10月9日(土) 第90回天皇杯3回戦
千葉 4 - 0 京都 (13:00/西京極/1,646人)
得点者:9' ネット(千葉)、30' ネット(千葉)、33' 深井 正樹(千葉)、67' ネット(千葉)
チケット情報 |天皇杯特集
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西京極での天皇杯3回戦は、千葉が4点の大量得点で京都を粉砕。次のステージへの切符を力強く手中にした。
京都は、「今までの流れを変えたい」とコンディションが上がってきているという柳沢敦を起用、ボランチに染谷悠太を5月1日のJ1リーグ戦第9節以来の先発で起用した。対する千葉は、青木孝太が怪我でネットが先発。他にも「試合に飢えている選手がたくさんいる」(佐藤勇人)というチーム状況で、メンバーを変更して臨んだ。
試合は序盤から、千葉はボールをつないで打開点を探り、京都は守備ブロックを作って対抗する展開に。序盤から千葉優位が漂い始める。千葉のボランチ、ディフェンスに対しての、京都のボールコントロールが甘く、そこからの展開と、千葉の前線、中盤の選手の走り出しに京都が後手を踏む。京都は前の選手だけがボールの奪い所を図ったため、千葉がそれをダイレクトパスでかわすと、前を向き、判断する余裕ができ、走り出す選手に丁寧に繋げる作用が生まれた。試合後、千葉・江尻篤彦監督がプレスをかいくぐるトレーニングについてコメントしているが、その千葉のやり方と京都の守備がハマった印象だ。
8分に京都は、エリア左にネットに侵入され、マイナスの位置にいた伊藤大介にフリーで打たれ、相手をつかみ切れずにいると、直後の9分、スコアが動く。
千葉は中盤左サイドから、京都のアプローチを倉田秋がかわすと深井正樹へ。深井から中央スペースへ走り込んだネットへ渡り、ネットがこれをダイレクトで京都ゴールへ突きさした。
京都は前半早い時間の失点で流れを失いかけるが、チームは広島戦の反省を生かし、落ち着いていた様にも見えた。17分にディエゴ、18分にもドゥトラがシュートを放つと、守備ではコンパクトさが表れて千葉のボールをカットするシーンが増える。26分にはドゥトラから中の中山博貴へとつながり決定機を作った。
流れを掴みかけた京都だが、30分にミスから失点する。千葉が右サイドへ展開し、佐藤勇人がクロスを上げると京都DFに当たりコースが変わってGKの前へ上がる。だが、GK守田達弥がこれを処理しきれずこぼすとネットがすかさず押込み、千葉が2−0とする。
さらに、その3分後の33分、左CKから、伊藤のグラウンダーのボールに深井が左足ダイレクトボレーで決め、前半で千葉が3−0とリードを広げた。
後半に入り、攻撃を強めた京都は、左サイドに配した中村充孝(安藤淳との交代出場)がフィニッシュを導き、渡邉大剛、ドゥトラが右サイドを突きゴール前へとつなげるが、「選手が慌てずに体を張った」(江尻監督)千葉の守備を崩せない。
逆に67分、千葉に素早くつながれ、左サイドの鎌田翔雅から、中央、ディフェンスの間のスペースへ見事な走り込みを見せた伊藤へ渡ると、伊藤はエリア左にいたネットへダイレクトで送る。ネットはこれをGKの動きをしっかりと見て流し込み、千葉が4−0。このスコアのまま試合終了。千葉が京都に大勝した。
試合後、千葉・江尻監督は「体を張って失点をしなかったこと」とポイントを上げて「今日の試合に限っては合格点」と選手を称えた。だが、大量得点した攻撃について「J2の試合でも、ものすごく苦しんでいる。今日はたまたま出ただけ」と気を引き締めてもいた。
対して、先週の広島戦に続いて大量失点した京都。「流れを変えたい」(秋田豊監督)とメンバーを変化させて臨んだが、最も欲しかった得点をあげることができなかった。
京都は、攻撃ではミスが目立った。前線に当てて、そこから展開したいという時、パスが合わないというシーンが多かった。受け手が加速する瞬間の足元、というミスが出やすい状況を選択しているからにも見えるが、これらのミスが単なる技術的なことなのか、メンタル的なものなのか、それともピッチコンディションなのか。選手個々、このミスに対する自覚がなければ、まだこの現象は続く様にも感じさせた。
守備では、気持ちが強すぎたとも感じさせた。前の攻撃者がボールを奪って早く攻めようという気持ちが強く、前だけでボールを奪う守備をしていた様にも見えたのだ。京都の守備がうまく行っている時は最終ライン、中盤で前を向いてカット出来ていることが多い。そのためには、相手にパスを出させる、しかも相手の視野を狭くさせて京都が狙いやすいパスを出させることではめていくことが必要だと感じていた。しかし試合序盤、前の選手の中には千葉にダイレクトで回されると、奪い切れないからと足が止まってしまう場面が、さらに中盤と最終ラインとの間にスペース、特にサイドにスペースが出来てしまい、相手に余裕を与えていた様にも感じた。
前半15分過ぎごろに京都が押し込む様になると、千葉はリズムが作れず判断が甘くなり、京都の守備網に引っかかる様になった。相手に余裕を与えない、ということも重要だろう。そのために、走る量は増やさないとならないのではないか。
しかし、敗れはしたがおもしろい試合だった。柳沢、ディエゴ、ドゥトラ、中山を前に置き、カットしてからの速攻が生まれたからだ。そして後半はドゥトラがワイドに張り、また渡邉もパス交換で裏をとる場面もあった。ここ数試合と違った京都の攻撃に見えたのだ。メンバーが変化し、きちんと攻撃も変化していたということである。苦しい状況の中、考えて、プレーして、また考えて、プレーしてというのが伝わってきたのだ。
ただ、戦い方のマイナーチェンジも良いが、スペースへ早くボールを送って展開する意識は少し薄れた様にも感じた。サイドチェンジのパスが少なく、後半に染谷が出した1本くらいだった。恐らく、中央の攻撃も意識したのだろうが、それなればポストに対するフォローは重要になるだろう。そして、それがリスクを冒して攻めるということにもつながっていくのではないか。
なんとか前へ進もうとする選手、監督の諦めない気持ちと姿勢は感じさせてくれた。それが、次につながれば、と切に願う。
以上
2010.10.10 Reported by 武田賢宗
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