東日本大地震被害の甚大さが日ごと膨らんでいく状況の中、チャリティーマッチは行われる。水道水にさえ不安の声が上がり「こんな状況の中でサッカーをしている場合なのか」という意見もあるだろう。そんな中で行われる試合にどんな意味を見出すか。
京都を率いる立場、そして、サッカーに情熱を傾ける一人の人間として、大木武監督が24日（木）にコメントした、今回の試合に対する態度と意見は傾聴する価値のあるものだと思うので、Ｊ２日記で紹介させてもらう。

●大木武監督
「チャリティーマッチということですけど、ゲームをやるということでは、それはいつものゲームと変わらないと思います。全力でやるということ。その中で沢山のお客さんに来て頂いて、その中で沢山の義援金が集まって少しでも復興に役立ててもらえればいいなと思っております」

Ｑ：大木監督は、昨年のＷ杯を終えて帰国した時に、多くのサポーター、ファンの方に出迎えられて、サッカーの、多くの人に与える影響力の強さも感じられていると思いますが、そういうことも踏まえて、今回のチャリティーマッチの意義という点ではいかがでしょうか？
「それはその…、受ける（試合を観た）方たちがどう思うか、だけであって、『サッカーやって励まそう』とか、そういう気持ちも何か少し…、驕っている様な感じがしないでもないですよね、僕は、正直。
先ほど言いました様に、チャリティーマッチと銘打ってますけど、我々は、サッカーのゲームをするということに集中するということです。その中で、万が一、観てくれたお客さんが何かを感じてくれたりとかですね、被災に遭われた方に何かが伝わったり…。もちろんそれは気持ちであったり、義援金というものであったりする訳でしょうけど、先ほども言いました様に、それは二次的な要因で伝わればいいと。繰り返しますけれど、チャリティーマッチで皆さんを元気づけるということではなくて、我々が、とにかく今あるゲームに全力で取り組むということが全てだと思っています」

Ｑ：大きな悲しみと混乱が続く状況で「こんな時にサッカーか」という意見や「こういう時だからこそサッカーを」といった様々な意見があると思います。そんな様々な考えがある中でサッカーをすることを監督はどう感じていますか？
「（サッカーを）やれる人、やれるチームはやればいいと思います。これはその…、やれるのにやらないというのは、やはりあまり良くないんじゃないのかな、と思います。ただ、そこで、やれない人たちにも『がんばりなさい』というのは、先ほども言いましたけど、おこがましいという気持ちもありますし、やれない人はやれる様になるまで……、待つと言いますか、待たなければならないのかなと思います。でも、やれる人間はいつも通りやると、…いうことだけですね。それだけですね、僕が思うのは。
もっと言えば、例えば、やれる様になった人たちが、関東・東北ではなかなか難しいという時に、こちらで力になれることがあれば、例えば試合をするとか、グラウンドを貸すとか、ということであればもちろん協力したいと思うし、そういう準備をこちらはしとく、ということですね、それだけです」

「チャリティーマッチで皆さんを元気づけるということではなくて、我々が、とにかく今あるゲームに全力で取り組むということが全て」。これが大木監督の素直な気持ちなのだろう。サッカーに生きる、「サッカー人」にとっては本当に真摯に、ひたむきに、純粋に「サッカーと向き合う」ことが全てなんだ、と思わされる。

もちろん、京都の選手もコメントを求めた全員が「全力でプレーする」「勝負にこだわる」ことを口にしている。ただ、プレーしたその結果をどう思ってもらいたいかを求めてしまう点も出てきてしまう。大木監督はそこを「二次的な要因」と割り切っている。伝わるか伝わらないかは分からない、我々は全力で勝利を目指すだけ、と言いたいのだろう。

26日（土）、京都vsＣ大阪。多くのお客さんに義援金へのご協力と同時に、是非、両チームの真剣勝負を観てもらいたい。

以上

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3月26日（土）東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ 京都 vs Ｃ大阪（14:00KICK OFF/西京極）
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2011.03.25 Reported by 武田賢宗