11月7日(日) 2010 J2リーグ戦 第33節
札幌 1 - 0 千葉 (16:03/札幌ド/12,656人)
得点者:87' 宮澤裕樹(札幌)
スカパー!再放送 Ch183 11/8(月)後08:00〜
試合速報一覧 | クラブサポーター対抗totoリーグ
☆J2シーズン表彰 投票受付中!!
----------
「やはり、決めるところはしっかり決めないと、サッカーの神様は最後は逃げてしまうのかな」。千葉の江尻篤彦監督はこのように試合を振り返った。立ち上がりから積極的に攻撃を仕掛け、札幌を押し込んだ。放ったシュートは22本。しかし、87分にカウンターから宮澤裕樹にヘディングを叩き込まれ、0−1のスコアで敗戦してしまう。ここにきての3連敗。J1昇格に向けて、千葉は非常に苦しい状況に立たされた。
試合はアウェイの千葉が主導権を握る形で始まった。普段はパスをつないで攻撃を組み立てるスタイルだが、この試合の序盤は意図的にロングボールを蹴り、札幌のDFラインを押し下げた。「長いボールを蹴って、前からボールを取りにいくことで勢いをつけたかった」と谷澤達也はこの日のプランを説明する。「そしてある程度(試合が)落ち着いてきたら、いつもの戦い方に戻す」(谷澤)。
そのプランは有効だったようである。千葉は持ち前の機動力を生かしてロングボールのこぼれを拾い、中盤の選手がミドルレンジで前を向いてその後の攻撃につなげるという流れを作っていた。時には直接ミドルシュートを打つ場面も。そうした流れから20分には青木孝太からのパスに倉田秋が合わせ、38分ころには相手のDFをスピードで翻弄した青木孝のラストパスに谷澤が合わせて、という形で決定機を作り出した。
後半の立ち上がりは若干、札幌がリズムと掴むが、ここでも左右アウトサイドの選手を高い位置に押し出した千葉が少しずつ主導権を奪い返していく。中盤でスピーディにボールを動かして札幌を左右に揺さぶり、前方にスペースを見つけると佐藤勇人がミドルレンジのパスで的確に配給。加えてセットプレーからも好機を演出するなど、積極的にゴールへと迫っていた。
だが、ここで立ちはだかったのが札幌のGK高原寿康だ。ミドルシュートもそうだし、近い距離からのシュートに対しても冷静に反応。そしてただシュートを防ぐだけでなく、弾いたボールはしっかりとラインの外に送りだす、もしくは相手選手のいないエリアへと飛ばし、千葉の選手には触れさせない。チームのリズムが良くないような時間帯には、ゴールキックの際に少し長めの給水をして全体を落ち着かせるなど、時間の使い方も上手かった。高原の出来は抜群だったと言っていい。
札幌は押し込まれる時間帯があったものの、チームとしてのパフォーマンスが低調だったわけではない。前線の内村圭宏やトップ下の高木純平を中心に高い位置から積極的にプレスを仕掛け、千葉のパスワークに対応。前左右に長いボールを使われた局面では後手に回っていたものの、「(プレスに)メリハリができていた」と内村が振り返る通り、プレスで相手のパスを乱した場面ではいい形でカウンターへと移ることができていたのである。つまり、「プレスからのカウンター」という札幌の武器もしっかり引き出されていたことを考えると、この試合は両チームの特徴が反映されていたということになるのだろう。
そうした、両チームの特徴が反映された試合は、冒頭に記したようにカウンターを生かした札幌が勝利したのだが、全体的にはどちらのチームからも似た印象を受けてしまった。
両チームのこの日のフォーメーションはどちらも4−2−3−1(千葉は見方によっては4−3−3にもなる)。このフォーメーションは1トップがターゲットとなり、2列目の選手による飛び出しを引き出すのが特徴なのだが、どちらのチームもこのエリア付近でのパス交換へは意識が高いものの、肝心のフィニッシュへの意識が明確ではないように感じてしまう。千葉はネットを出場停止で欠いてしまったことが理由なのかもしれないし、札幌には最終ラインからのフィードをダイレクトに受けて時間を作るタイプの選手はいない。
この日の千葉のようにチャンスを作りながらも決めきれない展開というのは、江尻監督の言葉を借りれば、“サッカーの神様”に逃げられてしまいがちなもの。そうした流れを変えるには、パスワークのなかのアクセントとして、前線にダイレクトでパスを当てる作業が必要だろう。そして、同様にこの日の札幌のように押し込まれがちな展開のなかでは、長いキックを敵陣のスペースに送り込んで局面を変えるというプレーが有効なはず。札幌も千葉も、そうしたリアリズムを欠いてしまっていた印象だ。
とはいえ、この試合を振り返ってみると互いの狙いが見えていたため、非常に見応えがあった。どちらのチームにもスピードがあり、個人の技術も安定している。この両チームが今季、どういった順位でシーズンを終えるのかはわからないが、継続した強化が行われれば、非常に面白味のあるチームになっていくような気がしてしまう。長かったシーズンも残り5節を残すのみ。J1昇格を争う千葉も、昇格の可能性がなくなった札幌も、残り試合の戦いぶりには是非とも注目したい。
以上
2010.11.08 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
一覧へ- 2024 明治安田Jリーグ終盤戦特集
- アウォーズ2024
- 2024J1昇格プレーオフ
- 2024J2昇格プレーオフ
- J3・JFL入れ替え戦
- bluelock2024
- 2024JリーグYBCルヴァンカップ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- FIFAワールドカップ26 アジア最終予選 特集ページ
- 2024天皇杯
- 明治安田Jリーグ 月間表彰
- 2024Jユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE
テレビ放送
一覧へ明治安田J1リーグ 第37節
2024年11月30日(土)14:00 Kick off