シーズン終盤、柏が3位以内を確定させてJ1復帰を決めた。熊本は3位福岡との勝点差12。残り5試合、ひとつずつ勝って行くしかないが、幸いにもホームゲームが3試合残っているほか、アウェイ2試合のうち1試合も大分との「バトル・オブ・九州」で、多くのサポーターの後押しを受けられるのも力強い。
だがサポーターがゴール裏に集うのは、ホームだけではない。九州、四国の西日本はもとより、全てのアウェイゲームで、たとえ少数だろうと熱いサポーターが後押しする。もちろん、熊本からバスツアーが出たり、各自が自家用車等で出向いたりとその経路は様々だが、先日の柏戦や千葉戦でも多くのサポーターが訪れたのは、関東在住の県出身者等が中心となり、アウェイでの観戦を呼びかけていることの効果も決して小さくない。
「アウェイだからサポーターが少なかった。そう選手に思わせたくないという思いはあります」
サポータークラブ・ウルトラアルデラスmetroの代表を務める時任總明さんはそう話す。
発足のきっかけは、2006年のJFL昇格。九州リーグから戦う舞台を全国へ移し、関東圏での試合が増えることもあり、熊本で活動するウルトラアルデラスの関東支部を作ろうということになったのが始まり。
とは言え、JFL時代はチームの認知度もまだ低く、ゴール裏の人数も数える程で、対戦相手の大学チームの応援より少ないことも珍しくなかった。Jリーグに上がってからも、1年目の2008年は関東の試合でなかなか勝てず、初めて見にきた大学生から、草サッカーだと揶揄されたこともあったという。
だがJリーグでの戦いも3シーズン目を迎え、周囲の反応も徐々に変わってきた。今シーズンは特にこれまでより成績がいいこともあるが、PRや集客面での地道な活動も影響している。
「熊本関係の店やスポーツバーにロアッソの試合を見せてほしいとお願いに行ったり、自分たちで作成したポスターを店舗に貼りに行ったり…、熊本県人会の事務所や熊本関係の店に足を運んでは、試合告知やロアッソサポーターのPRを行っていました。熊本県人会から依頼を受けて、サポーター視点の記事を去年から広報誌に書かせていただいていますが、やはり動員はチームの成績に比例するものだなと」(時任さん)
熊本から訪れるサポーターに混じって、長らく地元を離れている県出身者が故郷の話で盛り上がったり、ふだんは使わない方言を久しぶりにしゃべったりと、ロアッソ熊本の応援を通じた交流の場として、楽しみにしている人も多い。こうして徐々に人数が増えて来たゴール裏だが、熊本県出身者ばかりではないのもおもしろいところ。
「川崎フロンターレやジュビロ磐田など、今熊本に在籍する選手が以前在籍していたクラブのサポーターの方もいらっしゃいます。そういう方々にも少しでも熊本の応援で何かを感じてもらいたいし、熊本というチームを好きになってもらいたい。今シーズンは本当に多くの方々に『一緒に応援させてください』という言葉をかけてもらい、やってきてよかったなと感じてます」と時任さんは言う。
熊本県にゆかりのない人たちにも、ロアッソ熊本というクラブを知ってほしいという思いから、自作のマッチデープログラムや選手コール、チャントを掲載した紙を配る。実際、ある会場では「とても雰囲気が良くて応援が楽しかったから、熊本のゴール裏が好きになった」との言葉をもらったそう。ちなみにその方は千葉県出身にも関わらず、この試合をきっかけに熊本のホームゲームにも数回足を運んでいるらしく、ちょっと大げさだが、サッカーを、そしてロアッソ熊本を通して、熊本県のファンを増やしたとも言える。
「今シーズンは、上を目指して戦っていくことの楽しさや大切さのようなものを選手から教えてもらいました。関東と熊本で切磋琢磨して、もっともっとロアッソを盛り上げたいし、アウェイでもホームの応援に負けない後押しで選手に気持ちを伝えていきたい。そしていつか、関東から応援バスツアーを出せるくらいになって、ホームに乗り込んでみたいなと思います」
その願いが実現する日に向けて、時任さんら関東圏でのサポーターのチャレンジも続く。
以上
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2010.11.08 Reported by 井芹貴志
J’s GOALニュース
一覧へ【J2日記】熊本:アウェイでもホームに負けない後押し。関東でも「クマモト!」と叫ぶ(10.11.08)
オリジナルのマッチペーパー(右)と、コラムが掲載されている東京熊本県人会の広報誌。こうした地道な活動が、少しずつ効果を生んでいる
10月23日に行なわれた柏戦では、1台のツアーバスで乗り込んだ熊本からのサポーターに加え、関東在住の方も合わせて200人程度がゴール裏から声援を送った
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