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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【J2:第32節 熊本 vs 鳥栖】鳥栖側レポート:ミスから失点を最後まで取り返せなかった鳥栖。終わってみれば、90分間とも熊本のペースで試合が進んだ内容は、熊本の完勝。(10.11.01)

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10月31日(日) 2010 J2リーグ戦 第32節
熊本 2 - 0 鳥栖 (13:03/水前寺/5,398人)
得点者:71' 宇留野純(熊本)、82' 片山奨典(熊本)
スカパー!再放送 Ch182 11/1(月)後06:30〜
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想定していた内容と違う状況が訪れたときに、どのように対処するかでその人の実力がわかる。逆に想定通りであれば、事前の準備が上手くできていたことになり、物事をすすめるにあたりこれほど心強いことは無い。
今節の熊本対鳥栖は、まさにその通りの展開となってしまった。

鳥栖は、当日の朝にメンバー変更を余儀なくされた。前日の練習で予定していた選手の足に張りがあり、大事を取っての変更だった。前節にも同様のことがあり、ケガと直面している選手たちにとっては、致し方ないことかもしれない。しかし、前日に選手たちがイメージしていた試合運びが、試合当日の朝になって変更することになるので、少しならずとも影響はあったかもしれない。試合開始直後から熊本の出足に押され、奪ったボールもGK室拓哉まで戻さざるを得ない状況があった。
逆に熊本は、「事前のスカウティング通りに、ボールの出所を選手が理解してやってくれた」と高木琢也監督(熊本)が評価したように、確実に鳥栖のDFとボランチのところにプレスをかけてきていた。さらに「中盤の構成がわからなかったが、誰が入ってもやるサッカーは変わらないはず」(高木監督/熊本)と対鳥栖戦に向けた分析にも自信を見せていた。
この試合前のお互いの状況が、試合に微妙な影響を与えていた。
それでも、前半は押しつ押されつの展開で、スコアレスで終了した。

試合は、ハーフタイムに両監督が指摘したことを実践できたほうにいい結果が訪れて終了した。
松本育夫監督(鳥栖)は、「全体的に悪くは無いが、少し攻守の切り替えが遅い。もっとテンポ良く」と指示した。
高木監督(熊本)は、「貪欲につめていけるか、泥臭く頑張ろう」との指示だった。
これが、実践できたのは71分。熊本の間接フリーキックのシーンである。MF原田拓(熊本)の蹴ったボールは鳥栖の壁に当たり西弘則(熊本)の前にコースを変え、GK室拓哉(鳥栖)と1対1となった。このシュートは、室拓哉の好セーブでゴールにはならなかったが、このこぼれたボールがMF宇留野純の前に入り、これが先制点となった。まさに「貪欲につめていけるか、泥臭く・・・」(高木監督/鳥栖)を実践したシーンである。
82分の追加点も同様で、GKからのボールを受けた鳥栖の選手に、熊本のMF2人がプレスをかけたところから生まれた。ボールに対する執念、ゴールへの想い、そして勝利への欲求が熊本にボールを運んだのかもしれない。
この2点を取り返すパワーは、この日の鳥栖には持ち合わしていなかった。「負けるべくして負けた試合」と松本監督(鳥栖)が完敗を認める内容だった。

とはいえ、本当に熊本の完勝で締めくくっていい試合だったのだろうか。
少しだけ、スタッツ(公式記録)から試合を振り返ってみたい。
シュート数を見ると、鳥栖は7本(熊本は10本)とそれなりに放っている。FWに入った豊田陽平と山瀬幸宏、交代で入った萬代宏樹と途中からFWに回った早坂良太の合計で4本と、半数以上はFWの選手が放っている。残りも中盤の選手のシュートであることを見ると、前線にはある程度のボールが来ていたことになる。松本監督のコメントでは、「相手を崩すパスが少なく、熊本に守りぬかれた」ようだが、実際には、少し違って筆者には見えた。
熊本の放ったシュート10本のうち、9本はMFのシュートで、中盤から押し込んでいたのは熊本のほうに見えた。熊本の2トップには、合計1本しか打たれていないわけで、鳥栖のDFは熊本のFWを上手く押さえ込んだが、熊本のMFに守備ではなく攻撃をさせていたのではないだろうか。確かに前半は、熊本のボランチが下がり気味(いやっ、鳥栖の中盤が機能して下げたとも言える)でボールが上手く回っていなかった。しかし、後半の中盤では形勢が逆転していたようにも見えた。2点目の片山奨典(熊本)のミドルシュートはその典型とも言えないだろうか。
失点直後に取り返すべくスピードのある選手で、熊本DFの裏を狙わせようと試みたのだが、そこのミスから2点目のシュートにつながったことは、選手は自戒して、次への経験といかしてもらいたい。
同様に1失点目となった間接FKも自陣ペナルティ前である。相手にFKを与えたプレーも取り返しはつかないが、「セカンドボールなどの予測ができていない」(松本監督/鳥栖)プレーに気をつけることで、ファールで止めずに済んだかもしれない。
いずれにせよ、今節も攻撃と守備のリズムが合わずに、自分たちのミスを突かれて敗れてしまった試合だったように見えた。
ただ、残り6試合に対して、「プロとしてのプライドを持って臨みたい」(GK室拓哉/鳥栖)や「残り試合では、モチベーションを落とさずに戦いたい」(FW豊田陽平/鳥栖)の気持ちを選手たちが見せてくれたのは、少しだけ明るい話題といえる。

互いに勝利に向かってしのぎを削るサッカー。ゴールを狙うものがいれば、それを阻止するものもいる。ボールを運べばそれを奪いに来るし、ゴールに近づけようとすれば、相手は遠ざけようとする。それがサッカーであり、そうでなければ試合は成立しないし、競技とはいえない。
だからこそ、相手をテクニックでかわし、スピードで置き去りにし、フィジカルで圧倒し、メンタルで打ち勝つ姿に見ている人は引き込まれる。ピッチの上では、ボールは標的であり常に狙い続けなければならないものだ。
サッカーは、ボールが動くからこそ、試合が動くスポーツである。

以上

2010.11.01 Reported by サカクラゲン
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