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【第90回天皇杯決勝 鹿島 vs 清水】鹿島側レポート:鹿島らしい試合運びで、大岩剛の引退に花を添える優勝を果たし、14個目のタイトルを獲得する(11.01.02)

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1月1日(土) 第90回天皇杯決勝
鹿島 2 - 1 清水 (14:00/国立/41,348人)
得点者:26' フェリペ・ガブリエル(鹿島)、59' ヨンセン(清水)、77' 野沢 拓也(鹿島)
天皇杯特集

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高円宮妃殿下から天皇杯を受け取った小笠原満男は、それを掲げるのではなくクルリと後ろを向いた。そして、背後に控えていた大岩剛に手渡す。
「感謝の気持ちですね。あの人がいたから優勝できた」
その光景をピッチで見つめるオリヴェイラ監督も、キャプテンである小笠原の粋な計らいを賞賛した。
「僕の気持ちを代弁してくれたと思います」
そして、その思いは二人だけのものではない。大岩のために元日までともに戦い、天皇杯を制覇することで、感謝の気持ちを表したい。それは、チーム全員の共通した思いだった。

その思いを反映してか、前半から鹿島の選手たちはアグレッシブな試合を展開する。
「この3試合を見れば、鹿島らしさが出せたと思います」
オリヴェイラ監督が誇らしげに語る試合内容を、1週間で3試合という過酷な条件のなかでも見せたのである。
狙いはまず守備の安定だった。相手の長所である3トップの存在を消した。とはいえ、それは自陣に張り付いていることを意味するのではない。中田浩二の指示のもと積極的にラインを上げ、コンパクトでアグレッシブな守備を貫くものだった。ピッチ上には鹿島の最終ライン4枚と中盤の4枚が綺麗に配置され、絶妙なバランスを保っていたのである。本来は起点となるヨンセンも、センターバックの中田と伊野波雅彦、そしてボランチの青木剛がマークを受け渡しながら自由を与えなかった。準決勝のガンバ大阪戦では鋭さを見せていた藤本淳吾も、宮崎智彦らがきっちりマークにつくと、清水は攻撃の糸口を見出すことができない。ボールを奪っても苦し紛れのパスしか選択肢がなく、すぐに鹿島にポゼッションを受け渡してしまう。清水のシュート数は前半わずかに2本だった。
いい守備があれば、いい攻撃に繋がる。15分には興梠慎三がフリーのシュートチャンスをキーパーに防がれ、「ズルズル行くのが恐かった」(中田)という気持ちが頭をもたげ始めたものの、26分に左からのコーナーキックにフェリペ・ガブリエルが頭で合わせ、待望の先制点を奪う。
「いつもはファーで待っていたけど、今日は剛さんも大樹もいないので俺がいちばん強いのかな、と思って」
そう言って中央に飛び込んだ中田は、自らが囮となり、背後にいたフェリペの得点をお膳立てしていた。
後半に入ると清水が2トップに変更してきたことで、多少の混乱が生まれる。中田と伊野波が組むセンターバックは、ヨンセン一人を相手にしていれば良かった前半と違い、ヨンセンと岡崎慎司を見る必要が出てきた。守備の新たなバランスを見出すのに時間がかかり、1点を返されてしまったが、本山雅志の投入で再び息を吹き返し、77分に野沢拓也が決勝点となるフリーキックを直接叩き込む。終盤は、技術の高さがなければ難しいワンタッチパスの連続で、相手のプレッシャーをかわしボールを保持。危なげない試合運びで決勝戦を制してみせた。

1週間で3試合という日程は、選手の年齢層が高くなっている鹿島には厳しく、清水の勢いを止めるのは難しいかと思われた。しかし、栄冠を手にしたのは鹿島だった。セットプレーでは、自分が一番高いことを感じ、いつもと違う役割を自然とこなした中田だけでなく、“いまなにをすべきか”全ての選手が明確に把握していた。
小笠原は言う。
「裏に入れるのがポイントになると思っていた。(裏にボールをいれることで)DFが下がったら足下でつなぐということを使い分けようと思っていた。空いたスペースを使うのか、足下でつなぐのかの判断がうまくいったと思う」
国立競技場の芝は長く、DFの背後に入れたボールでも勢いが消えて止まる。そのことを利用した攻撃の狙いだったわけだが、それは簡単なことではない。背後を狙うのか、足下でつなぐのか、いちいち声を掛け合うわけではなく、「その辺は感覚」というのが真実だ。だが、小笠原や野沢、本山といった経験豊富な選手だけでなく、興梠や大迫勇也という若い選手たちも同じように感覚を共有していたのである。そして、それこそが鹿島の強さだ。

表彰台で、小笠原から天皇杯を渡された大岩剛は、ゴール裏のサポーターを指さしたあと、天高くカップを掲げた。
「いままでは剛さんがいたけれど、これからは俺らでやっていかないといけない」
それは言葉だけでは伝えることが難しいものであり、小笠原は「あの人の態度や姿勢が、すべてを伝えてくれた」と表現してきた。しかし、大岩がやってきたことは、残された選手たちの心から消えることはないだろう。
なにかを伝え、残していくことは難しい。ただ、それを続けてきたからこそ、鹿島のタイトルは増えてきたはずだ。この優勝により14冠を達成。来季のACL挑戦権を手にした。

以上

2011.01.02 Reported by 田中滋
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