9月19日（日） 2010 J2リーグ戦 第26節
千葉 2 - 3 柏　（18:33／フクアリ／18,031人）
得点者：9' 林陵平（柏）、17' 谷澤達也（千葉）、33' 北嶋秀朗（柏）、81' レアンドロドミンゲス（柏）、83' 青木孝太（千葉）
スカパー！再放送 Ch182 9/21（火）前04:30〜
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千葉には同点、さらには逆転のゴールへの期待が高まった６分間という長いアディショナルタイム。だが、その時間にゴールは生まれなかった。千葉の敗戦＆柏の勝利を告げる試合終了の笛の音が響くと、両チームの選手が次々とその場に坐りこんだり、倒れこんだりする。ピッチの中央近くで１人立ちつくす千葉のＭＦ伊藤大介の姿がやけに目立つ光景は、フクダ電子アリーナで今季最多の18,031人の観客が見守った『千葉ダービー』が精根尽き果てるような死闘だったことを物語っていた。

千葉は、負傷欠場中だったＤＦ茶野隆行がスタメンに復帰した一方で、ＦＷネットが体調不良で欠場。１トップの位置に入ったＦＷ青木孝太はネットとはプレースタイルが違うのに、千葉は特に前半、ネットの時と同じように前線へボールを入れて青木孝をヘディングで競り合わせ、攻撃を組み立てようとした。だが、それが今節の千葉の苦戦を招いた。
ファーストシュートが試合開始直後の１分の柏のＦＷ北嶋秀朗で、９分の先制点を奪ったのが柏のＦＷ林陵平だったことを示すように、千葉は立ち上がりから柏に押し込まれた。それでも17分、千葉は左サイドバックのＤＦ和田拓三がゴール前に速いクロスボールを入れると、ボールがショートバウンドしたところに谷澤達也がうまく右足で合わせて同点ゴールを奪った。これがきっかけになったかのように、このあと、千葉が両サイドを使ってゴール前に迫る。だが、23分、柏のクリアボールを拾ったＭＦ太田圭輔のシュートはＧＫ菅野孝憲の好守に阻まれるなど、流れが来た時間帯に追加点が奪えない。青木孝、谷澤、太田が柏のＤＦと駆け引きしながら斜めに走ってディフェンスラインの裏のスペースでパスを受けようとする動きを見せても、そのタイミングでのパスはほとんど出なかった。33分、柏のＤＦ橋本和に右サイドを破られ、グラウンダー気味のクロスボールをニアサイドに走りこんだ北嶋にうまくシュートされて失点。ビハインドの状況で前半を終えた。

苦しい流れが変わったのは、73分に柏のＭＦ栗澤僚一がこの試合で２度の警告で退場となったため数的有利になったことと、60分から出場した伊藤が裏に抜け出すのがうまい青木孝の特長を生かそうとしたことだ。しかし、千葉の攻撃時の連係ミスに加え、ゴール前をしっかり封じようとする柏の堅守もあり、同点ゴールが遠い。68分、ペナルティエリアに走りこんだＭＦ山口慶の決定的なシュートは、菅野にファインセーブされた。81分には守備陣の隙を突かれ、「10人になっていた柏にワンチャンスをうまくモノにされた」（74分から出場したＭＦ倉田秋）失点を食らい、窮地に陥る。だが、その２分後、倉田、伊藤とパスをつなぎ、伊藤のスルーパスをゴールを背にして受けた青木孝が反転して、利き足とは逆の右足で素早くシュート。「左足に持ち替えていたら、柏の選手に止められていた」（青木孝）という冷静な判断のゴールだった。90＋４分には青木孝のシュートがクロスバーに当たって跳ね返ったのを拾った谷澤がシュートしたが、ゴールの枠を外れてしまった。

わずか１点差の敗戦だが、千葉の攻守両面でのチームとしての完成度、試合運びのうまさには柏とは大きな差があった。だが、完成度はすぐには大きく高まらない。少しずつでも、選手個々の状況判断や技術のミスも減らす努力をしながら、攻守の精度を上げていくしかない。さらに苦境となったが、Ｊ１昇格を目指す戦いはまだ終わっていないし、「誰もあきらめていない」（ＭＦ工藤浩平）。残り11試合の全勝の先にあるものを目指して戦うだけだ。

以上

2010.09.20 Reported by 赤沼圭子