今日の試合速報

ACLE MD2
ACLE MD2

J’s GOALニュース

一覧へ

【AFCチャンピオンズリーグ2011 上海 vs 鹿島】レポート:ボールは持てども崩せず。スコアレスドローで鹿島は最低限の勝点1を持ち帰る(11.03.03)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
3月2日(水) AFCチャンピオンズリーグ2011
上海 0 - 0 鹿島 (21:00/虹口/20,036人)
チケット情報 | ACL特集
----------

試合後、「どうだった?」と感想を求めてくる選手たちの様子から、消化不良だったことがうかがわれた。オズワルド・オリヴェイラ監督が「先週末のFUJI XEROX SUPER CUPに比べたら明らかなチャンスは少なかったと思います」と眉をひそめれば、「攻め方が見えなかった」と増田誓志がこぼし、「起点がつくれないというか、うまい流れで崩せないというか、前まで行けるけど最後が崩せないというか…」と新井場徹が視線を落とす。試合巧者と呼ばれる鹿島からは考えられないほど拙い試合内容に終始してしまった。

試合開始前より、2万人あまり集結した上海申花のサポーターが両ゴール裏に陣取り、応援合戦を繰り広げる。スタジアムはその熱気が充満し、2階席の一角に押し込められていた鹿島サポーターの声が、切れ切れに聞こえてくる。まさにアウェイと言える環境から、いよいよAFCチャンピオンズリーグの季節が始まったことを感じさせた。
ただ、試合が始まるとペースを握ったのは鹿島だった。ラフなプレーが多い上海が次々とファウルを犯し、その度に鹿島がFKを得た。ところがそのチャンスを生かすことができない。先日のFUJI XEROX SUPER CUPでは芸術的なFKを決めた野沢拓也が、この日もキッカーを務めたのだが、中に飛び込む選手たちの頭に合わせることができず、GKにキャッチされる場面が多かった。
しかし、中国の国内リーグもJリーグと同じく開幕前ということで、上海申花はこれが今季初の公式戦。「今日は中盤のパスの連係が良くなかったので修正して次に臨みたいと思います」とXi Zhikang監督が述べたように、攻撃に怖さは少なかった。昨季リーグ得点王のRIASCOSも、まだまだコンディションが整っていないのか動きは重く、無理な体勢からシュートを放っても力なく飛ぶばかり。もう一人のFWのSALMERONに関しては、明らかにウェイトオーバー。カウンターになっても鋭さはなく、落ち着いて対応すれば、自然にボールは戻って来る相手だった。しかし、鹿島もシーズンが幕を開けたばかり。同じようにミスが多く、リズム良くパスが繋がる場面はほとんどなかった。

戦術的な影響も多分にあったのだろう。
「相手の平均身長を考えた時の高さ対策を取らないといけませんでした。もう一つは、中国チームのタフさに耐えられるフィジカルを持っている選手を選択しなければなりませんでした」
FWは興梠慎三に加え、田代有三が練習試合を含めて初先発。その高さをターゲットに試合を進める予定だった。というのも、監督が嘆いたように中国のチームとの対戦時にはケガが絶えない。内田篤人(現シャルケ04)、興梠、ダニーロという選手たちが重傷を負わされてきた。この日、先発した選手たちはそうしたプレーにも負けないフィジカルを持っていることも、起用理由となったのである。
しかし、それにより、いつもとは違うサッカーをやらざるを得なくなってしまった。アジア仕様のパワーを前面に出した戦い方はほとんど練習しておらず、田代の高さに合わせた後の展開は、持ち合わせていなかった。その結果、ボールは持てるが崩せない、という事態に直面してしまったのである。相手のプレスは組織だって囲い込みに来るわけでもなく、単独で詰めてくるだけだったので、逆にボールを持てる大迫勇也や遠藤康が前線にいた方が、チャンスはつくれたかもしれない。しかし、情報がほとんどない相手に対しては、それも致し方ないところだろう。

ACL初戦のアウェイ、しかも中国での試合で勝点1を持ち帰ることは最低限の結果ではあるが最悪のものではない。小笠原満男がいない時の課題もあぶり出すことができた。ほとんど情報がない相手に対し、得点を許さなかったことも大きな成果だ。ただ、思った以上に相手が組織として機能していなかっただけに、勝点3を逃した思いは残る。
「ちょっと歯がゆい試合になってもうたけど、これを良い教訓にするしかない」
新井場は自分に言い聞かせるようにしてバスに乗り込んだ。アジアの舞台は一筋縄ではいかない。そのことを強く感じさせる試合だった。

以上

2011.03.03 Reported by 田中滋
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/10/07(月) 10:00 【週末のゴールをイッキ見!】明治安田Jリーグ全ゴールまとめ【1004-1006】