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【J1:第30節 川崎F vs 鹿島】レポート:等々力での逆転負けで、川崎Fのタイトル争いに終止符。チャンピオンチームとしての意地を見せた鹿島が勝点3を手にした。(10.11.15)

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11月14日(日) 2010 J1リーグ戦 第30節
川崎F 1 - 2 鹿島 (14:04/等々力/19,693人)
得点者:20' ヴィトールジュニオール(川崎F)、38' 中田浩二(鹿島)、62' 小笠原満男(鹿島)
スカパー!再放送 Ch180 11/15(月)後09:00〜
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「よくやったじゃないか」という声が頭の中をこだまする。ただ、諦観の言葉を自らに投げかけなければ、自らの気持ちを保てないという精神状態にあったわけではなかった。目の前の現実は、考えていたほどの苦痛をもたらすことはなかった。もちろん1年間のタイトルへの努力が水泡に帰したのである。一抹の寂しさがあるのは事実だった。トラブル続きのシーズンだったことが響き、結局最後まで首位の座に立つことは出来なかった。ただ、そうしたチームの苦しさを見ていたからこそ、素直に目の前の敗戦を、そしてタイトル争いに敗れたことを受け入れられたのだろう。川崎Fは鹿島に逆転負けを喫し、そしてタイトルを目指した戦いに敗れた。例年にない、早過ぎる終戦を迎えることとなった。

11点という勝点差の向こう側を走る名古屋を追走すべく、川崎Fはこの試合に臨んでいた。レギュラー2選手を累積警告とケガで失った状態で鹿島戦に臨んだ川崎Fは、セーフティーかつ、効果的な試合運びを展開する。例えば試合開始直後の1分のプレー。川崎Fの最終ラインの菊地光将は、ジウトンの裏のスペースを狙った森勇介にロングフィードを出す。川崎Fは、鹿島のプレスをロングパスでいなしつつ、鹿島のアキレス腱を突こうとしていた。

もちろん首位名古屋を追走しなければならない鹿島も負けていられない。前半5分の新井場徹のサイドアタックを皮切りに、時にはカウンター。状況に応じてミドルシュートとバリエーションのある攻撃を展開した。

勝利への意気込みを見せる川崎Fは、局面局面で縦パスを選択する場面が増える。鹿島を相手に時間をかけては攻めきれない。だから少しでも早く、前にボールを運ぼうという意識がその攻撃から見て取れた。そしてその思いが結実するのが、前半の20分の場面だった。「ヴィトールの動きを見ながら」サイドを変えていたという楠神順平が、右サイドでボールを持つと、得意のドリブルで見せる。

「ジウトンは飛び込んでくるという事は分かっていた。そこはイメージ通りに出来ました」とジウトンを抜き去った場面を振り返る楠神がゴール前へクロス。これを、ニアサイドに飛び込んだ矢島卓郎がシュート。これはクロスバーに跳ね返されるが、このこぼれ球をヴィトールが流しこんで川崎Fが先制点を手にする。

ホームで奪った先制点に、勢いづく川崎Fだが、そこで鹿島は落ち着きを失わなかった。

「取られた直後はバタバタしましたが、90分トータルで考えればなんとなかると思っていました」と中田浩二が話すと、小笠原満男も「(先制されても)慌てずにできました。焦って前に行きがちにならず、やれました」と胸を張る。そしてその落ち着きが、同点ゴールを呼び込む。

前半38分。マルキーニョスに入ったペナルティエリア手前のクサビのボールに対し、川崎Fがファール。ここからのFKを蹴った野沢拓也が中田に合わせ、ゴールとなった。

1点のリードを守れなかった川崎Fは、後半開始からGKを交代。前半33分の接触プレーにより、相澤貴志が頭部を強打したことを踏まえての交代だった。相澤に代わりピッチに立った杉山力裕は、50分にハイボールの目測を誤るなど、突然訪れた大一番での出番に難しいプレーを迫られていた。そして迎えた62分の事だった。

センターライン付近から小笠原によって出されたスルーパスに対し、野沢が反応。森がカバーに走り、杉山も前に出て3選手が入り混じる状況となる。すると一箇所に集まった3選手の誰にもボールは触れることはなく、そのままゴールイン。これが逆転ゴールとなった。

ここから川崎Fはなりふり構わない攻撃を見せる。66分には谷口博之と小林悠の2選手を同時に投入。対する鹿島は69分に投入した青木剛を中村憲剛に付け、川崎Fの攻撃の起点を封じ込めようとして効果を上げる。

攻撃的な選手を前線に並べた川崎Fはそれなりにチャンスは作っていた。しかし、名古屋に追いすがりたい鹿島は、まさに堅守でこれに対抗。最後まで体を張ったプレーを続け、川崎Fに得点を許すことはなかった。試合はそのまま1−2で終了。鹿島にとっては優勝の望みをつなぐ大きな勝ち点3となった。一方の川崎Fは、この逆転負けの結果、首位名古屋との勝ち点差が14に広がり、タイトルの可能性が完全に消える事となった。

試合に敗れ、タイトルを失った川崎Fの選手たちは、中村の「まだACLもあるし、天皇杯もある。試合はあるし、落ち込んでも仕方ない」との言葉に代表されるように、気持ちを切り替えなければと自らに言い聞かせる姿が散見された。

一方、勝った鹿島も状況が苦しいことに代わりはなく、試合後の選手たちの表情に浮かれた様子は感じられなかった。ただ、それでもシーズン終盤に見せているこの意地は、もしかしたら3連覇を果たしたチームとしての誇りと言い換えてもいいのかもしれない。彼らが築き上げてきたその誇りは、大詰めを迎えつつあるタイトル争いにどのようなドラマをもたらすのだろうか。

以上

2010.11.15 Reported by 江藤高志
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