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【Jユースカップ2010 決勝 F東京 vs 横浜FM】プレビュー:シーズン最後のタイトルマッチ。昨年のチャンピオン・F東京が王座を防衛するのか、横浜FMがJユースの初タイトルと共にシーズン統一王者になるのか。完成度の高いF東京に未完の感性で横浜FMが挑む(10.12.25)

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12月26日(日)Jユースカップ2010 決勝 F東京 vs 横浜FM(13:30KICK OFF/長居)
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連覇を狙うF東京と三度目の決勝進出で初のJユースカップ制覇を狙う横浜FM。この2チームの今シーズンの対戦は3月のマリノスカップの対戦から始まった。最初は横浜FMが3-0で勝利したものの、これで火がついたF東京はプリンスリーグでは1-0で勝利し、クラブユースの関東予選でも3-2で勝っている。対戦が決まった準決勝の第二試合後、横浜FMの松橋力蔵監督は、「あの牙城を崩すのがねぇ」と難しい顔をした。第一試合だったF東京の倉又寿雄監督は、「ボランチが2枚欠けることになるかもしれない。(横浜FM、東京Vのどちらになっても)強いチーム、胸を借りるつもりでやります」と、少し困った顔。しかし、どちらの監督も自信がない訳ではない。なかなかいい狸っぷり。既に3回も対戦しているので相手のことは充分に知っている。

23日の準決勝後、横浜FMの松橋監督は「24日に終業式がある選手が多いから一度横浜に帰ります。家に帰ればリラックスも出来ますから」と話したが、F東京は「このまま決勝戦まで残ります。練習グラウンドはこれから探します」(倉又監督)と、大阪に残って移動の負担を避ける決断をした。決勝戦に向けた準備のやり方も違う両チームだが、両監督の考え方は幹の部分ではほぼ同じでも、枝葉の部分になれば違っていて面白い。F東京の倉又監督は新チームになる度に4バックを先に決めて、そこからその4人を根気よく使い続けてカバーリングのコンビネーションを高めていく。次に、攻撃の起点となるサイドハーフを決めてチームの骨格を作っていく。試合では、前から積極的にボールを奪いに行く「前掛かり」の戦い方としっかりと守備のブロックを作って奪ったボールを効果的な攻撃につなげる戦い方を使い分けることが出来る。その中で選手の判断力を育てて、選手が話し合って自分たちで判断するように持って行く。そうなれば、倉又監督は判断の修正や守備面のズレを指摘するだけでよくなる。

横浜FMの松橋監督は、チーム戦術の話を選手にすることは少ない。ポイントだけを話して、あとは選手の判断にゆだねる。対戦相手のスカウティング内容を細かく選手に伝えることもしない。「(相手の)システムの話をすると、選手が行けるアプローチも行けなくなる」。ゲームプランの話も選手にはしない。クオリティを求めながら、行ける所まで行って選手が何を感じるのかという未知の部分を大切にしている。それは、新チームが出来てからここまでの戦いの中で試合ごとにグループ戦術や個人戦術の部分で、何が出来て何が出来なかったのか、何かをしようとしたらどうなったのか、という未知の経験を大切にして選手間で話し合わせて積み上げてきたから。決勝でF東京を前にしても対策を細かく指示する必要も意図もない。完成度の高いF東京に未完の感性で横浜FMが挑むという構図になるのではないだろうか。

F東京は、2回戦・新潟戦後に「今年のチームは、『弱い』と言われていたが、徐々に力をつけてきて、みんなプライドと自信を持っている」と話した佐々木陽次が準々決勝・柏戦で顎を骨折する大ケガで離脱。ボランチでコンビを組む橋本拳人も京都戦で内転筋を痛めて途中交代をしており、ボランチをめぐるやりくりが大きく影響する可能性がある。ただ、準決勝の京都戦では主導権を取られた時間帯でも総じて安定して守ることが出来ていたし、置かれた状況の中でF東京らしさを見せて勝っている。倉又監督は「攻守の切り替えが悪かった」と話したが、それでも質の高さはあった。そして、チームの切り札である武藤嘉紀が決定的な仕事(決勝ゴール)をしている。武藤は、「Jリーグの最終戦で京都に負けたことは意識にあった?」と聞くと、「(トップが)京都と試合をしていたことすら忘れていいました」と、若干天然の匂いもするが、育ちの良さを感じる好青年。昨年の優勝チームではDF登録のサブだった武藤だが、今では点も取れるし重要なポイントでは相手のキーマンを抑えることも出来る。去年はトップに昇格した重松健太郎というスーパーな選手がいて、今年は武藤がスーパーを襲名。プレーのタイプは違うが、喋りの上手さと人当たりの良さでは重松を凌駕している。

その武藤をどう抑えるかが横浜FMのJユースカップ初タイトルへの鍵になる。右サイドバックの星雄次と中盤のFK王子・松本翔のサイドが武藤との主戦場になりそうだ。ともに小柄な選手だがボールはずっと空を飛んだりはしない。芝生の上を転がるもの。横浜FMが武藤にどう対処するのかが見所になる。横浜FMの4-2-3-1のシステムは4-4-2にもなるし4-3-3にもなる。選手がどんな判断をして、どんな形・バランスでF東京に挑むのか注目したい。攻撃ではワントップの小野裕二がキーマン。東京V戦では7本のシュートを打ちながらも決めることが出来なかったが、心の中にはトップでプレー(17試合・3ゴール)した自信とプライドがもたらせる悔しさを溜め込んでいるはず。チームとして小野をどう活かすのか、小野がどう活かしてもらえるプレーをするのか。この部分ではトップ下の後藤拓斗が重要なポイントになる。後藤は東京Vの下部組織出身(ヴェルディSS小山)の選手で、横浜FMの練習を見ていてもハマ育ちとはタイプの違う独特のテクニックを持っていることが分かる。剛のテクニックではなく緑の匂いがする柔のテクニックで、瞬間と瞬間の間にある隙間スイッチを探して押すことが出来る選手。しかし、その巧さが邪魔する物足りなさもある。それが球際のファイト不足。チームのタイトルがかかった大一番で後藤がボールを失わず、前からボールを奪い返すガッツを東京V戦以上に見せることが出来れば決定機は増えるはず。松橋監督が後藤を先発で使い続け、途中交代させるところにメッセージが詰まっている。

ユース年代ではF東京と広島が近年では一番安定して結果を出してきたチーム。横浜FMは、高円宮杯チャンピオンの広島とクラブユースチャンピオンの東京Vを倒して決勝に登り詰めた。昨年のチャンピオンのF東京から王座を奪えば、2010年の統一チャンピオンベルトを手にすることが出来る。それとも、チャンピオンが王座を防衛するのか。25日の天皇杯準々決勝の翌日には、長居でユース年代のタイトルマッチを目撃して欲しい。

以上

2010.12.25 Reported by 松尾潤
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