12/12 13:00 広島 vs C大阪＠吉田
★Jユースカップ2010特集
★Jユースカップ2010出場チーム紹介

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広島ユースは奇跡を起こせる。サポーターは、心からその「神話」を信じている。過去、何度も繰り返された奇跡的勝利が、森山佳郎監督の「気持ちに引力がある」という名言に彩られ、「神話」は「伝統」となった。

今年も、奇跡は起きた。10月9日、雨の国立競技場で行なわれた名門・静岡学園高との高円宮杯準決勝が、その舞台。主役は背番号10、砂川優太郎だ。前半はほぼ一方的な静岡学園のペース。０-２とリードされるが、むしろ「よく２点ですんだ」というのが実感だ。右サイドで起用された砂川も守備に追われ、突破を仕掛けることができない。

後半も、静学ペースは変わらなかった。だが62分、森山監督がチーム随一のシュート力を誇る砂川をＦＷへと配置変更したことで、奇跡への引き金が引かれた。65分、砂川が右サイドからのクロスを流し込んで１点目。４分後、彼が自ら奪ったＰＫを落ち着いて決めて同点。さらに77分、左45度から砂川が放ったミドルは、勝利への執着と祈りを込めて逆サイドのネットに突き刺さった。紫のエースが見せた15分間の独演会。砂川のハットトリックで奇跡の逆転勝利をつかんだ広島ユースは、決勝でもＦ東京U-18を破って6年ぶりりに高円宮杯を制覇。６得点をゲットした砂川は、得点王に輝いた。

負けん気が強く自己主張の激しい砂川だが、一方で静岡学園戦の後は「ベンチに入れない選手、試合に出られない選手のためにも、絶対に決勝は勝つ」と語るなど、不器用ではあるが仲間を気づかう思いやりを見せる一面もある。だからこそ、仲間のために右サイドで必死に上下動を重ね、チャンスメイクからシュート、守備まで全力でやり抜く。その上でチーム随一の勝負強さを見せる砂川に、チームメイトは強い信頼を寄せている。前田俊介、平繁龍一、横竹翔、宮原大輔、大崎淳矢。広島ユースの背番号10は、Ｊユースカップで常に結果を残してきた。今年は、強烈な負けじ魂を全身から発散するアタッカーがその伝統を受け継ぎ、広島ユースを2004年以来の２冠へと導いてくれる。

2010.12.09 Reported by 中野和也