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横浜FCに続いて愛媛にも０−２と完敗して今季初の連敗を喫した熊本。順位も８位にまで下がり、昇格争いからは一歩後退した。だが思い出したい。シーズンを通じては苦しい戦いとなった08年と09年、戦い方をぶらさずに貫いたことが、終盤になって結果につながったことを。最後の追い込みは、言ってみれば熊本の真骨頂である。実際、勝点差は４位千葉と６、５位東京Vとも４、６位横浜FC、７位鳥栖とは並んでおり、まだまだ浮上の可能性は十分ある。
そうした状況で迎えるのは、勝点差10の３位福岡。３位争いの直接対決となった25節で千葉を降し圏外にはじき出して以降、昇格圏内をキープ。データを見ても分かる通り、そしてまた第１クールの対戦でも味わった通り、勢いに乗せるとやっかいな攻撃は破壊力抜群。さらに、前節の構図とは対照的に、08年の最初の対戦（2008年5月6日／○４−２＠レベスタ）で勝って以降、熊本は福岡に勝てていない。
これまでの７試合を振り返れば、１勝２分４敗と大きく負け越し、得点11に対して失点は17と、今シーズン11節の６失点が大きくのしかかる。17失点の内、大久保哲哉3点、中町公祐と永里源気、岡本英也が２点など、現在も所属している選手だけで12点を許しており、熊本としては、この攻撃陣を抑えることが、この試合最大のミッションとなる。
その上で鍵を握るのが、2試合の出場停止から今節最終ラインに復帰するであろう福王忠世だ。福王不在の２試合、熊本はチョ ソンジン、堤俊輔がそれぞれ矢野大輔とCBのコンビを組んだが、連係不足も影響して安定感を欠き、ミスが絡んで失点した。愛媛戦に臨む前、「最初から声を出して奮い立たせることで、ゲームの中で研ぎすまされて行くこともある」と矢野は話していたが、そうした役割においても福王の復帰は心強い。最終ラインでの対応だけでなく、永里や久藤清一、城後寿、中町らをケアする中盤へのコーチングでも頼りになる存在。だが、「第１クールは恥ずかしい試合をした。叩いて借りを返したいという気持ちは皆が持っている」と福王自身も話している通り、全ての選手が強い気持ちで臨めるかどうかが、ゲームの行方を左右する。
もちろん、勝つためには得点が必要で、この２試合無得点に終わったことから奮起が求められる。福岡の最終ラインには丹羽大輝が戻ると思われるが、田中誠とのCBコンビをいかに崩すかがポイントであることは確か。前節の柏の得点場面がひとつのヒントになるが、両サイドバックが攻撃参加した時のスペースをうまく衝くことで、福岡のCBを引っ張り出せるか。FWとサイドのMF含め、先発がどういう組み合せになるのかは分からないが、そうした部分についても今週のトレーニングでは意識しており、切り替えの早さとイメージの共有、さらには保持しているボールをイージーに失わないことが不可欠となる。とは言えやはり、攻撃も安定した守備あってこそ。「０−０とか、ロースコアで長く進めることが大事。まずは気持ちだと思う」と南雄太も言い、守備におけるチャレンジ＆カバーを徹底し、最後まで相手より走るという、今年のプレシーズンから取り組んできた原点の姿勢を貫きたい。
「同じ相手に何度も負けられるか！」
ニンジニアスタジアムに横断幕が掲げられたという、切実な想いの前に屈した前節。ならば今節は、福岡に対してサポーターが抱く同じ想いに、何としても報いなければならない。そして何より、「今までの戦いを夢物語で終わらせない」（高木琢也監督／愛媛戦後のコメント）ためにも。
残り９試合はラスト１／４。ピッチの外にある400mトラックになぞらえればホームストレートに入った辺り。ここからが、赤馬の馬力を見せつける時だ。
以上
2010.10.02 Reported by 井芹貴志
