されてても仕方ない。相手は個人の技量が高いし、それもある程度仕方ない」(佐藤)と想定内の我慢を続けた。

狭い隙間をこじ開けるのは、C大阪にとっても得意とするところ。風上に立った前半、左サイドでは丸藤祐介がシャドーと絡み、バックラインからのフィードに飛び出すなど果敢なアタックを続け、23分にはニアに飛び込むホドリゴ ピンパォンへクロスを送った。直後には、藤本康太のパスを足元で受けた乾貴士がアプローチしてきた山形の2人の間をターンで抜け、持ち出してミドルシュートを放っている。しかし、しだいに手詰まりになると今度は切り換えで山形にサイドを使われるようになり、前半のシュートはわずかに3本。まずは山形の理想に近い形で前半を終えた。

後半、得点のない状況を見て先に動いたのはC大阪・レヴィー クルピ監督だった。清武弘嗣が決定機で決めきれず、自陣ゴールマウスをかすめる秋葉のフリーキックに肝を冷やした直後、清武とキム ボギョンに代えて倉田秋と永井龍を投入し4-4-2に。多くの人数を高い位置に押し込み、くさびから少ないタッチでライン突破を狙うと、決定機は立て続けに訪れた。69分には倉田が至近距離から狙うもGK植草の足に阻まれ、82分にはマルチネスがひとりで持ち上がってのミドルシュート。その1分後にも再び決定機を迎えた倉田が今度は枠のわずか右に外し、アディショナルタイムにも完全に山形の守備を崩したが、ピンパォンに代わり投入された小松塁のシュートはその直前のオフサイドによりノーゴール。

「あれだけ多くの決定的なチャンスを我々がつくりながら、決めきるだけの力がなかった。そういう意味では引き分けは妥当な結果と言わざるを得ない」。勝利へあと半歩のところまで来ての勝点1にも、クルビ監督は淡然としていた。ACLに出場している他の3チームが、大震災後のリーグ戦再開という対戦相手のモチベーションを凌駕できずいずれも大差で敗れている。C大阪にとっても、決してやさしい一戦ではなかったはずだ。そうしたなか、監督会見でも言及しているピンパォンの復調や、マルチネスが90分間プレーできたことなどは、次節のホーム開幕戦に持ち帰る材料としては悪くない。

大久保が空中戦に競り勝っていたものの、時折C大阪の鋭い攻撃を受けていた山形・小林伸二監督はじっと勝負どころを待っていたが、71分に宮沢克行を伊東俊に、北村知隆を廣瀬智靖に、ここまで攻撃時に前方へのダッシュを繰り返していた両サイドをフレッシュな選手に交代した。特に、伊東の動きやパスのアイディアはC大阪の守備を翻弄する。1週間前に先発したトレーニングゲーム・秋田戦では失点に直結するミスをし、「(スタメン獲得の)チャンスだったんですけど、つかめなかった」と肩を落としたが、74分には中央で大久保に預けたボールが左サイドに渡り、小林亮の左クロスにファーサイドでヘディングを合わせるなど決定機をつくりだし、攻撃で存在感を見せつけた。そして84分、船山祐二に代わり、昨年9月のみちのくダービー以来、長期離脱していた古橋達弥がピッチに立った。プレー時間は短かったが、アディショナルタイムには藤本への激しいアプローチでボールを奪いクロスまで持ち込むシーンをつくるなど、古巣相手に復活をアピールした。

試合後、小林監督は「今日は1じゃなくて勝点3取りたかった。プログラムはスムーズにいった」と語っている。守備的に入り、前半の失点を0に抑え、途中から両サイドを代えて攻撃のギアを上げた。さらに前半を踏まえて後半には守備の修正もできた。小林監督は「随分やってくれたな、頑張ってくれたなというふうに思っています」と選手たちをたたえた。この1試合だけで判断すれば満足できるものではないが、ここまでのトレーニングゲームで大量失点が続いていた流れのなかで、修正して今後への道筋をつけた点で、勝点1以上の価値がある。この試合のシュート数は3本と守備重視の負の影響もあるが、厳しくとも前を向いていける勝点1だ。

以上

2011.04.25 Reported by 佐藤円
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