今日の試合速報

ACLE
ACLE

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2日記】福岡:街とともに。クラブとともに。(10.11.12)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ファーストフード店の前で街行く人たちを呼び込む大久保哲哉(右)と笠川永太(左)。ひときわ大きな声の大久保の存在感は抜群。

永里源気(右)と田中佑昌(左)は、コーヒーの試飲を積極的に進める。あっという間に女性を中心に輪ができた。

「まどかフェスティバル2010 第15回産業展」に参加した永里源気(右)、中町公祐(中)、丹羽大輝(左)の3人。軽妙なトークで会場は笑顔の渦だった。

「少し風向きが変わってきたかな」。
最初にそんなことを感じたのは6月27日、アビスパ福岡のフロント、スタッフ、24名の選手が参加して、福岡市中央区にある新天町商店街の1日店員をした時のことだ。ワールドカップによる中断期間とはいえ、シーズン中にレギュラークラスの選手たちがイベントに参加することは、以前のアビスパ福岡ではあまり行われなかったこと。しかも、トークショーやサイン会ではなく、店員として働くというのは極めて珍しいことだった。

当日、新天町に足を運んでカメラを構えると、いきなり大きな声が聞こえてきた。「中倉さん、写真はいいから飲み物買ってくださいよ」。某ハンバーガーチェーン店の前で大きなプラカードを持って仁王立ちしている大久保哲哉だった。道行く人に積極的に声をかけ、身振り手振りで店内にお客さんを呼び込む姿は、いわゆるデモンストレーションの類ではなく、まぎれもなく新天町商店街の店員そのものだ。永里源気と田中佑は試飲のコーヒーを懸命にふるまい、神山竜一は大きな体を思いっきり縮めて子供にお菓子を売っている。そして、鈴木惇は老夫婦と何やら話し込んでいる。

そんな選手たちを、新天町商店街で店を営む人たちが、街行く人たちにアピールする。中でも、とても熱心にアビスパ福岡のことをアピールしているお店の店長に尋ねると、次のような答えが返ってきた。
「サッカーですか?興味もなかったし、スタジアムに行ったことは1度もありません。でも、彼らはプロ選手であることを少しも鼻にかけず、私たちと同じ視線に立って、懸命に商品を売ってくれる。そんな姿を見たら感激してしまって。福岡のチームとして、是非、活躍してほしいし、私たち商店街もできる限り応援しますよ」
そして、選手たちは「街でいろんな人たちと触れ合うことで、自分たちが多くの人に支えられていることや、多くの人たちが期待を持って応援してくれることが伝わってきた。みんなから力をもらったし、もっと頑張らなくてはいけないと思う」と口を揃えた。

選手と、応援する人たちとの立場には明確な違いがある。そして、選手たちの本分はプレーで観客を楽しませることにある。その一方で、こうした双方向の触れ合いは、プロサッカークラブは街に根差した存在であり、そこに住む多くの人たちに支えられて存在していることを理解する大切な機会でもある。どちらかが一方的に触れ合うのでは何も生まれない。互いの立場を理解して積極的に触れ合うことで、街に住む人たちは、選手たちから夢と希望をもらい、選手たちもまた、街の人たちから前へ進む勇気と元気をもらう。それを繰り返していくことで、街とクラブの絆は深まっていく。

そして、11月7日、福岡県大野城市で行われた「まどかフェスティバル2010 第15回産業展」に、丹羽大輝、永里源気、中町公祐の3人が参加した。昇格を争う大事な試合が続く終盤戦。しかも、前日に栃木との対戦を終えたばかり。去年なら間違いなく選手の参加は見送られたはず。しかし、丹羽は前日の試合の接触プレーでうまく動かせない首を気にもせずに博多弁を披露し、永里はちびっこサポーターと一緒にリフティングに興じ、中町はマイク片手に司会者顔負けの仕切りを見せた。いつも応援してくれるファン・サポーターへの感謝の気持ちがそうさせたのだろう。けれど、それだけじゃない。3人もまた子どもたちを中心としたファン・サポーターたちとの交流を楽しんでいた。3人と、会場に集まった200人を超すファン・サポーターに広がる笑顔がその証拠だった。

福岡の人口規模からみれば、8000人強の平均入場者数は決して多くはない。それどころか、J1昇格を射程圏内に捉えて迎えた第33節・栃木戦の6007人という入場者数は、正直に言ってさびしい。いまはまだ、アビスパ福岡は地域に密着したクラブと言える状況ではなく、その実現のためには、まだまだ創意工夫と努力が必要だ。しかし、アビスパ福岡は確実に動き出している。福岡の街に根差したクラブになり、福岡の誇りと呼ばれるクラブになるべく、一歩ずつ歩みを進めている。その歩みが止まらない限り、そして、選手と地域の人たちが互いの触れ合いを望んでいる限り、アビスパ福岡は、ゆっくりと、しかし確実に福岡の街に溶け込んで行くはずだ。

以上

【J2日記】のバックナンバーはこちら
J's GOAL J2 シーズン表彰 サポーター投票受付中!!

2010.11.12 Reported by 中倉一志
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

テレビ放送

一覧へ

明治安田J1リーグ 第37節
2024年11月30日(土)14:00 Kick off

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/11/25(月) 10:00 【週末のゴールをイッキ見!】明治安田J3リーグ全ゴールまとめ【1124】