11月14日(日) 2010 J2リーグ戦 第34節
岐阜 0 - 1 鳥栖 (12:34/長良川球/2,647人)
得点者:5' 豊田陽平(鳥栖)
スカパー!再放送 Ch185 11/16(火)後03:00〜
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岐阜のゲームプランは大きく狂った。いや、鳥栖のプランがはまったと言えようか。前節と同じ布陣と配置で来た鳥栖は、立ち上がりから岐阜のボランチとDFラインの間、DFラインの裏を徹底して狙った。
1トップの豊田陽平が前線に張ってターゲットになるだけでなく、トップ下の山瀬幸宏が前線に入ってきたら、すっとポジションを入れ替えてDFラインの裏への飛び出しを狙う。それに対し、山瀬のポジションに柳澤隼と早坂良太の両シャドーのどちらか一方が中にスライドし、ビルドアップしてきたボランチの藤田直之が2列目の起点となって、山瀬にクサビ、もしくは裏へのパスを狙った。この形が作れないときは、単純に豊田を前線に張らせて、クサビを当てて2列目以降が飛び出していくというシンプルな形を選択。この2つのバリエーションの攻撃に、岐阜はマークの受け渡しが混乱し、さらに右サイドで柳澤、左サイドバックの磯崎敬太に対するケアが甘かったことも重なって、立ち上がりは相手に思うようにリズムを作られてしまう。
5分、岐阜は前者の形で失点を許した。鳥栖の左スローインに対し、岐阜は相手の動きについていけず、簡単にDFラインの裏に走り込んだ豊田にスローインボールを渡してしまう。裏へ飛び出した豊田は、岐阜DFの頭上を越えたバウンドボールにうまく合わせて、飛び出してきたGK野田恭平の頭上を越えるループシュートを流し込んだ。
そして直後の11分には後者の形でピンチを招く。ペナルティエリア内左よりで豊田がクサビを受けると、キープしてフォローに来た山瀬へ落とす。山瀬はゴール前にぽっかりと出来たスペースにライナー性のセンタリングを打ち込むと、これに反応した柳澤がダイレクトで合わせるが、これはバーの上。形はいずれも岐阜の右サイドが簡単に崩されており、山瀬も柳澤も豊田もアタッキングエリアでフリーだった。岐阜のマークがズレ、相手に簡単にスペースとギャップに走り込まれていた。
守備がうまくはまらない状態に、倉田安治監督は動きが悪い右サイドバックの阪本一仁に代え、DF野垣内俊を投入。これで右サイドが落ち着いたことで、当初の混乱からは脱することが出来た。15分を過ぎると徐々に落ち着きを取り戻し、怪我から復帰したMF橋本卓を起点に反撃に転じようとするが、なかなか思うような攻撃の形を作れない。
「岐阜は徹底したカウンターのチーム」と柳澤が語ったように、鳥栖は岐阜のカウンターを警戒して、DFラインを深めに設定し、さらにボランチの丹羽竜平をアンカー気味に配置。岐阜はターゲットとなる佐藤洸一をベンチに置き、嶋田正吾と押谷祐樹の裏へ飛び出していくスピード系の2トップを採用したことで、相手DFラインの前で起点が出来なかった。ボランチからのパスはどちらかと言うと裏のスペースを狙ったパスが多く、結果として2トップが長い距離を走らざるを得なくなり、さらにDFラインの前でボールを受けても、後ろからのビルドアップもなく、個人で単発に仕掛けて終わるというパターンが続いた。
後半も同じ展開が続いた。だが、前半に飛ばしすぎたのか、鳥栖の足が徐々に止まってくると、岐阜のショートカウンターがはまりだす。
チャンスと見た倉田監督は染矢に代えて佐藤を投入。佐藤を1トップに、後方に右から西川優大、嶋田、押谷を並べた【4-2-3-1】へシフトチェンジ。これでようやく前線に起点ができたことで、岐阜の攻撃はスムーズに形作られていく。これに対し、71分に鳥栖は山瀬に代えて、DF呂成海を投入し、後ろを3バックの【3-4-3】にシフトチェンジ。佐藤を木谷公亮、飯尾和也、呂の3バックで見る形をとった。
だが、それ以上に岐阜の攻撃に勢いがあった。73分、岐阜にこの試合で最高の形が生まれる。中盤でボールを受けた嶋田が、そのまま右サイドいっぱいにボールを運ぶ。背後から追い越してきた西川へ縦パスを送ると、西川はダイレクトでニアサイドに出来たスペースへセンタリング。そこにタイミングよく走りこんで来た押谷が、どんぴしゃのタイミングでダイレクトボレーを放つが、猛スピードでゴールに向かったボールは、無常にもGKの正面を突いた。
その後も岐阜は攻め立て、鳥栖は日高拓磨と磯崎敬太の両ウィングバックがDFラインに吸収され、ほぼ5バック状態に。だが、これで逆に5バックと、前線に豊田を残して、ダブルボランチと両ワイドFWが2列目のラインを作って、2ラインでのブロックディフェンスとやるべきことがはっきりしたことで、あとは岐阜の猛攻に耐えればよかった。試合はそのまま終了。岐阜が3連敗を喫し、反対に鳥栖は2連勝を飾った。
阪本の低パフォーマンス、さらに54分に野垣内が負傷し、DF村上一樹と交代を余儀なくされるなど、岐阜にアクシデントがあったのは事実。だが、それをもってしても、この敗戦は拙すぎた。リーグ終盤にこういう試合をしてしまってはもったいない。これから岐阜はホームでの試合が続くだけに、ここでの連敗の更新は絶対に避けたい。後半の内容は決して悪くなかったし、「今日の試合はそこまで悪い試合だとは思っていないので、前向きに考えて、勝点3を取れるようにやって行きたい」と橋本が語ったように、決して悲観する内容ではなかった。だからこそ、この敗戦をアクシデントとミスで片付けるのではなく、なぜこれが起こったのかをしっかりと分析し、次戦の福岡戦(11/23 12:00@長良川球)に臨んでほしいと切に願う。
以上
2010.11.15 Reported by 安藤隆人
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