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浦和が復調の兆しを見せている。リーグ中断明けの6試合では1勝5敗と不振に喘いだが、最近は4試合負けなし（2勝2分）。ケガ人続出に悩まされていることを考えれば、悪くない成績と言えるだろう。
ただ、その4試合の対戦相手は仙台、湘南、鹿島、F東京と、鹿島を除けば下位で苦しむチームだった。次の相手は強敵の清水。逆境を乗り越え、本当に実力がついてきているのか。現在の力をはかる“リトマス試験紙”としては十分すぎる相手だ。
台所事情は厳しく、レギュラー陣がなかなか揃わない事態が続いている。苦境から抜け出しつつあるチームで存在感を放っていた宇賀神友弥は、鹿島戦で痛めた部位の回復が思わしくなく、「ボールを蹴るとまだ少し痛い。良くなるまでは無理にやらないほうがいいと思っている」と復帰にはもう少し時間がかかりそう。同じく、最近はキレのある動きを見せていたエスクデロ・セルヒオも5日の天皇杯で負ったハムストリング痛により、現在はランニング中心のメニューを消化している。
そんななか、先月14日の名古屋戦で脱臼した田中達也が練習に完全復帰しているのは明るい材料だ。「少し怖さはあるけど、時間も空いたので少しずつ怖がらずにプレーできれば」と本人も実戦復帰の青写真を描いている。「練習で試してみてどうなるか」とまだ不安もある様子だっただけに、過度な期待は禁物だが、清水戦で戦列に戻ってくる可能性もある。
清水に勝つには、軽率なミスをしないことが大事になる。浦和が志向するポゼッションサッカーはカウンターからピンチを招く危険性と常に背中合わせのスタイルだが、プレーをやり切れば、そのリスクはかなり軽減できる。バルセロナの試合を見ればわかりやすいが、しっかりフィニッシュまで攻め切ることができれば、その時は相手の陣形も崩れており、相手選手を自陣深くに押しやることにもなるため、その状態から攻守が入れ替わっても、危ない場面はそれほど作られない。
危険なのは、なんということもないシーンでボールを奪われることだ。特にビルドアップの段階で軽率にボールを失うと、空いたスペースを自由に使われ、大ピンチを招くことになる。F東京戦ではクサビの落としがズレて相手に奪われたり、横パスを敵に渡したりと集中力と精度を欠くプレーが目立った。幸い、F東京がそのチャンスをものにすることはなかったが、リーグトップの42得点を誇る強力な清水攻撃陣はその隙を見逃してくれないだろう。
また、小野伸二を消せるかどうかも勝敗を左右するカギの1つとなるだろう。かつて浦和の頭脳として活躍した天才MFは、いまや清水に不可欠なコントロールタワーとして君臨している。ビルドアップ、チャンスメイク、勝負の局面と、あらゆるシーンで存在感を示す小野を止めることができなければ、苦戦は免れない。マッチアップの機会が多くなるであろう細貝萌、柏木陽介のダブルボランチの働きが重要になる。
清水は最近調子を落としている。ここ5試合の成績は1勝4敗。一時は首位に立っていたが、4位にまで順位を下げている。
ただ、その背景には過密スケジュールという事情もあった。清水はリーグ戦、天皇杯にヤマザキナビスコカップを加え、猛暑の2週間で5試合という厳しい日程を強いられた。さらに、攻撃の一翼を担う岡崎慎司、藤本淳吾の2名は代表戦も重なった。清水はここ5試合、万全なコンディションからはほど遠い状態で戦っていたのだ。今回は久しぶりに中6日の休養を取っての一戦となるだけに、浦和にとって厳しい試合になるのは間違いないだろう。
以上
2010.09.17 Reported by 神谷正明
