10月3日(日) 2010 J2リーグ戦 第29節
甲府 0 - 0 横浜FC (16:03/小瀬/12,814人)
スカパー!再放送 Ch183 10/4(月)後08:00〜
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去年のC大阪戦を思い出すようなドツキアイ・サッカー。お互いに後手を踏むことを恐れずに前から前からボールにプレッシャーを掛けていく。まさに闘い。「甲府はカウンターとパワープレーのサッカー」という趣旨のことを岸野靖之監督は会見で話したが、横浜FCのボールを甲府も前から奪いに行き、それを奪えたし甲府の守備から攻撃への切り替えが速かったからカウンターのシーンが多かった。カウンターが主力兵器のチームではないが横浜FCが甲府の良さを引き出してくれた結果だと思う。この攻防の中で甲府の方が主導権を取る時間が長かったし、シュート数も12対2と圧倒していたから「カウンターのチーム」と表現されることには納得出来ないが、お互いにサッカーの醍醐味を充分に魅せたと思う。
今の甲府のエンジンは中盤の三角形(藤田健、秋本倫孝、保坂一成)。1枚が必ずボールにプレッシャーを掛けに行くし、残りの2枚も次のパスコースをケアするから対戦相手がこれをかわすことは難しい。そうなると、ボールを奪われるかロングボールを入れることが増える。3トップも運動量を惜しまずにボールを追うから守備からリズムを作ることが高いレベルで出来ていた。誰かがサボれば穴の空いた脆いダムのようになるが、今の甲府はほとんど穴を空けない。横浜FCは小さな穴を見つけて何度か素晴らしいパスを通して決定機の一歩手前のシーンを作ったが、結局シュートは2本。この数字が今の甲府の守備連携のレベルを表現している。
攻撃では3トップの両サイドのマラニョンとパウリーニョが積極的に仕掛けるから横浜FCのサイドバックは消耗したと思う。ハーフナーマイクは中央でボール捌きの上手さを見せて、トップ下の藤田といい連携を発揮した。中も外も使えていた。ゴールを決めることは出来なかったが、これは最後の最後で守りきった横浜FCの守備陣が素晴らしかったから。突き詰めるべき点はあるが、ノーゴールでもいいものはいい。甲府の攻撃が噛み合った理由として、守備でリズムを作ることが出来ていることが大きいが、気温が下がって運動量が上がったことも挙げられる。本当は夏場でもこの運動量を発揮したかったが、芝生の状態が悪くていくつかのグラウンドを転々としなければならない時期があったし、選手が休憩や昼寝が出来るクラブハウスを持たない甲府は、2部練習をすることが難しくフィジカルを充分に上げることが出来なかった。しかし、気温が下がればやれるし、見つけ出した最良の距離感を積み上げてきたものは逃さない。
前半のボディブローが効いて後半には横浜FCからダウンを取れそうな雰囲気だったが、岸野靖之監督は消耗して動きが少なくなりそうだったチームに添加剤を注入した。両サイドハーフにフレッシュな選手を入れてエンジンの回転数を保った。ボランチのホベルトと八角剛史もよく動いて、ディフェンスラインを助けた。横浜FCは凄く恵まれた環境にはないだろうが、ここまで闘えるチームを作り上げる岸野監督の手腕に学ぶべき点は少なくないはずだ。3000万円、5000万円、1億円なんて年俸を貰っているプライドも高い選手がゴロゴロいるチームで同じことが出来るかどうかは分からないが、這い上がりたい選手が多いチームは練習してナンボ。最初から出来るのであればJ1のビッグクラブでレギュラーを張っているはずだから、岸野監督はJリーグで貴重な存在。27歳の難波宏明が昨シーズンより確実に怖いFWになっている理由もそこにあるのではないだろうか。
横浜FCは勝点3も「損得」の帳尻を合わせることも出来なかった。この点に関しては大きな不満が残ったようだが、「損得の帳尻」という表現で察して貰うしかない。でも、チームの魅力が増していることは誰もが認めると思う。一方、甲府は本当にいい内容だった。ママが来日して心の安定を取り戻したマラニョンは自信も取り戻しているし、パウリーニョは鋭さを発揮している。秋本は後ろの眼が開いたのか、ますます素晴らしいハード系ミッドフィルダーになってきた。どこかのお寺で「倫孝開眼祭」でもやりたいくらい。保坂も難しいボールが来ても失わずにしっかり繋げている。また、主導権を取りながらもカウンター一発で失点という場面がなくなったことも素晴らしい。この先、右肩上がりでラストスパートを掛けることが出来る期待は充分に持つことが出来そうだ。ただ、福岡が負けて千葉との3位争いが激しくなったことでますます甲府のステルス2位が際立ってきた。甲府に「カズ」はいないから、ザックがマイクの携帯番号を知りたくなるまでは、「スポルト」や「やべっちFC」が取材に来ることはないだろう。それでも、ステルスのまま進めばいい。ホームで勝てていないことは心配だが、「メーデー、メーデー」ってがなるほどのことはない。昼間からビールを飲めるような余裕はないが、アウェイでは生けすの魚を釣るようにゴールを決めることも出来ている。クラブのフロントは着々と来年の準備を進めているはずだから、次のホームはもっと盛り上げて後押ししよう。
以上
2010.10.04 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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