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【J2日記】岐阜:チャリティーフットサル。選手が見せた『岐阜らしさ』(11.03.25)

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未曾有の災害となった東日本大震災。壊滅的なダメージを背負った東北地方。信じられないような厳しい現状に、選手たちが立ち上がった。3月20日。岐阜メモリアルセンター敷地内にある『で愛ドーム』で、選手会が主体となって、サポーターに向けたチャリティーフットサル大会を行った。

この企画は選手会長の田中秀人、キャプテンの野田恭平が中心となって立ち上がった企画だった。
「地震を受けて、選手間で話し合いました。最初は募金活動をしようとしたのですが、ただ街頭に立ってお金を集める形だと、FC岐阜らしさがないなと。岐阜らしさとはやっぱり地域密着だと思ったので、そこで選手たちとサポーターで何か自発的にやろうと思ったんです。そこで野田さんが中心となって、サポーターと一体となってやろうと、フットサルにしました」(田中)。

そう、岐阜は地域貢献活動で昨年リーグナンバー1を獲得するなど、地域密着に力を入れ、クラブとサポーターの距離が非常に近いチーム。この『特性』を生かすべく、岐阜にしか出来ない支援の形を選手たちが自発的に考えたのであった。
「地震の後、選手一人ひとりから『俺たちで何か出来ないか?』という意見がどんどん出てきたんです。それも凄いことだなと思ったし、そこでみんなで話し合いをしたら、サポーターとチャリティーフットサルをやることで、全員が快く引き受けてくれた」(田中)。
この企画が立ち上がったのが、開催日の3日前。時間がなかったが、ここから選手たちの動きは機敏だった。クラブの地域貢献部のサポートを受けながら、すぐに会場を抑え、駐車場、告知等もすべて選手たちで行った。

筆者もそのことを選手から伝え聞き、ぜひ参加したいと伝えた。するとすぐに田中から連絡が入り、「今回は自分たちで動いている企画なので、ぜひ参加をしてください」と言われた。永芳卓磨も「いまこそ僕たちがやるべきだと思います。ぜひ来てください」。菅和範も「来てくれるんですか??嬉しいです!一緒に岐阜と東北地方を盛り上げましょう!」と連絡があった。
この選手たちの思いに筆者は感動した。岐阜の選手たちは本当にすばらしい選手たちだと改めて思ったし、このクラブを取材してきて本当によかったとも思った。

そしてチャリティーフットサル当日。会場に着くと、選手たちが出迎えてくれた。すると筆者はゲストとして、選手チームの中に名を連ねていた。
「一緒に頑張りましょう」。菅が笑顔で言ってくる。会場にはサポーターたちよりも早く選手たちが集結し、そこからコート作りが始まった。選手手書きの進行表。そしてネット張りからテーブル設置など、てきぱきと選手たちが行っていく。
そして準備が整うと、「今日一日、頑張りましょう!」という野田の掛け声とともに、サポーターたちが会場に入ってきた。
受付も当然選手たち。約70人のサポーター一人ひとり丁寧に応対し、開会式を行った後、フットサルは始まった。

フットサルは本当に盛り上がった。子供たちも歓声を挙げながら必死でボールを追いかけ、大人たちも負けずに選手たちとのプレーに全力を尽くす。選手たちも積極的に声をかけて、コート内を活気付かせている。筆者も負けじと声を出した。本当に楽しい時間だった。選手、サポーター全員でフットサルを楽しんだ。

約1時間のフットサルのあとには、選手たちによるチャリティーオークションが行われた。田中の司会の下、次々と選手たちのお宝グッズがオークションにかけられていく。フットサル中に選手たちがスタンドで見ているサポーターたちに行った募金活動とあわせて、40万円近くの義援金が集まった。これらはすべて今回の震災の被災者たちに届けられる。選手、サポーターが一体となった思いと合わせて。

最後は選手たちが出口から列を成して、サポーターをお見送り。そして、最後は選手全員による片づけが行われた。筆者が床のモップがけを行っていると、「安藤さん、いいですよ、僕がやります」と染矢一樹が走ってきた。「いいよ、これくらいやるよ」と言っても、「安藤さんは来てくれたんですから、こういうことは僕らがやりますから」と言ってきた。
あくまで最後まで自分たちの手で。選手たちの積極的で、心温まる姿勢が伝わってきた。そして片づけが終わり、選手全員が集まって、締めの挨拶が行われた。選手たちの表情はみんな晴れやかなものであった。
「自分たちが考えている以上に集まってくれた。岐阜はサポーターの人と距離が近いのが特徴。その中で選手もすごく楽しんでやっていたし、サポーターも楽しんでやってくれた。本当にいい交流が出来た」。
田中はこう最後に振り返った。そして、「思ったのは、自分たちで何かやろうとして、動く選手が多かったこと。一人ひとりが真剣に考えてくれたし、動いてくれた。選手間のつながりも深まったと思う。サッカーの試合、練習以外でこんなにもまとまれるんだと改めて思いました」。
選手もまた、大きなものをつかんだ。苦しいときだからこそ、ピッチ内だけでなく、ピッチ外でも団結しなければいけない。彼らは間違いなく、かけがえのない財産を得ることが出来ただろう。そして改めて、岐阜というクラブのポテンシャルを見ることが出来た。

以上

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2011.03.25 Reported by 安藤隆人
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