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【J2日記】千葉:復帰後初ゴールが教えてくれたこと(10.08.31)

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試合後、ファン・サポーターへあいさつする村井慎二

8月28日のJ2リーグ戦第24節岡山戦。その日が26歳の誕生日の工藤浩平の先制ゴールは、千葉に試合の流れを引き寄せる重要なもののうえ、工藤にとっては記念すべきバースデーゴール。さらに、工藤には8月20日に第3子(長女)が誕生していて、得点後にはチームメートとともにゆりかごパフォーマンスもやったため、とても印象深いゴールとなった。この試合では他に、ネット、村井慎二、佐藤勇人のゴールがあったが、古くからの千葉サポーターにとっては村井のゴールはひときわ感慨深いものだったのではないだろうか。千葉から2005年に磐田に移籍した村井は、この日までフクダ電子アリーナでは千葉サポーターの大きなブーイングを浴び続けてきた。だが、この日、ピッチに立った村井には大きな声援が送られ、得点後は祝福の大歓声があがった。筆者には村井のゴールはもちろん、千葉サポーターのそんな様子がとても嬉しかった。

「赤沼さーん」
2005年11月12日。J1リーグ戦第30節磐田戦が行なわれるフクダ電子アリーナの一般記者控室で、試合開始前に昼食をとっていると筆者を呼ぶ声が聞こえた。振り向くと、部屋の入り口に立っていたのは、アウェイ側のロッカールームに入ったはずの村井慎二。村井のそばに行って「どうしたの?」と聞くと、村井の答えは「廊下を歩いていたら、赤沼さんがこの部屋に入っていくのが見えたから。僕が磐田に移籍する時、赤沼さんとあんまり話ができなかったから」というものだった。千葉の関係者に挨拶をしてまわっていて私の姿に気づいたらしく、声をかけてくれたのだ。とても嬉しかったが、試合前ということでゆっくり話す時間もないし、廊下を通る人も少なくない。移籍の経緯など突っ込んだ話などできるわけもなく、村井のコンディションやチーム状況、私の近況で話は終わった。

その時に聞けず、ずっと村井に聞こうと思いながら聞けずにきてしまったことがあった。磐田に移籍後、某サッカー専門誌で同時期に千葉から磐田に移籍した茶野隆行と村井の対談が掲載された際、「誰にも引き留められなかった」という村井の発言が載った。当時、千葉サポーターはチームに残ってくれるよう署名を集めたし、坂本將貴や阿部勇樹(現・浦和)はクリスマスイブにまで村井を呼び出して慰留したと聞いていた。それだけに、何でそんな発言をしたのか疑問だった。移籍をとても悲しく思い、「可愛さ余って憎さ百倍」の心境の千葉サポーターも多かったはずだ。掲載された村井の発言を見て心の傷が大きくなり、村井の今シーズンの千葉への復帰を快く思わなかったり、素直に喜べなかったりするサポーターも少なくなかったようだ。

実は、つい最近、ようやく真相を村井に聞けたのだが、「僕は『引き留められなかった』なんて言っていない。自分の記事はほとんど見ないから、しばらくしてから友達に言われるまで知らなかった」とのこと。その後、念のため茶野に確認したが、「そんな話はしなかった」という答えだった。いまだに複雑な思いを抱いている千葉サポーターに何らかの形で真実を伝えようと思っていたが、そんな必要はなかったようだ。千葉の選手に戻った村井は千葉サポーターに愛されている。千葉への復帰後初ゴールが、それを教えてくれた。

以上

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2010.08.31 Reported by 赤沼圭子
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