ガイナーレ鳥取の試合日直前の練習スケジュールは、昨年の松田岳夫監督就任以来、終始一貫している。試合３日前に紅白戦を行い、前々日は午前と午後の２部練習。先発予定の11人は午前だけで切り上げ、午後は残りのメンバーだけで行う。前日は軽いメニューをこなし、練習後に控えを含む全メンバーが決定。試合がアウェイなら数時間後に再度集合し、現地に向けて移動する。

しかし、記念すべきＪリーグ初陣を控えての過程は、異例の展開となった。試合前々日の３月４日、午前の練習が一段落したところで、報道陣に対し、ピッチ際から離れるように要請があった。しばらくすると、先発と思われる11人が先に引き揚げ、残りのメンバーは約30分間、さらに練習を続けてから引き揚げてきた。午後練習が中止になることは昨年も何度かあったが、今回はどうやら、前述の報道陣を遠ざけたピッチ上で、控えメンバーも通常より１日早く発表されたようだ。引き揚げてきた選手たちの様子を見ていると、明暗が分かれていることがうかがえた。

実は、４日の鳥取県内は大雪に見舞われ、満足な練習ができなかった。翌日の練習も、通常なら鳥取市内で行うところを、天候悪化に備えて鳥取県外で行うことになったため、通常より早いタイミングでの発表となったと思われる。先発と思われる選手には多くの新加入選手が入っており、必然的に昨年までのレギュラーが控えに、控えがベンチ外に回るケースもあるようだ。過酷な生存競争が繰り広げられるプロの厳しさが、あらためて垣間見られた瞬間だった。

１月15日の始動から、チーム戦術の徹底を図ると同時にメンバー間の競争意識を刺激し、見極めを進めてきた松田監督。サバイバルを勝ち抜いたメンバーは６日、徳島との一戦で、ガイナーレ鳥取の歴史にその名を刻むが、もちろん、これで終わりではない。今後も最終節に向けて、限られた枠を目指すサバイバルは続いていく。

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2011.03.04 Reported by 石倉利英