9月25日（土） 2010 J1リーグ戦 第24節
浦和 2 - 0 新潟　（16:03／埼玉／31,973人）
得点者：45'+1 柏木陽介（浦和）、81' エスクデロセルヒオ（浦和）
スカパー！再放送 Ch183 9/27（月）前08:00〜
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ワンプレーで試合の流れは一変した。

ターニングポイントとなったのは前半ロスタイムだった。細貝萌が糸を引くような縦パスを打ち込み、原口元気がダイレクトで落とすと、ポンテが右に展開。エジミウソンが後ろに優しく戻し、柏木陽介がワントラップから左足で巻くようにシュートを放つと、GKから逃げるように大きく変化したボールはゴールマウスに吸い込まれていった。浦和劣勢のなかで飛び出した柏木の先制弾。そして、この1点は新潟に重くのしかかることになった───。

前半は新潟の思惑通りの展開になった。マルシオ・リシャルデス、ミシェウとチャンスメーカー2人を欠く新潟は中盤の構成力で勝負するのを避け、ゴリゴリの肉弾戦を挑むと、これが功を奏した。DFラインを高く設定し、前線から積極的にプレッシャーをかけてくる新潟の体力勝負に浦和は手を焼かされた。

DFラインのところから圧力をかけられた浦和はパスをうまくつなぐことができず、苦し紛れのボールを蹴らされる場面が目立った。「前半はビルドアップがあまりうまくいっていなかった」と原口元気。フォルカーフィンケ監督も「新潟は前半とても優れたプレーを見せていた。私たちに対して積極的に圧力をかけてきたし、多くの選手たちが豊富な運動量を土台にして私たちの攻撃を妨害しようとしてきた」と振り返っている。

新潟も自分たちで攻撃を組み立てることはあまりできなかったが、できるだけ高い位置でボールを奪い、チョ・ヨンチョルにボールを集めようとしていた。そこには明確な意図があった。「（サヌの）守備がちょっと弱い部分があるので、ヨンチョルくんと話し合って狙っていた」と加藤大。チョ・ヨンチョルとマッチアップするサヌは元々FWとあって、攻撃力は高いものの守備力には不安を残す。新潟の選手たちはそのウィークポイントを突いて浦和を切り崩そうとした。42分にはスローインの流れから曹永哲がサヌの裏を取り、そのまま持ち込んで決定的なシュートを放っている。新潟の狙いは大味ではあったが、脅威は与えていた。流れは新潟に傾いていた。

しかし、前半ロスタイムのゴールが試合を一変させる。ビハインドを背負った新潟はハイプレスからショートカウンター狙いのサッカーではなく、自分たちからアクションを起こす必要に迫られた。

ただ、この日の新潟にはゲームを作れる選手がいなかった。前に人数をかけて押し込もうとするが、アイデアが乏しいため、待ち構える浦和の守備網に簡単に引っかかってしまう。そして前がかりになった分、逆にカウンターからピンチを招く場面が増えてしまった。

「前がかりになってしまって攻撃が詰まって、悪い形で奪われたことが多かった」（加藤）

「中途半端な形でボールを奪われることが多く、向こうにカウンターを好きにやられた。速い攻撃に僕らのマークが追いつかなくて、フリーで持たれるシーンが多くなっていた」（酒井高徳）

浦和の選手も冷静だった。「コンパクトにして、いい位置で取れれば速い攻撃ができる。1点を先に取ればリスクを冒す必要もない」と平川忠亮が語れば、柏木も「自分たちで仕掛けて点を取るんじゃなくて、コンパクトにしっかり守備をしたなかでカウンターを狙った」と振り返る。試合状況と関係なく、常にリスクを負ったスリリングなサッカーをしていたかつての姿はそこにはなかった。

そして81分、田中達也の右サイド突破から最後は故障明けのエスクデロセルヒオがゴールネットを揺らし、2−0。浦和はここ最近の課題でもあった追加点を奪い、勝負を決めた。

浦和にとっては5月5日の名古屋戦以来、実に7試合ぶりとなるホームでの白星となった。この夜、埼玉スタジアムは久々の凱歌に揺れ、真っ赤に燃えた。

以上

2010.09.26 Reported by 神谷正明