東日本大震災を受けてＪリーグが中断となっている間、日本代表vsＪリーグ選抜のチャリティーマッチを始め、各クラブが被災地支援につながる活動を実施する中、熊本も限られた中で、できることに取り組んできた。

言うまでもなく熊本は東北、東日本からは遠い。だが宮城県東松島市出身の加藤健太が、地震の直後に親族と連絡がつかずに一時チームを離れて帰郷するなど、選手たちにとっても今回の震災は他人事ではなかった（加藤はその後、無事に連絡が取れて再び合流）。

クラブは３月14日付で岡英生代表取締役、高木琢也監督、そして選手会長の宇留野純の連名で、公式サイトにてお見舞いのコメントを発表。同日の午前中、練習の様子を取材に行き、当サイトを見ている方に向けたメッセージをお願いすると、高木監督はしばし考えて、「今だから１人１人できることがあります。力を合わせてがんばりましょう」と書いた。この１カ月を振り返ると、やるべきこと、できることはまさにそれしかなかった。

その後、九州の５クラブでは「九州だＪ！　東日本大震災 被災地支援活動 トレーニングマッチ」として、共同で支援活動を行うことを決定。熊本の場合、入場料金を支援に回すチャリティーマッチという扱いのゲームは実施できなかったものの、トレーニングマッチの会場や熊本市中心部で募金活動を実施。３月20日に行った街頭での募金活動には、トップチームの選手のみならず、全てのクラブスタッフとアカデミーの選手も参加している。

こうしたクラブの活動に対し、多くのサポーターが協力。募金をするにしても１度で終わらず、そうした機会があるごとに足を運んだ人も少なくない。９日には、支援活動のトレーニングマッチとしては初めてホームにＪクラブを迎える形で福岡との練習試合（90分×２本）を行い、会場では選手たちが愛用品を出品した入札形式のチャリティーオークションも開催された。この日だけで募金と合わせて約１８０万円が寄せられ、Ｊリーグと日本赤十字社を通じて義援金として寄付されることになっている。

「今は直後ということで意識して取り組めているけれど、今回の震災は長期的な支援が必要だと思う。そんな中で何ができるか、誰もが考えていると思うけれども、一方では、もどかしさも感じていると思うんです。僕らはサッカーを通して発信していける立場にいるから、それを利用するって言うと変だけど、選手会だけでなくて、クラブと連係を取って、継続してやっていきたい」。選手会長の宇留野は、３月18日の練習後に話を聞いた際、そう話していた。

地震発生から１カ月が過ぎ、Ｊリーグ再開まで２週間弱となった。しかし未だ避難所での生活を強いられている方や行方不明者も多く、震災前と同じような日々が訪れるにはまだまだ時間がかかるし、街の復興はもちろん、被災された方たちの生活再建にも莫大な資金が必要だろう。被災地からは離れた熊本からできることは限られていると思うけれど、被災地から離れた熊本にいるからこそ、たとえ微力でも、少しずつでも、支援につながる活動と、その気持ちを持ち続けなくてはと思う。

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2011.04.12 Reported by 井芹貴志