スカパー！生中継 Ch183 後03:50〜
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「今日の結果を受け止めて、また１からスタートするんだと思い直す機会与えてくれたと捉えて、次の試合に臨みたい」。柏戦での敗戦を受けて永里源気は話した。首位を走るチームを叩いて、さらなる上位進出を目指して戦った柏戦。思うような結果は得られず、連勝は５でストップしたが、本当の勝負は、ここから始まる10試合。まだまだ自分たちにはやらなければならないことがある、気持ちをもう一度リセットしてラスト10を駆け抜ける、という意思を確認できたのなら、悔しい敗戦も意味があるものになる。
その初戦に迎えるのは熊本とのバトル・オブ・九州。アウェイの地での対戦。しかも熊本は、この試合に備えて20000人の動員運動を行っており、目の前の相手に加えて、スタンドまでも敵に回して戦わなければならない福岡にとって、決して簡単な試合ではない。しかし、城後寿は話す。
「柏戦の敗戦は自分たちも悔しかったが、サポーターも悔しい思いだったはず。それなのに、試合後にブーイングをするのではなく、頑張ってくれと応援をしてくれた。その人たちのためにも、試合に勝って気持ちよく福岡に帰ってきたい」
敗戦をリセットするだけなら意味はない。リセットした結果を目に見える形に表してこそラスト10に向けてのスタートが切れる。表現するのは勝利という結果。福岡に必要なものは勝点３以外にない。
ここまでの熊本との対戦成績は４勝２分１敗。数字の上だけなら福岡の優勢が窺える。しかし、その内容を振り返れば、必ずしも福岡が力の差を見せているわけではない。今シーズンは第11節で戦い、６−１と圧勝しているが、その試合とて、スコアが互いの力関係を正確に表しているものではなかった。篠田善之監督は話す。
「前回の結果は全く関係ない。たまたま６−１のスコアになったが、熊本にも決定機があった。それが決まらずに、ああいうスコアになったが、決まっていれば拮抗したゲームになっていたはず」
同じプロの世界に身に置く者同士の実力に大きな差などはない。勝負を決するのは、ほんの些細な出来事。それを見逃さずに確実に制するのが強いチームと言えるのだが、逆を言えば、わずかな油断は互いの立場を大きく変えてしまう。ましてや熊本は、カレン・ロバートの加入に加え、平木良樹、ファビオらが台頭するなど、前回対戦時とはメンバーも変わっている。対戦成績に拘わらず、チャレンジャーとしての姿勢を貫くこと。それが福岡に最も求められていることだろう。
熊本は、豊富な運動量をベースにしたハードワークと、高い位置からのプレッシャー、そして、奪ってからの素早いカウンターが武器。そして、カレン・ロバート、ファビオは、高さ、スピード、強さを兼ね備えており、松橋章太は一瞬のスピードで裏へ抜け出して決定機を作り出す力を持っている。いい形で前線にボールが入れば、失点の少なさではＪ２で２位の福岡とて守りきるのは難しい。その一方で、高い位置からボールを追う熊本のプレッシャーをかいくぐることができれば、前方には福岡が使うことができるスペースが広がる。勝負を分けるのは、中盤の攻防をどうやって制するか、そして、攻守の切り替えをいかに早くするかにありそうだ。
そして、福岡が最も注意すべきはミス。ここのところ、いい形でボールを奪ってもミスでボールを失って攻撃に転じられなかったり、ラストパスの一歩手前のミスでチャンスを広げられない試合が続いているが、攻撃にかかった時のミスが命取りになるのはサッカーでは常識。相手が、奪ってからの早い攻撃をストロングポイントにしている熊本であればなおさらのことだ。この部分について、きちんと修正できているかにも注目したいところだ。
さて、熊本戦をはじめとして、ここからの10試合は、今まで以上に難しい戦いが続く。福岡は、その戦いを変わらぬ姿勢で駆け抜ける強い意志を示すが、昇格に対する周囲の期待や、上位チームを叩こうと向かってくる相手の姿勢等々、自分たちの意思とは別のところの環境は否が応でも変わる。その中で、いかに結果を出し続けることができるか。それが福岡に課せられたＪ１昇格に向けての最後の課題だ。「これからは一つも落とせない戦いが続く。内容云々よりも、とにかく結果。自分たちのサッカーができないときでも勝点３を取る力が昇格に来必要」と末吉隼也は話す。
その力を見せなければならないのが熊本とのバトル・オブ・九州。赤く染まるスタジアムの中で、ネイビーのサポーターとともに勝利の喜びを手にすることができるか。それは、Ｊ１昇格に向けて、確実な、そして力強い一歩になる。
以上
2010.10.02 Reported by 中倉一志
