10月24日(日) 2010 J1リーグ戦 第27節
広島 3 - 0 湘南 (13:04/広島ビ/11,127人)
得点者:43' 李忠成(広島)、75' 高萩洋次郎(広島)、90'+3 山崎雅人(広島)
スカパー!再放送 Ch185 10/26(火)前05:00〜
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久しぶりのサンフレ劇場、開幕。8月28日、対山形戦以来だ。
出演したのは、槙野智章・森脇良太・西川周作・横竹翔、そして李忠成だ。横竹がハニカミながら短く挨拶し、西川は「ヤマザキナビスコカップで優勝したら、僕の応援歌をつくってください」とアピール。森脇良太は槙野がいつも言う通りの「スベリ話術」を見せた。
次にメガホンを持ったのが、この日、クラブJ1新記録となる5試合連続ゴールをゲットした広島のニューヒーロー=李忠成だ。
李の「劇場初出演」は、昨年9月12日の対横浜FM戦。この時彼は、「はーるばるきたぜ、広島ぁ」と高らかに歌い上げた。「広島のサッカーが好きだから、移籍を決めた」と語り、サポーターの気持ちを熱くさせた頃だ。
「ここで“はるばる来たぜ”と歌ってから、1年が過ぎました」
語り始めた時、彼の瞳は潤んでいた。
「長い間、みなさんの期待に応えられなくて……」
声が、震えた。
「本当に、僕も悔しかった。でも!」
声を、張り上げた。叫んだ。
「李忠成は、こんなもんじゃぁぁぁぁぁ!そして、俺たちの手で、ナビスコを獲るぞぉ!!!!」
左腕を突き上げた。その瞬間、サポーターの声援が、大爆発した。
広島対湘南戦がキックオフを迎えたのは、李とサポーターにとって幸せな時間が流れたこの瞬間から、約2時間前のこと。湘南・反町康治監督は、綿密に練り上げた広島対策を講じていた。広島の最終ラインに2トップが圧力をかけ、トップ下のエメルソンにパスの供給源となる森崎浩司のチェックを命じ、さらにボランチを3枚並べて、網を張る。まず失点しないことに重きを置いた戦術。ボールサイドに人数をかける湘南の守備陣形によって広島は有効なクサビを打てず、ボールを失ってカウンターを浴びた。立ち上がり3分、新居辰基が放った強烈なシュートも、高萩洋次郎がボールを失ったところから生まれた。
広島は、サイドを起点とした攻撃を仕掛ける。横竹翔のサイドチェンジが面白いように通り、森脇良太も右サイドの高い位置でチャンスをつくった。だが、「サイドは意図的に空けていた(森崎和幸)」湘南は、中央で弾き返せばいいと割り切っていた。反町監督の意図は、はまりかけていた。
だが結果として、「ゲームのすう勢を決めた」(ペトロヴィッチ監督)先制点は、空いていたサイドから生まれた。それも、広島ならではの形で。
41分、阿部吉朗がミドルシュートを狙う。そのプレーを読み切っていた森崎和幸がスライディングでブロック、ボールを奪った。その時、湘南の選手たちに疲れが目立ち、プレスがかけられない。森崎浩にパスが渡った時も、エメルソンは追えなかった。これが一つのポイントだ。
相手の疲労を見てとった背番号7は、素早く高萩へ。高萩、森脇を走らせる。突破からクロス。飛び込んできたのは、左サイドの山岸智。さらにもう一人が絡んでくる。森崎浩司だ。ミドル。唸りをあげてゴールを襲う。都築龍太、ファインセーブ。が、クリアが小さい。
そこに、李忠成がいる。両サイドが高い位置をとり、クロスに逆サイドの選手が飛び込み、3人目の選手が飛び込むまでは、チーム戦術。だがそこで、ゴールができる場所にポジションをとることは、ストライカー個人のセンスだ。
李忠成の先制点でペースを握った広島は、後半は湘南の疲れに乗じて次々とチャンスを創造。高萩と山崎雅人がゴールを決め、ホームでは約1ヶ月勝利を奪った。勝点を42に伸ばし、天皇杯の結果次第で出場権が転がり込む4位まで3ポイント差と、射程距離内に迫った。
一方の湘南はこれで14試合連続勝ち星なし。15位F東京とは9ポイント差に広がり、J1残留に向けて厳しい状況となった。だが「白旗を振る事なく、まずはホームで連勝を狙う」と語った反町監督の意思は強い。この試合も、いくつか訪れた決定機を決めていれば、試合はどう転んだかわからなかった。諦める必要など、全くない。
さて、サンフレ劇場の最後を締めくくったのは、高萩のゴールを演出した槙野智章だ。最近5試合で1得点4アシスト、李忠成と並ぶ得点源となっている槙野は、この試合でキックイン・セレモニーを務めた湯崎英彦広島県知事がいるはずのメインスタンドに向かい、「広島にサッカー専用球技場をつくってください!」と絶叫、サポーターの拍手を浴びた。選手とサポーターが想いを一つにした広島は、ナビスコ初戴冠とACL出場に向けて弾みをつけるべく、次の横浜FM戦に向けて再び一丸となる。
以上
2010.10.25 Reported by 中野和也
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