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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J2:第37節 福岡 vs 札幌】レポート:終盤の猛攻も実らず。福岡のホーム最終戦はスコアレスドロー。(10.11.28)

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11月27日(土) 2010 J2リーグ戦 第37節
福岡 0 - 0 札幌 (17:34/レベスタ/14,713人)
スカパー!再放送 Ch181 11/29(月)前05:00〜
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いつもとは違う空気がレベルファイブスタジアムを包んでいた。会場を待つサポーターの列はいつもより長く、スタジアムへ足を運ぶ人たちの波が途切れない。当日券売り場もいつも以上に賑わっている。あちこちで交わされる握手や抱擁。何より、誰もが笑顔を浮かべている。それは、過去3年間、重苦しい空気が漂っていたスタジアムとは全く別の光景だった。そして、スタジアムに足を運んだ人たちの数は14,713人。今シーズン最多の入場者数となった。J1昇格の権利を手に入れて迎えるホーム最終ゲーム。それは、福岡に関わる全ての人たちが力を合わせて手に入れたものだった。

そんな空気の中、試合は互いの特徴を出し合う展開で進んでいく。ボールをしっかりとつなぎながらビルドアップするのは札幌。最終ラインでボールを動かしながら相手の陣形の隙を見つけ、楔のボールを打ち込むのを合図に、適度な距離に保たれたトライアングルを形成し、小気味よくボールを運んでいく。最初の決定機は10分。福岡が前線に送り込んだロングボールをカットして、一気にゴール前まで持ち込んだ。
相手のDFラインの裏を狙うのは福岡。手間をかけずにシンプルにスペースへボールを送り込む。ボールを引き出すのは、盛んにポジションを変え、ダイアゴナルな動きでスペースに顔を出す永里源気。前線では、城後寿が裏のスペースを窺いながらボールを呼ぶ。
そして、互いのチームに共通していたのは高い守備意識。福岡はボールポゼッションでは劣っても、ラストサードで札幌に仕事はさせず。札幌も、福岡に決定的なスペースを与えない。互いの特徴を出しながら、手堅く、相手の様子を窺うように進む試合は、やがて膠着状態に。そして、札幌が作ったただ一つの決定機を覗いて、チャンスらしいチャンスが生まれないまま前半が終了した。

後半に入ると、札幌は、左サイドでプレーしていた三上陽輔を1トップの位置へ出し、福岡は55分に大久保哲哉に代えて高橋泰を投入。それぞれ、膠着状態を打開しようと試みる。しかし、それも大きな効果を得ることはできず、互いに流れを掴みかけては、それを自分たちのものに出来ないままトーンダウンすることを繰り返していく。
そんな試合を動かすプレーが生まれたのは83分。最終ラインから送られたロングボールに反応した城後が札幌の守備ラインを突破。ドリブルで持ち込んで右足を振り抜いた。大観衆の期待を乗せて放ったシュートは、わずかにポストの右に外れたが、このプレーをきっかけに福岡の攻撃が一気に活性化した。前がかりになって札幌に圧力を加え、次から次へと攻撃を繰り出す福岡。CBの丹羽大輝さえもドリブルでペナルティエリアに突っかけた。だが、その攻撃もゴールを割ることはできず。44分には、誰もが決まったと思われる強烈なシュートを高橋が放ったが、それもポストに阻まれた。結局、試合はスコアレスドロー。「勝って終わりたかったというのが率直な気持ち」。丹羽は残念そうに試合を振り返った。

さて、福岡にとって札幌との試合は、いつものように目の前の戦いに全力を尽くす試合であると同時に、特別な意味を持つ試合でもあった。それは引退を表明した久藤清一のホーム最終戦。そして、久藤のサッカー人生に、Jリーグ通算400試合出場という記録を刻む試合だったからだ。サポーターは「男久藤清一 感動をありがとう」と弾幕を掲げ、チームメイトは久藤に勝利をささげるためにボールを追い、そして久藤も、自分のプレーを14,713人の観衆の目に焼き付けようとするように走り、蹴り、そしてゴールを目指した。ピッチを去ったのは84分。その時、試合の緊張感が一瞬だけほぐれ、スタジアム全体が、久藤清一の18年間のプロ生活を讃え、与えてくれた勇気と感動に対し、この日一番の拍手が送られた。

「プロになった時は1試合でも多く試合に出たいという思いだけで、400試合は考えていなかった。この400試合を通過点にしたかったが、昇格の権利を手にすることができた。いい花道をみんなが作ってくれたと思う。そして、苦しい時に、いつもサポーターが暖かな言葉をかけてくれ、そして応援してくれた。いくら感謝しても感謝しきれない。本当にありがとうございます」とは久藤の言葉。そして、続けた。「本当にいい仲間たち。できるだけ長くみんなとサッカーがしたい。1試合でも多くサッカーがしたい」。
体の限界を感じることもあるのかもしれない。度重なる怪我の中でプレーを続けることは簡単なことではないだろう。でも、好きなサッカーを永遠にやっていたい。それが久藤の正直な気持ちだ。彼に残されている試合はリーグ最終戦の岡山戦と天皇杯。最後のホイッスルが鳴るまで、久藤は久藤らしく、そして、我々に勇気と力を与えるプレーを披露してくれるはずだ。およそJリーグのすべてを経験してきた久藤。最後の瞬間まで、そのプレーを見ていたい。そして彼に言葉をかけたい。感動をありがとう。


以上

2010.11.28 Reported by 中倉一志
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