3月15日（火）AFCチャンピオンズリーグ2011 天津 vs Ｇ大阪（20:30KICK OFF/天津）
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日本を襲った『東北地方太平洋沖地震』から２日。ガンバ大阪の選手、スタッフは、それぞれに未曾有の災害に心を痛め、様々な不安、思いを抱えながら、13日、中国・天津の地に到着した。

震災当日、浦和戦を戦うべく空路で東京に移動していたチームは、そこからバスで長時間かけて深夜に都内ホテル入り。隣接する公園で身体を動かすなど、慣れない場所でこの天津戦に向けた準備を進めてきたが、「被災者の皆さんのことを考えると、疲労だとか言っていられない。全く問題ないし、むしろ我々はこうしてサッカーができる。幸せなことだと思っている」と西野朗監督。選手たちも同様で、誰一人として疲労を口にする選手はなく、到着後18時半からに行われた天津泰達フットボールスタジアムでの練習では、11日の万博での練習以来、久しぶりに立つピッチの感触を確かめながら、いい緊張感を漂わせて調整に努めた。

もちろん、それぞれの胸にはこの一戦に期する特別な思いが秘められている。今も東北地方太平洋沖地震による被害の拡大が続いていること。多くの方たちが眠れない夜を過ごしていること。その中で、今ゲームが同震災後初めて、Ｊクラブが戦う公式戦だということ――。そうして自分たちが置かれている状況、プロサッカークラブ、選手として担う役割を考えればこそ、誰もが『自分たちはサッカーで思いを伝えなければいけない』という決意を強めている。プロサッカー選手として出来る事は何なのか。プロサッカー選手としてサッカーを、試合を通して伝えられるメッセージとは何なのか。15日のピッチでは、それが間違いなく見られるはずだ。

「今日の練習で確認した限りではピッチはあまりボールが乗らない、滑らない感じでしたが明日もう一度使って慣れれば大丈夫です。２日あまり動けていなかったけどコンディションは悪くないのでいい状態で試合に挑めると思う。天津については今日、こっちに入ってからビデオを見たのですが、それぞれのポジションにキーとなる巧い選手がいるのがわかったので、ある程度それを頭に置いて戦いたい。アウェイ戦だし激しい試合になると思うけど、冷静に、相手の激しさを技術で交わして上回りたい。日本が大変な状況にある今、今すぐ自分たちに出来る事といえば、『勝つ』という結果を届けることで、苦しんでいる方たちに勇気を与えることしかない。みんなでしっかり１つになって、勝つことで僕らの思いを伝えられたらと思う。いろんな意味でメンタル的にも難しい試合ですが、しっかりプレーでメッセージを送りたい（MF宇佐美貴史）。」
「ビデオを見た限り、相手は180センチ以上の選手も多いし、巧さもある。ただ大きな選手が多いからといってロングボールばかりでもなく、組織で繋いでくる印象。ただうちとしてはその方がやりやすい。アウェイ戦だけに冷静に90分を戦うことも大事だし、そのためにも先手を獲った戦いに持ち込みたい。大震災という大変な状況の中で、ここに来て試合を出来るだけでも、幸せなこと。そのことをしっかり感じながらプレーしたいし、僕らの姿、結果によって少しでも被災された方たちが元気になってもらえたら嬉しい。とにかく今の僕たちにできることは、いい結果を届けること。今回の震災のことはおそらく世界中の人が知っているだろうし、いろんな意味で注目されているだろうけど、自分たちがやれることをチームのみんなとやり遂げることだけを考えて、集中して戦いたい。それによって少しでも被災された方たちに勇気を届けられたら嬉しいし、サッカーにはその力があると信じています。（MF遠藤保仁）」

対する天津泰達は、昨年の中国スーパーリーグでクラブ史上同リーグ最高位となる“２位”に。09年以来２年ぶり２度目となるACLに挑んでいる。ちなみに、初のACL参戦となった09年の戦いでは、J1リーグの川崎フロンターレと同グループに所属。アウェイ戦こそ１−０と敗れたものの、ホームでは3-1と、激しい戦いを制して勝利を引き寄せた。今節でも熱狂的なホームサポーターを味方に、熱く激しい戦いを繰り広げることだろう。

尚、両チームが所属するグループEの戦いは、初戦を終えて、今回対戦する２チームのみ、勝点３を手にしている状況。そのことからも今節に勝点３を手に入れたチームは、グループステージ突破に向け、大きく前進することになる。その実現に向けて、いや、それ以上に、今、大変な状況に直面している『日本』に、サッカーを通してG大阪としての『メッセージ』を届けるためにも、持ちうる力の全てを出し切って、勝点３を獲りに行く。

以上

2011.03.14 Reported by 高村美砂